2019年1月1日から、中国は新個人所得税法を施行しています。規定により、納税者が取得した給与・賃金所得に対して7級の超過累進税率が適用され、年別に個人所得税を合算し、月別による予納徴収の方式を実行して即ち累計源泉徴収法によって個人所得税を計算し納付します、そのうえ、所得を取得する実際の状況により翌年3月1日から6月30日までに合算清算納付を行わなければなりません。
2019年1月1日から、居住者個人は総合所得の課税所得額を計算する時、子女教育、継続教育、大病医療、住宅ローン利息、住宅家賃、及び高齢者扶養が含まれている六項特別付加控除を享受できます。
2018年末以来、中国税務部門が特別付加控除の政策について大量の宣伝を行って、大部分の納税者が特別付加控除に対して一定の理解を得て且つ申告を行いました。でも、税務部門は累計源泉徴収法という新たに実行された個人所得税の計算方式について必要な宣伝と普及を行いません。実は、累計源泉徴収の計算方式は企業のキャッシュフローに対しても個人のキャッシュフローに対しても比較的に大きな影響を与えます。
1. 累計源泉徴収法の定義
累計源泉徴収法とは、源泉徴収義務者が1納税年度において税額を予納徴収する時、納税者が本事業体において当月まで取得した給与・賃金所得の累計収入額から免税収入累計額、基礎控除累計額、特別控除累計額、特別付加控除累計額と法により確定したその他の控除項目の累計額を差し引いた後の残高を累計源泉徴収課税所得額とし、累計源泉徴収税額を計算し、更に減免税額累計額と既納源泉徴収税額の累計額を差し引き、その残額を当期の源泉徴収税額とします。
2. 累計源泉徴収法の適用範囲
源泉徴収義務者は居住者個人に給与・賃金所得等の総合所得を支給する時、累計源泉徴収法によって税額を計算しかつ、毎月個人所得税を源泉徴収します。
累計源泉徴収法は居住者個人が給与・賃金所得を取得する時個人所得税を計算することだけに適用されて、非居住者個人は給与・賃金所得を取得する時、月毎又は都度通りに個人所得税を計算しなければなりません。
3. 累計源泉徴収法の計算式
当期の源泉徴収税額 = (源泉徴収課税所得額の累計額×源泉徴収税率-速算控除額)-減免税額の累計額-既納源泉徴収税額の累計額
源泉徴収課税所得額の累計額 = 収入累計額-免税収入累計額-基礎控除累計額-特別控除累計額-特別付加控除累計額-法により確定したその他の控除項目の累計額
注1: 当期の源泉徴収税額がマイナスとなる場合、税額は暫時還付されず、納税年度終了時に残高が依然としてマイナスである場合、納税者は総合所得の年度確定申告を行い、過不足税額の清算を行うことができます。
注2: 年度源泉徴収税額と年度課税額が一致しない場合、居住者個人は翌年3月1日から6月30日までに税務署に年度確定申告を行い、過不足税額の清算を行います。
計算式の説明:
(1) 基礎控除累計額は、5,000元/月に納税者が当年度において本企業に当月まで勤務する月数を乗じて算出されます。
(2) 特別控除累計額は、毎月の法定控除基準に基づき、納税者が当年度において本企業に当月まで勤務する期間の累計控除額によって算出されます。特別控除項目には、居住者個人が国の規定する範囲と基準により納付した基本養老保険、基本医療保険、失業保険などの社会保険費用、住宅積立金が含まれています。
(3) 特別付加控除累計額は、申告した控除基準に基づき、納税者が当年度において本企業に当月まで勤務する期間の累計控除額によって算出されます。特別付加控除項目には、子女教育、継続教育、大病医療、住宅ローン利息又は住宅家賃、高齢者扶養の六つの支出が含まれています。
(4) 法により確定したその他の控除項目の累計額は、毎月の法定控除基準に基づき、納税者が当年度において本企業に当月まで勤務する期間の累計控除額によって算出されます。その他の控除項目には、居住者個人が納付する国の規定に合致する企業年金、職業年金、個人が購入する国の規定に合致する商業健康保険、税収繰延型の商業養老保険の支出、及び国務院が控除と定めるその他の項目が含まれています。
(5) 特別控除、特別付加控除と法により確定したその他の控除は、居住者個人の1納税年度の課税所得額を限度額とします;1納税年度に控除しきれない部分は、後年度に繰越し控除できません。
(6) 源泉徴収税率及び速算控除額、即ち給与・賃金所得に適用される個人所得税率表
級数
|
累計源泉徴収課税所得額
|
税率(%)
|
速算控除額
|
1
|
36,000元以下
|
3
|
0
|
2
|
36,000元以上144,000元まで
|
10
|
2,520
|
3
|
144,000元以上300,000元まで
|
20
|
16,920
|
4
|
300,000元以上420,000元まで
|
25
|
31,920
|
5
|
420,000元以上660,000元まで
|
30
|
52,920
|
6
|
660,000元以上960,000元まで
|
35
|
85,920
|
7
|
960,000元以上
|
45
|
181,920
|
4. 累計源泉徴収法の具体例
「例1」
社員Aは、2017年入社し、2019年毎月の給与が11,000元であり、基礎控除額が5,000元であり、「三険一金」(養老保険、医療保険、失業保険、住宅積立金)などの特別控除額が1,700元であり、住宅家賃特別付加控除額が1,500元であり、減免収入及び減免税額等がない場合、最初の三ヶ月を例にして、その源泉徴収税額の計算方法は以下の通りです。
1月: (11,000-5,000-1,700-1,500)×3% =84元
2月: (11,000×2-5,000×2-1,700×2-1,500×2)×3%-84 =84元
