米国ニューヨーク州株式会社設立ガイド |
特に明記しない限り、本ガイドで紹介される米国ニューヨーク州会社とは、米国のニューヨーク州会社法(Business Corporation Law)に基づき設立された株式会社(Corporation)を指します。 |
概要 |
ニューヨーク州では、株式会社(Corporation)と有限責任会社(LLC)は最も一般的な2種類の会社形態です。投資者が自分自身の需要によってこの2種類の会社形態の特徴を考慮することをお勧めします。 |
1. |
ニューヨーク州株式会社の主な特徴 | |
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商号・会社名 米国ニューヨーク州で設立された株式会社の商号はCompany(会社)、Corporation(会社)、Incorporated(会社)、Limited(有限責任)、incorporation(会社)、Corp(会社)、Co(会社)、Inc(会社)またはLtd(有限会社)を含めなければなりません。 使用予定の会社名は既存の会社名、または予約済みの会社名と同じになり、あるいは似ていることができません。 |
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資本金 ニューヨーク州会社法は、株式会社の資本金に対する特別な制限がなく、資本金の額が株主によって任意に決定されます。 |
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株主 ニューヨーク州会社法上、株式会社の株主に特別な制限はありません。株主は一名又は複数の法人・団体又は自然人になれ、かつ株主の国籍にも制限がありません。 |
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発起人 発起人(Incorporators)の主な役割は設立証明書(Certificate of Incorporation)を提出することです。設立証明書には発起人の氏名を明記する必要があります。ニューヨーク州で設立されたあらゆる会社は1人以上の発起人が必要です。発起人は自然人でなければならないが、ニューヨーク州の非居住者でも可能です。 |
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取締役 ニューヨーク州会社法により、会社の取締役が自然人でなければならないと規定されるほか、取締役にその他制限はありません。一般的に、会社の初代取締役が株主によって担任されますが、会社法は取締役が会社の株式を所有しなければならないことを要求していません。取締役の居住地と国籍に制限がなく、かつ米国市民又は永住者である取締役の人数が要求されていません。つまり会社の取締役はすべて外国人でも可能です。 |
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登録代理人と登録住所 ニューヨーク州会社法により、ニューヨーク州で設立された株式会社は、会社に代わってその法律文書を受け取るニューヨーク州における登録代理人(Registered Agent)が必要です。登録代理人はニューヨーク州に居住している個人または現地法人によって担任されることができますが、ニューヨーク州での物理的な住所を有しなければなりません。啓源はニューヨーク州における登録代理人を提供することができます。 |
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設立証明書 設立証明書(Certificate of Incorporation)は会社設立登記後、ニューヨーク州の州務長官室から発行される法人設立の正式な文書です。 ニューヨーク州で会社を設立する際、会社の発起人はニューヨーク州の州務長官室に会社登記の書類を提出し、かつ登記料を支払う必要があります。ニューヨーク州の州務長官室は登記書類を審査し、問題がなければ設立証明書(提出日と番号のある印鑑が押された)を発行します。啓源は設立証明書の参考用のテンプレートを提供しています。 |
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付属定款 付属定款(Bylaws)は、会社の内部管理制度であり、州務長官室に提出する必要がありません。付属定款は会社内部の組織構造、職能区分、スタッフの任免などに関する規定を含んでいます。ニューヨーク州の法律に基づいて付属定款を作成しなければなりません。初の付属定款は取締役又は発起人によって署名されていなければなりません。 |
2. |
株式会社とLLCの比較 | |
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米国ニューヨーク州では、株式会社(Corporation)と有限責任会社(LLC)は最も人気のある2種類の会社形態です。投資者が自分自身の需要によってこの2つの会社形態の特徴を考慮することをお勧めします。 |
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株式会社とLLCの類似点 | |
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(1) |
有限責任 株式会社でもLLCでも株主(メンバー)が自身の出資額を限度として、会社の債務について有限責任を負います。株主(メンバー)は会社の債務について個人責任を負いません。 |
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(2) |
永遠存続 株式会社とLLCは永久に存続していくことができます。 |
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株式会社とLLCの相違点 | |
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(1) |
税務申告 株式会社(Corporation)は二重課税に直面するかもしれません。具体的には、株式会社は、課税年度ごとに法人税を申告・納付する必要があり、株主は配当金をもらった課税年度に当該所得に対して納税する必要があります。但し、株主会社は利益を存して配当しないことができます。会社の発展や運営に使う資金として存する配当可能な未処分利益は最高250,000ドルまでです(パーソナル・サービス・コーポレーション(Personal Service Corporation)は最高150,000ドルまで)。この方式で株主は当該部分の金額に対し個人所得税を納付する必要がなくなり、二重課税を避けられます。もし会社は250,000ドルを超える未処分利益を存する場合に(パーソナル・サービス・コーポレーションは150,000ドルを超えた場合に)、制限を超えた分に対して税金を支払い、且つ20%の追加罰金を支払う必要があります。 その一方で、LLCはメンバーが2名以上の場合には、パススルー事業体(Pass-Through Entity)とみなされます。LLCは、所得税申告書を提出する必要がありますが、所得税を納付する必要がありません。収益が分配されたかどうかにかかわらず、LLCの収益はすでにメンバーの所有持分によってメンバーにパス・スルーされました。具体的には、LLCは利益が出た場合、メンバーは収益を受け取っていないとしてもLLCの利益に対して納税する必要があります。同様に、LLCは損失が出た場合に、メンバーは個人所得税を申告する時に税額控除を受けられます。 |
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(2) |
管理 株式会社の組織構造が集中しています。株式会社の経営管理は取締役会によって決定され、株主が日常的な運営に参加しません。但し、株式会社のある重要な決定(例えばM&A)は株主総会を通過しなければなりません。 一方、LLCはメンバー自身または雇用したマネージャーによって会社の日常運営を担当されます。 |
