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米国個人所得税の控除と優遇について(一)

米国個人所得税の控除と優遇について(一)

米国の個人所得税制度において、納税者は法定控除(Deductions)及び優遇税制(Tax Credit)を通じて税負担を合理的に軽減することができます。そのうち、控除の仕組みは2つあります。一つは、調整後総所得(Adjusted Gross Income:AGI)を計算する前に総所得から差し引かれる「調整項目(For AGI deductions)」で、もう一つは、課税所得を計算するために調整後総所得から差し引かれる「控除項目(From AGI Deductions)」です。納税者はその2つのいずれかを選ぶ必要があります。

この記事では、教育者費用、個人退職勘定、学生ローン利息などを含む調整項目について簡単に解説します。

  1. 教育者費用(Educator Expenses)

    対象となる教育者とは、1学年に900時間以上勤務する、幼稚園から高校3年生までの教師、講師、カウンセラー、校長、又は助教です。

    1.1
    控除限度額

    対象となる教育者は、対象となる支払済費用(以下「対象費用」という)に対して300米ドル以下の控除額を申請することができます。

    対象となる教育者である夫婦2人は、合算申告を行う場合、600米ドル以下の控除額を適用しますが、そのいずれが自身の対象費用に対して申請できる控除限度額は300米ドルです。

    1.2
    対象費用の範囲

    (1)
    教室で使われる書籍、消耗品、機器(コンピューター、ソフトウェア、サービスを含む)、及びその他の材料に関する通常の費用や必要な費用は含まれます。通常の費用とは教育分野でよくあり、かつ認められている費用をいいます。必要な費用とは教育者としての職業に役立ち、適切な費用をいいます。

    (2)
    職業訓練の費用は控除対象です。

    (3)
    家庭教育費用、健康教育や体育の授業における非スポーツ用品の費用は含まれません。

  2. 個人退職勘定(Individual Retirement Accounts:IRA)

    個人退職勘定への年間拠出限度は、婚姻状況、年齢、勤労所得(Earned Income)によって決まります。2024年と2025年の限度額は同じです。50歳未満の独身納税者の場合、最大拠出額は7,000米ドルです。50歳以上の場合は、限度額が8,000米ドルに増えます。合算申告を行う夫婦の場合、2人とも50歳未満の場合は14,000米ドル、少なくとも一方が50歳以上の場合は16,000米ドルの合計限度額が適用されます。

    上記の法定限度額に関わらず、実際の拠出額は納税者の勤労所得(給与、賃金、手数料、ボーナス、自営業による所得など)を超えてはなりません。IRAには、控除可能な伝統的IRA、ロス IRA、控除不可の伝統的IRAの3種類があります。

    2.1
    控除可能な伝統的IRA

    納税者又はその配偶者は、雇用主が提供する年金プランに加入している場合、伝統的なIRAへの拠出金の控除額が制限されます。控除可能な拠出金は、以下の範囲内で段階的に減額されます。

    (1)  独身納税者:77,000~87,000米ドル(2024年)、79,000~89,000米ドル(2025年)
    (2)  合算申告を行う夫婦:123,000~143,000米ドル(2024年)、126,000~146,000米ドル(2025年)

    結婚している納税者が雇用主の年金プランの積極的な加入者でなくても、その配偶者が加入者である場合、積極的な加入者でない者の控除額は、以下の範囲内で段階的に減額されます。

    (1)  合算申告を行う夫婦:230,000~240,000米ドル(2024年)、236,000~246,000米ドル(2025年)
    (2)  個別申告を行う夫婦:0~10,000米ドル(加入者も加入者でない者も適用)

    2.2
    ロスIRA (Roth IRA)

    ロスIRAへの拠出可能な範囲は、修正調整後総所得(Modified Adjusted Gross Income:MAGI)の段階的減額範囲によって制限され、その範囲は申告状況によって異なります。2024年、独身納税者は146,000~161,000米ドルの段階的減額が適用されます。夫婦が合算申告を行う場合、2024年の段階的減額範囲は230,000~240,000米ドルで、2025年には236,000~246,000米ドルに増額されます。個別申告を行う夫婦の段階的減額範囲は10,000米ドル以下です。注意すべき点は、納税者が雇用主が提供する年金プラン(SEPやSIMPLE IRAなど)の積極的な参加者であるかどうかに関わらず、拠出限度額は同じままです。

    伝統的なIRAとは異なり、ロスIRAは口座所有者が生きている間に必要最低分配額(RMD)規則の対象となりません。ロスIRAからの適格な分配は、納税者がRoth IRAへの最初の拠出を行った後、少なくとも5年経過後に実施されなければならず、かつ、以下のいずれかの状況下で行われなければなりません。

    (1)  納税者が59歳半に達した場合
    (2)  納税者の死亡後に受益者に分配する場合
    (3)  納税者が障害を負った場合
    (4)  初めて住宅を購入する者が主要な居住用住宅を購入する場合

