1. |
会社法によるコンプライアンス要求 | |
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1.1 |
会社秘書役(Company Secretary) |
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シンガポール会社法に基づき、全てのシンガポール会社は設立後6ヶ月以内に秘書役を1人選任しなければなりません。通常は、初代の秘書役が会社設立時に委任されます。会社秘書役は取締役・取締役会によって委任されます。その後、秘書役の情報にいかなる変更があった場合(個人情報変更の場合も含む)、会社は変更後14日以内にその旨を会計企業規制庁(ACRA)に通知する必要があります。 シンガポール会社の秘書役に就任する者はシンガポール居住者でなければなりません。シンガポール居住者とは、シンガポール国民、永住権保持者、EP保持者、S Pass保持者またはアントレパス(起業家ビザ)保持者を指します。 会社秘書役の業務は以下の通りです。 (1) 名目的取締役(Nominee Director)名簿及び実質的支配者名簿の作成・保管 (2) 取締役会及び株主総会の議事録・書面決議書の作成及び保管 (3) 会社の各法定記録帳の作成及び保管 (4) ACRAへの通知書及び申告書の提出 |
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1.2 |
登記住所(Registered Office) |
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シンガポール会社法の要求により、全てのシンガポール会社は設立された日からシンガポールにおける登記住所を有しなければなりません。登記住所とは、会社までの連絡・通知を受け取り、且つ会社の法定名簿及び法定記録帳を保存する住所です。 登記住所は毎営業日の通常営業時間内に最低5時間運営し、且つ公衆に訪問可能でなければなりません。登記住所がシンガポールにおける物理的な住所でなければならないので、メールアドレスを登記住所とすることができません。 |
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1.3 |
現地取締役(Local Director) |
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シンガポール会社法に基づき、全てのシンガポールの非公開株式会社はシンガポール居住者である取締役を最低1名選任しなければなりません。当該現地取締役は以下の要件を満たさなければなりません。
(1) シンガポール国民、永住権保持者、アントレパス(EntrePass)保持者又はEP保持者 (2) 年齢が満18歳 (3) 完全な法的能力を有する (4) 取締役になる資格を失った者(破産者で復権を得ない者など)ではない |
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1.4 |
会社名称と個別企業登録番号の開示 |
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会社名は会社印鑑、および会社又は会社の代表が発行・署名した全てのビジネスレター、勘定書、領収書、官報、出版物、為替手形、約束手形、裏書、小切手、注文書、レシート及び信用状等においてはっきりしたローマ字で明記されなければなりません。 個別企業登録番号(法人登記番号)は会社又は会社の代表が発行・署名した全てのビジネスレター、勘定書、領収書、官報及び出版物などにおいてはっきり明記されなければなりません。 |
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1.5 |
会社の高級管理職とその情報の変更 |
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取締役、最高経営責任者、秘書役及び監査人等の委任が変更された場合(委任、辞任を含む)、会社は変更する日から14日以内にACRAに通知する必要があります。 さらに、取締役、最高経営責任者、秘書役及び監査人等の個人情報(国籍、パスポート番号、住所等)が変更された場合、会社は変更する日から14日以内にACRAに通知する必要があります。さもなければ、ACRAは会社の違反行為に対して罰金を課します。 |
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1.6 |
年次株主総会 |
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年次株主総会(Annual General Meeting: AGM)は会社の法定会議であり、年に1回開催しなければなりません。AGMにおいて株主に対して会社の経営状態を報告します。会社はAGMにおいて株主へ年次財務諸表を提出する必要があり、株主は会社の財務諸表及び経営状態について質問することができます。また、株主は会社の重要事項(例えば、取締役の選任または配当金を出すこと)の決定について投票を行うことができます。 シンガポールの非公開有限会社は会計年度末日から6ヶ月以内にAGMを開催しなければなりません。さもなければ、会社及びその全てのオフィサーは会社法に違反したことにより最高5,000シンガポール・ドル(以下、Sドル)の罰金が科せられます。 会社は年次株主総会の開催及び年次報告書(Annual Return)の提出のために、定められた期限内にAGMを開催できなくて、且つ年次財務諸表を作成する時間がさらに必要となる場合に、年次株主総会の延期を申請することができます。 |
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1.7 |
年次申告書(Annual Return) |
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シンガポール非公開有限責任会社は会計年度末から7ヶ月以内に年次報告書をACRAに提出しなければなりません。さもなければ、会社及びその高級管理職全員は会社法に違反し、5,000 SGD以下の罰金が課されます。会社の高級管理職は法廷において起訴され、高級管理職を務めることが禁止される可能性があります。 |
2. |
コープパスの登録と維持 |
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コープパス(Singapore Corporate Access、CorpPass)は会社の電子IDであり、政府機関のウェブサイトに登録し、政府機関との取引及び申告に使用されます。例えば、会計企業規制庁のウェブサイトにアクセスして会社の法定書類を提供し、内国歳入庁(IRAS)のウェブサイトにアクセスして会社の法人税を申告します。 規定により、全てのシンガポール会社はコープパスを申請する必要があります。コープパスはシンガポール会社がシンガポール政府に関する手続きを行うために使用できる唯一の認証方法です。 |
3. |
税法によるコンプライアンス要求 | |||||
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3.1 |
法人所得税 | ||||
