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米国個人所得税の控除と優遇について(三)

米国個人所得税の控除と優遇について(三)

個人所得税体系において、法定控除(Deductions)及び優遇税制(Tax Credit)は、納税者が税負担を軽減するための二つの主要な手段です。以前の記事で紹介した控除は、調整後総所得又は課税所得を減少させることにより間接的に納税義務を軽減するものに対し、優遇措置は、法定の割合又は固定額を納税額と相殺することにより、直接的に納税義務を軽減するものです。

優遇措置は属性に応じ、「還付不可の控除」と「還付可能な控除」に分けられています。還付不可の控除とは、個人の税額をゼロにするよう設けられていますが、現金の形で還付するものではない優遇で、子女・被扶養者養育費税額控除、高齢者・障害者控除、教育費控除などを含みます。還付可能な控除とは、所得税額から控除され、たとえ給与から源泉徴収されていなかったとしても、控除額が税額を超えた場合に現金の形で還付することになるものです。具体的には保険料税、子供、勤労所得に関する優遇税制などが含まれます。本稿では、教育費控除、高齢者又は障害者控除を含む還付不可の控除について解説します。

  1. 子女・被扶養者養育費税額控除

    当該控除は、対象費用の35%が限度となります。費用の上限は、扶養家族が1人の場合は$3,000(米ドル、以下同じ)、2人以上の場合は$6,000です。

    1.1
    対象者

    子女・被扶養者養育費税額控除は、家計を維持し、雇用され、以下の者の養育費を負担する納税者に適用されます。

    (1)  世話を受けており、扶養義務がある13歳未満の子供
    (2)  被扶養者としての資格や年齢を問わず、被扶養者の扶養テスト(即ち、納税者が50%以上の生活費を支えること)を満たす障害者
    (3)  障害によって自立できない配偶者

    1.2
    勤労所得の要件

    子供養育費優遇をうけるためには、夫婦ともに賃金、給与、又は自営業純所得を受けている必要があります。ただし、一方が全日制の学生又は身体・精神障害がある者の場合、この限りではありません。控除額は、次のいずれかの低い方に基づいて算出されます。

    (1)  収入の少ない方の配偶者の勤労所得
    (2)  実際に支払った養育費
    (3)  支出上限額(子供1人が1人の場合は$3,000、2人以上の場合は$6,000)

    その後、適用される割合(最高35%)にかけて算出されます。

    1.3
    対象支出の範囲

    適格支出は、納税者が有給の仕事に従事する(即ち、就労又は求職を可能にする)ために支払う費用でなければなりません。例えば、ベビーシッターサービス、保育園や託児所の利用料などは含まれますが、小学校の学費は対象外です。

    1.4
    控除額の計算(所得基準はインフレ調整なし)

    (1)  控除率は、調整後総所得に応じ、認められる就労関連費用の20%~35%の間で変動します。
    (2)  調整後総所得が$43,000を超える納税者は、控除額が対象費用の20%となります。
    (3)  調整後総所得が$15,000を超えない納税者は、控除額が対象費用の35%となります。
    (4)  調整後総所得が$15,001~が$43,000である納税者は、控除率が20%~35%にスライドします。

  2. 高齢者・障害者控除

    65歳以上、又は65歳未満、永続的な障害により退職した個人は、適格な収入の15%相当額の控除を受ける資格があります。

    2.1
    基準額(インフレ調整なし)

    控除額の計算に使われる基準額は以下の通りです。

    (1)  独身者、寡婦、寡夫:$5,000
    (2)  一方が要件に該当し、合算申告をする夫婦:$5,000
    (3)  双方が要件に該当し、合算申告をする夫婦:$7,500
    (4)  要件に該当し、個別申告をする既婚者:$3,750

    障害所得が$5,000未満、65歳未満の適格者は、$5,000が基準額上限となります。

    2.2
    対象となる所得

    納税者の「対象となる所得」は以下のように算出されます。

    (1)    納税者が受け取る社会保障費及びその他の控除対象年金を控除します。

    (2)    次の閾値を超える納税者の調整後総所得の50%を控除します。
    (i)   独身納税者:$7,500
    (ii)  合算申告をする夫婦:$10,000
    (iii) 個別申告をする夫婦:$5,000

    2.2
    控除額の計算

    65歳以上の納税者は、高齢者・障害者控除の対象となります。この控除は、指定された金額に基づいて計算され、社会保障給付金やその他の非課税年金、及び指定された閾値を超える調整後総所得の50%が差し引かれます。結果が正の場合、その値に15%を乗じた額は、認められる控除額となります。

  3. 教育費控除

    一定の要件を満たす場合、納税者は米国教育機会税額控除、生涯学習税額控除、及び(又は)カバーデル教育貯蓄口座からの非課税配分(高等教育費用に充当されるもの)を利用し、高等教育費用を軽減することができます。

    3.1
    米国教育機会税額控除(最大$2,500)

    米国教育機会税額控除(AOTC)の対象費用は、認定された教育機関で就学する学生の最初の4年間の高等教育に発生した、対象となる授業料、教育費、教材費(教科書など)で、連邦所得税と相殺することができます。