3月: (11,000×3-5,000×3-1,700×3-1,500×3)×3%-84-84 =84元
更に計算すると、当該納税者の源泉徴収課税所得額の年間累計額は33,600元であり、3%の税率がずっと適用されていますから、毎月の源泉徴収税額が同じです。
「例2」
社員Bは、2017年入社し、2019年毎月の給与が40,000元であり、基礎控除額が5,000元であり、「三険一金」(養老保険、医療保険、失業保険、住宅積立金)などの特別控除額が6,000元であり、子女教育費、住宅ローン利息、高齢者扶養費の三つの特別付加控除額が合計3,000元であり、減免収入及び減免税額等がない場合、最初の三ヶ月を例にして、その源泉徴収税額の計算方法は以下の通りです。
1月: (40,000–5,000-6,000-3,000)×3% =780元
2月: (40,000×2-5,000×2-6,000×2-3,000×2)×10% -2,520 -780 =1,900元
3月: (40,000×3-5,000×3-6,000×3-3,000×3)×10%-2,520–780 -1,900 =2,600元
上述の計算結果によると、2月の源泉徴収課税所得額の累計額が52,000元であり、10%の税率が適用されますから、2月と3月の源泉徴収税額が引き上げられます。
5. 累計源泉徴収法と旧個人所得税計算方法の比較及び影響
2019年1月は特別付加控除政策を実施した初月です。張さんはある会社の管理職であり、自分が取得した給与が先月よりほぼ8,000元増えたことを発見しました。そして、給与明細書にはその個人所得税額が確かに先月より8,000元余り減ったことが表示されました。従って、張さんは、彼の申告した二つの特別付加控除項目による個人所得税の減額が数千元に達するかという疑問を持って、且つ財務人員の計算が間違うか否かと疑っています。
実は、張さんの給与に対して財務人員の計算は間違いません。実際に取得した給与が増えた主な原因は、個人所得税の計算方法の変更であり、毎月の納付制から累計源泉徴収法に変更されたからです。累計源泉徴収法によって、一部分の納税者の「個人所得税の減少、給与の増加」という現象が前期に現れますけど、これは一時的な仮象だけであり、この現象は1納税年度内にだんだん「個人所得税の増加、給与の減少」という現象に変わります。
旧の個人所得税の計算方法が当月の給与収入のみを対象としますが、累計源泉徴収法では、当年度の給与収入の累計額を対象とします。累計源泉徴収法の最も顕著な特徴は、毎月累計課税所得額が増加するのに伴い、適用税率が段階的に高くなる可能性があり、個人所得税もますます高くなる可能性があり、納税者が手に入れる実際の給与がだんだん減少する可能性があることです。
「例3」
社員Cは、毎月の給与が25,000元であり、その他の控除項目がない場合、新旧の計算方法によって、その個人所得税の計算が以下の通りです。
(1)2018年旧の個人所得税の計算方法:
税期
|
給与収入
|
基礎控除
|
課税所得額
|
税率
|
速算控除額
|
個人所得税の課税額
|
1月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
2月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
3月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
4月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
5月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
6月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
7月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
8月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
9月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
10月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
11月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
12月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
20%
|
1,410
|
2,590
|
|
|
|
|
|
合計
|
31,080
|
(2) 2019年実行した新累計源泉徴収法
税期
|
給与収入累計額
|
基礎控除累計額
|
課税所得額の累計額
|
税率
|
速算控除額
|
予納する個人所得税の累計額
|
当期の納付個人所得税
|
1月
|
25,000
|
5,000
|
20,000
|
3%
|
0
|
|
600
|
2月
|
50,000
|
10,000
|
40,000
|
10%
|
2,520
|
600
|
880
|
3月
|
75,000
|
15,000
|
60,000
|
10%
|
2,520
|
1,480
|
2,000
|
4月
|
100,000
|
20,000
|
80,000
|
10%
|
2,520
|
3,480
|
2,000
|
5月
|
125,000
|
25,000
|
100,000
|
10%
|
2,520
|
5,480
|
2,000
|
6月
|