3. |
株式会社の設立手続き | |
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商号・会社名の確定 使用予定の会社名は既存の会社名、または予約済みの会社名と同じになり、あるいは似ていることができません。啓源は類似商号調査サービスを提供しています。クライアント様は自分で会社名のオンライン予約を行うこともできます。 |
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(2) |
会社設立登記書類の作成 ニューヨーク州会社は、州務長官室に会社設立登記書類を提出し、且つ登記料を支払う必要があります。登記書類はオンラインで提出することができます。会社設立登記書類は会社名、ニューヨーク州の登録代理人及び登録住所、会社の郵便の宛先住所、発行可能株式総数、株券の額面金額、及び発起人の氏名を含めなければなりません。 |
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(3) |
登録代理人の任命 ニューヨーク州で設立された全ての会社は登録代理人が必要です。当該登録代理人は設立する予定の会社の代表として法律文書またはビジネスレターを受け取ることに同意する必要があります。 登録代理人は、ニューヨーク州に居住している個人または現地法人になれますが、ニューヨーク州での物理的な住所を有しなければなりません。 |
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(4) |
会社記録帳 株券、株主名簿、取締役名簿、株式引受人名簿及び議事録等の重要な資料を保存するための会社記録帳を作成する必要があります。当該会社記録帳は株式会社のオフィスに保存されることが必要です。 |
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(5) |
付属定款の作成 付属定款(Bylaws)は、株式会社の内部管理制度であり、内部記録の用途だけです。付属定款がニューヨーク州会社設立にとっては強制的ではないが、啓源は付属定款を作成することをお勧めします。なぜかというと、これは会社の管理に役に立ち、会社のコンプライアンス要求を満たすからです。 |
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(6) |
初代取締役の選任 会社の取締役会の初代メンバーは会社設立発起人によって選任されます。取締役会のメンバー交代は株主総会の決議で定められます。会社の発起人は「発起人声明書」に記入、署名し、かつ選任した初代取締役の氏名と住所を明記することが必要です。当該声明書およびその謄本は会社の記録帳にきちんと保存される必要があります。 |
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(7) |
第一回取締役会の開催 第一回の取締役会では、オフィサー(Officer)の選任、付属定款の採択、法人口座の開設、授権株式数、会計年度の設定、株券及び会社印鑑の形式の決定などの意思決定が行わられる必要があります。取締役による決定事項を議事録に記載しなければなりません。 |
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(8) |
株券の発行 多くの州は株券の発行に対する要求がありませんが、小企業は、一般的には紙の株券を発行し、且つ会社の株式引受人名簿で各株主の氏名及び連絡先を記録しています。 |
4. |
株式会社のコンプライアンス | |||||||
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(1) |
年次更新 | ||||||
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ニューヨーク州で設立された株式会社は2年ごとにニューヨーク州政府に年次報告書を提出しなければなりません。情報報告書(Statement of Information)を提出していなかった会社は、政府によって罰金を科され、さらに停止または没収されることがあります。 年次報告書には以下の情報を記入する必要があります。 (a) CEO(最高経営責任者)または主要な役員の氏名と営業所の住所 (b) 主たる事務所の住所 (c) 会社の代表として政府による郵便物を受け取る住所 |
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(2) |
その他のコンプライアンス要求 | ||||||
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5. |
株式会社の税務 | |
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ニューヨーク州で設立された会社は、次の税金の支払いが必要です。 |
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(1) |
ニューヨーク州法人所得税 ニューヨーク州において業務を展開する株式会社は、課税所得があるかどうかにかかわらず、州政府に州法人税申告書を提出しなければなりません。株式会社に対して、ニューヨーク州法人所得税の申告期限は毎年4月15日です。ニューヨーク州株式会社の所得税はフランチャイズ税とMTA税(もしあれば)を含みます。フランチャイズ税は、営業収入の課税所得金額、資本の課税所得金額、または最低の均一税額のいずれか最も高い金額に準じます。MTA税は、主にニューヨークの大都市圏通勤地域(Metropolitan Commuter Transportation District:MCTD)内に事業活動を行う会社に適用され、当該地域以外に経営する会社がMTA税を納付する必要がありません。 |
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(2) |
ニューヨーク市法人所得税 ニューヨーク州のニューヨーク市で設立された会社は、ニューヨーク市の法人所得税を申告しなければなりません。ニューヨーク市法人所得税の申告期限は毎年4月15日です。ニューヨーク市株式会社の所得税は、営業収入の課税所得金額、資本の課税所得金額、または最低の均一税額のいずれか最も高い金額に準じます。 |
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(3) |
連邦法人所得税 内国歳入庁(IRS)の規定により、全ての株式会社は、課税所得があるかどうかにかかわらず、暦年の課税期間を採用している場合には、毎年4月15日までに法人税申告書を提出しなければならず、延長申請を行った場合には申告期限が10月15日となります。注意すべき点としては、申告期限が延長されたとしても、会社は確定申告書の提出期限(期限延期を含まない)までに納付すべき税額の全額を支払わないと、ペナルティおよび利子が科されます。 |
6. |
州外会社 |
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ニューヨーク州外で設立されたすべての株式会社は、ニューヨーク州において業務を展開する前に、必ずニューヨーク州の州務長官室に登記書類を提出し、州外法人として登記しなければなりません。また、州外会社はニューヨーク州における登録代理人を任命し、且つ当該登録代理人がニューヨーク州における物理的な住所を有する必要があります。注意すべき点としては、会社はニューヨーク州で州外法人登録を行う前に、設立州が過去6ヶ月以内に発行した会社存続証明書(Certificate of Existence)を提供することが要求されます。 |
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