    • 最大$2,500の控除額は、対象費用の最初の$2,000全額、及び課税年度中に支払われたその後の$2,000の25%から構成されます。特定の場合、AOTC額の40%は還付可能で、還付不可の部分は通常の所得税と代替ミニマム税の額と相殺することができます。即ち、最大$1,000($2,500×40%)の還付を受けることが可能です。

    • 対象費用は学生ごとに決まり、納税者、その配偶者又は扶養家族のために支払われたものでなければなりません。親が子供を扶養家族として申告した場合、親と子供がそれぞれ負担した経費は、親が支払ったものとみなされます。学生は、課税年度中に少なくとも1つの学期において、半期以上の在籍要件を満たしている必要があります。当年又は前年度に連邦又は州の薬物関連重罪で有罪判決を受けた学生は、当該優遇を適用できません。

    • 修正総所得(AGI)が$80,000(合算申告の場合は$160,000)を超える場合、控除額が段階的に減額されます。修正総所得が$90,000(合算申告の場合は$180,000)を超えると完全に適用されなくなります。閾値はインフレに応じて調整されません。

    3.2
    生涯学習税額控除(最大$2,000)

    生涯学習税額控除(LLC)の対象費用は、適格な教育機関における適格な授業料及び教育関連費用(教育機関が購入を強制にする場合を除き、教科書は対象外)です。年数に対する制限はありません。

    • 控除額は、最大$10,000までの対象費用の20%となります。対象費用には、学部課程、大学院課程、特定の専門学位課程の授業料、及び職業技能の習得や向上を目的としたコース費用が含まれます。当該費用は、学生ではなく納税者1人(合算申告をする夫婦は1人に取り扱われる)にあたり計算されます。従って、対象となる学生の人数に関わらず、最大控除額は$2,000です。

    • AOTCと同じ、被扶養者である子供が支払った費用は親が支払ったものとみなされます。

    納税者は、年次確定申告書において上記の優遇措置のいずれかを選ぶ必要がありません。例えば、親は同一の課税年度に、1人の子どもの教育費用に対してLLCを、別の子どもの費用に対してAOTCをそれぞれ請求することができます。

    3.3
    カバーデル教育貯蓄口座(Coverdell ESA)

    カバーデル教育貯蓄口座は、特定の受益者の対象となる教育費用を賄うために設立されています。当該口座への拠出金は税引前控除の対象外です。年間拠出限度額は受益者1人あたり$2,000です。口座内の収益が非課税で積み立てられるのは可能です。元本と利息は、指定された受益者の対象となる教育費用(要件に該当する小学校・中学校の教育費用を含む)に使われる場合、非課税となります。

  4. 退職勘定拠出額控除(セーバーズ控除)

    伝統的退職勘定(IRA)、ロスIRA、401(k)プラン、SIMPLE IRA(自営業者向け)、及びその他の対象となるプランへの拠出金には、通常の所得税や代替ミニマム税の課税額と相殺できる、還付不可の控除が適用されます。2018~2025年の課税年度に、Achieving a Better Life Experience(ABLE)プランの受益者は、ABLE口座への拠出金に対してセーバーズ優遇措置を申請できます。ただし、ABLE口座の保有者でない受益者以外の拠出者にはこの措置が適用されません。

    要件に該当する納税者は、課税年度末時点で18歳以上のフルタイムの学生又はそのほかの納税者の被扶養者である納税者です。さらに、当該優遇は、Form 8880の控除限度額計算書に基づく個人の税額を上限とし、未使用の部分が翌年度に繰り越すことはできません。

  5. 外国税額控除

    納税者は、外国又は米国の領土に支払った所得税について控除を請求することができますが、個人がもらえる控除額に限度があります。控除請求の代わりに、個人は支払った外国税額を項目別控除として控除することができます。

    項目別控除とする場合、外国税額は控除上限がありません。但し、外国税額控除(FTC)の控除額は、納付済外国税額、又は(外国事業からの課税所得÷国内外の課税所得)×米国税(FTC適用前)のいずれか低い方が上限となります。認められなかったFTCは、1年間遡及し、10年間繰り越すことができます。詳細については、https://www.kaizencpa.com/jp/Knowledge/info/id/1772.html を参照してください。

  6. 一般事業控除

    一般事業控除には、投資税額控除、就労機会税額控除、研究開発税額控除(通常、年間基準額を超える適格研究開発費の超過分の20%)、低所得者向け住宅税額控除、事業主が提供する保育費に対する税額控除、有給の家族・医療休暇への税額控除、エネルギー税額控除、及びその他の非定期的な税額控除が含まれます。

    控除額は、「純所得税額」(通常の所得税額と代替ミニマム税額の合計から、代替ミニマム税額控除を除く還付不可の控除の控除額を差し引いた額)から、$25,000を超える通常税負担の25%と当該年度の「暫定最低税額」のいずれか大きい方を差し引いた額を超えてはなりません。認められなかった一般事業控除の控除額は、1年間遡及し、20年間繰り越すことができます。

参考資料:
https://www.irs.gov/pub/irspdf/f1040s1.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p529.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p590a.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-drop/n-23-75.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/i3903.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p550.pdf

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