    さらに、伝統的なIRAからロスIRAへのロールオーバーは認められていますが、特定の税務処理の対象となります。

    2.3
    控除不可の伝統的IRA

    伝統的IRAへの拠出金に対する控除が制限されている場合、代わりに非控除対象の伝統的IRA拠出を行うことができます。

    2022年12月31日以降に72歳に達する者については、納税者が73歳に達した年の翌年4月1日までに最低分配額を受け取る必要があります。

  3. 学生ローンの利息控除

    教育ローン利息の控除額は2,500米ドルまでです。調整額は、調整後総所得(AGI)が以下の通りに段階的に減額されます。

    (1)  独身納税者:80,000~95,000米ドル(2024年)、85,000~100,000米ドル(2025年)
    (2)  既婚納税者:165,000~195,000米ドル(2024年)、170,000~200,000米ドル(2025年)

    納税者は、貸付金の支払いに法的に義務付けられています(例:親が子供の学生ローンに対して支払った利息は、控除対象の調整額として認められない)。納税者が対象となる教育費用を支払うために借り入れた貸付金の利息のみは控除可能です(例:住宅担保ローン(HELOC)などの一般的な貸付金は対象外)。

  4. 医療貯蓄口座(Health Savings Accounts:HSA)

    医療貯蓄口座は、高額自己負担型健康保険(High-Deductible Health Plan:HDHP)に加入する従業員が、医療費の支払いのための課税前拠出金を積み立てることができる制度です。

    HSAから支払われ、口座の受益者の対象となる医療費を支払うための金額は、総所得に含められません。対象となる医療費の支払いに使われなかった金額は、総所得に含められ、20%の罰金が課されます。

    4.1
    課税前拠出限度額(2025年)

    個人は4,300米ドル、家族は8,550米ドルです。55歳以上の納税者は1,000米ドルの限度額を追加適用します。

    4.2
    高額自己負担型健康保険プラン

    高額自己負担型健康保険プラン(HDHP)は、2025年に個人で1,650米ドル、家族で3,300米ドルの最低年間免責額(物価連動型)を有するプランです。

    4.3
    自己負担限度額

    自己負担費用には、免責額、共済金、及びプランの給付を受けるために支払わなければならないその他の金額(保険料を除く)が含まれます。自己負担費用は2025年に個人で8,300米ドル以下、家族で16,600米ドル以下です

  5. 引越費用

    アメリカ合衆国軍隊の現役メンバーの出張費や宿泊費、家庭用品の輸送費などの引越費用は控除対象となります。

    5.1
    軍人

    米国軍隊の現役軍人が軍事命令に基づき長期間的な配置転換のため引越しを行う場合、引越し費用を控除できます。引越し費用が支給された場合、その支給額は総所得に含められず、再度控除を申請することができません。軍人の配偶者や家族は、軍人と一緒に引越しなくても、当該減免措置を受けることができます。

    5.2 直接的な引越費用に限る

    控除できる引越費用には、納税者とその家族の旅行費、宿泊費、及び家庭用品や個人物品を旧住所から新住所へ輸送する費用が含まれます。2024年、輸送費用は実際の自己負担費用又は1マイルあたり21セントの基準で控除されます。マイル基準を使う場合、通行料と駐車場料金も控除できます(その他の費用は控除不可)。

  6. 自営業者税(50%控除可能)

    自営業者で事業所得がある納税者は、納付した所得税及び社会保険/メディケア税(自営業者税とも呼ばれる)の50%が、調整後総所得を計算する時に控除可能です。

  7. 自営業者の健康保険(100%控除可能)

    自営業者は、本人、配偶者、及び扶養家族のために支払った医療保険料の全額を控除できますが、保険プランが本人又はその事業の名義で立てられる場合に限ります。

  8. 簡易従業員年金(SEP))

    自営業者税を納付する自営業者は、簡易従業員年金(SEP)を設立することが認められています。年間拠出金の最大額は、2024年の69,000米ドル(2025年は70,000米ドル)とSEP純所得(自営業による純所得)の25%のいずれか低い額に限られます。

    SEP純所得とは、SEPへの拠出額と自営業者税の半額を差し引いた後の営業所得を指します。SEPへの拠出額を控除した後の個人事業所得の25%は、控除前所得の20%(25%÷125%)に数学的に相当する点に注意が必要です。

  9. アリモニー(Alimony)

    2018年12月31日以降に離婚協議を締結又は変更した場合、アリモニーを支払う配偶者はその金額を控除できず、受取側の配偶者はその金額を収入に計上できません。

    支払い金額のうち、判決又は協議により未成年子の養育費として定められた部分(又は子の状況による部分、例えば一定の年齢に達することなど)も、支払側の配偶者は控除できず、受取側の配偶者は収入に計上できません。

    離婚協議に配偶者が慰謝料の支払い又は財産分与が定められる場合、その配偶者は支払った金額が控除できず、受取側の配偶者の総所得に計上できません。

  10. 定期預金の中途解約手数料

    定期預金(CD)が満期前に解約された場合、中途解約により発生する罰金は、利息損失に該当します。

参考情報:
https://www.irs.gov/pub/irspdf/f1040s1.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p529.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p590a.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-drop/n-23-75.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/i3903.pdf
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p550.pdf

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