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シンガポール納税者は、会計年度末(FYE)から3ヶ月以内に税務機関へ見積課税所得額(ECI)を提出する必要があります。但し、2017課税年度及びその後の年度では、以下の要件に該当する場合は申告が不要です。 (1) 会計年度内の年間収入は500万SGD未満であること。 (2) その会計年度に見積る税がないこと。 税務機関は毎年5月に納税者へ番号付き申告書Cを送付します。納税者は申告書を受け取った後、要求に従い記入し、電子申告又は郵送等で税務機関へ提出します。税務機関は納税者の提出した申告書類を申請し、納税通知書(Notice of Assessment)を納税者に郵送します。納税者は納税通知書を受け取る日から1ヶ月以内に税金を納付します。さもなければ、税務機関は未払い税金に対して罰金を課します。 |
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3.2 |
物品サービス税(Goods and Service Tax:GST) | ||||
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3.3 |
年間給与明細書 |
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従業員を雇っているシンガポール会社は雇用主として毎年3月1日までに、シンガポールで働いている従業員全員のために、フォームIR8A及び添付書類8A、添付書類8B又はフォームIR8S(適用の場合)を作成する必要があります。従業員は上述のフォームに基づいて個人所得税の申告を行います。 従業員を7人以上雇用しているシンガポール会社は、毎年3月1日までにIRASにフォームIR8Aを提出しなければなりません。従業員が7人未満である場合、記入済Form IR8Aを発行することは結構であり、IRASへの提出は不要です。 |
4. |
年次財務諸表及び監査 | |
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4.1 |
財務諸表 シンガポール会社法により、年次株主総会(AGM)前の半年以内に作成された監査済財務諸表を株主全員に渡し、会議で提出する必要があります。一般的に、1つ又は複数の子会社を持っており、シンガポールで設立された会社は連結財務諸表を作成しなければなりません。但し、シンガポール財務報告基準(SFRS)第110号「連結財務諸表」による特定基準に該当する場合、この限りではありません。 財務諸表には以下の書類が含まれています。 (1) 損益計算書 (2) 貸借対照表 (3) 株主資本等変動計算書 (4) キャッシュフロー計算書 (5) 財務諸表注記 シンガポール財務諸表基準第1号により、財務諸表には取締役報告書(Director’s Report)及び会計監査人の監査報告書(Auditor’s Report)が含まれる必要があります。取締役は、財務諸表が会社の財政状態を真実かつ公正で反映され、会社が満期の債務を弁済する能力があると信じる合理的な理由があることを宣言しなければなりません。 |
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4.2 |
監査人(Auditor)の選任 シンガポール会社法の規定により、シンガポールで設立された全ての有限責任会社は設立する日から3ヶ月以内に監査人(Auditor)を委任し、毎年の財務諸表の監査がシンガポールの公認会計士によって行われなければなりません。但し、会社法第205B(休眠会社)及び205C(小規模非公開会社)に該当して監査が免除される場合、この限りではありません。 |
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4.3 |
監査の免除 会社は以下の要件に該当する場合に小規模会社とみられ、法定会計監査が免除されます。 (1) その会計年度内に非公開会社とみられること。 (2) 直近連続2会計年度内に、以下の3つ基準のうちに2つに該当する場合 (i) 各会計年度の年間収入総額は1000万SGDを超えないこと。 小規模グループの一部(親会社又は子会社)を構成している会社は、以下の要件に該当する場合、会計監査が免除されます。 (1) その会社が小規模会社としての資格を有すること。 (2) 所属するグループが「小規模グループ」としての資格を有すること。 |
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4.4 |
未監査の財務諸表(Unaudited Financial Statements) 適格な小規模会社は、監査人を委任し、監査人に年間財務諸表の監査を行わせる必要がありませんが、未監査の財務諸表を作成しなければなりません。未監査の財務諸表の作成は、IRAS及びACRAへの年間納税申告書及び年次申告書の提出要件に該当します。一連の未監査の財務諸表は監査報告書との違いが監査人の監査意見のみが欠けており、基本的には同じです。未監査の財務諸表には説明書類が含まれ、取締役会の報告書及び取締役会の声明が添付されます。上述の報告書は、シンガポール会計基準(SFRS)に基づき作成され、国際財務報告基準(IFRS)に該当します。 |
5. |
中央積立基金の登録・拠出 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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シンガポールの中央積立基金(Central Provident Fund:CPF)とは、政府、雇用主、従業員が共に支えており、法律より保護されている強制貯蓄制度です。シンガポール会社は従業員を雇用する前に、中央積立基金庁に積立基金を申告・納付するためにシンガポールの中央積立基金庁(CPF Board)に登録を行い、CPF登録番号(CSN)を取得しなければなりません。雇用主は中央積立基金法(CPF Act)に基づき、所定の拠出率でCPFに積み立てるとともに、従業員の月給から拠出金として納付すべき積立基金を控除する必要があります。 雇用主は毎月末に中央積立基金を中央積立基金庁に納付しなければなりません。一般的には、雇用主は14日間の猶予があります。即ち、雇用主は賃金支給月の翌月14日までに拠出金を支払うことができます。 |
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6. |
コンプライアンス・コスト | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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上述の通り、シンガポール会社はACRAで設立されると、シンガポールの会社法及び税法の各規定(例えば会計年度の決定及び監査人の委任等)に従わなければなりません。また、会社は規制される業務を行う場合には、関係監督部門に免許又は許可を申請する必要があります。当社のシンガポールにおける公認会計士事務所は、会計記帳、財務諸表監査、税務申告、給与計算及び支払代行等の全面的なコンプライアンスサービス及び業務サービスを提供しています。シンガポール会社に対するサービスの内容及びその費用は下表をご参照ください。
備考:
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