150,000
|
30,000
|
120,000
|
10%
|
2,520
|
7,480
|
2,000
|
7月
|
175,000
|
35,000
|
140,000
|
10%
|
2,520
|
9,480
|
2,000
|
8月
|
200,000
|
40,000
|
160,000
|
20%
|
16,920
|
11,480
|
3,600
|
9月
|
225,000
|
45,000
|
180,000
|
20%
|
16,920
|
15,080
|
4,000
|
10月
|
250,000
|
50,000
|
200,000
|
20%
|
16,920
|
19,080
|
4,000
|
11月
|
275,000
|
55,000
|
220,000
|
20%
|
16,920
|
23,080
|
4,000
|
12月
|
300,000
|
60,000
|
240,000
|
20%
|
16,920
|
27,080
|
4,000
|
|
|
|
|
|
|
合計
|
31,080
|
【例4】
張さんはある会社の管理職であり、毎月の給与が55,000元であり、その他の控除項目がない場合、その個人所得税の計算が以下の通りです。
(1)2018年旧の個人所得税の計算方法:
税期
|
給与収入
|
基礎控除
|
課税所得額
|
税率
|
速算控除額
|
個人所得税の課税額
|
1月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
2月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
3月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
4月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
5月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
6月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
7月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
8月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
9月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
10月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
11月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
12月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
30%
|
4,410
|
10,590
|
|
|
|
|
|
合計
|
127,080
|
(2)2019年実行した新累計源泉徴収法:
税期
|
給与収入累計額
|
基礎控除累計額
|
課税所得額の累計額
|
税率
|
速算控除額
|
予納する個人所得税の累計額
|
当期の納付個人所得税
|
1月
|
55,000
|
5,000
|
50,000
|
10%
|
2,520
|
|
2,480
|
2月
|
110,000
|
10,000
|
100,000
|
10%
|
2,520
|
2,480
|
5,000
|
3月
|
165,000
|
15,000
|
150,000
|
20%
|
16,920
|
7,480
|
5,600
|
4月
|
220,000
|
20,000
|
200,000
|
20%
|
16,920
|
13,080
|
10,000
|
5月
|
275,000
|
25,000
|
250,000
|
20%
|
16,920
|
23,080
|
10,000
|
6月
|
330,000
|
30,000
|
300,000
|
20%
|
16,920
|
33,080
|
10,000
|
7月
|
385,000
|
35,000
|
350,000
|
25%
|
31,920
|
43,080
|
12,500
|
8月
|
440,000
|
40,000
|
400,000
|
25%
|
31,920
|
55,580
|
12,500
|
9月
|
495,000
|
45,000
|
450,000
|
30%
|
52,920
|
68,080
|
14,000
|
10月
|
550,000
|
50,000
|
500,000
|
30%
|
52,920
|
82,080
|
15,000
|
11月
|
615,000
|
55,000
|
550,000
|
30%
|
52,920
|
97,080
|
15,000
|
12月
|
660,000
|
60,000
|
600,000
|
30%
|
52,920
|
112,080
|
15,000
|
|
|
|
|
|
|
合計
|
127,080
|
本稿の中に挙げた例は比較的に簡単であり、二種の計算方法による毎月の個人所得税の増減変化に対する対比を目指しますためです。だから、給与収入から5,000元の法定基礎控除のみを差し引き、社会保険、住宅積立金及び特別付加控除等の項目を控除しなく、且つ納税者の毎月の給与が一致する場合で行われます。この場合は、二種の計算方法により算出される年間の個人所得税が一致しますけど、二種の計算方法による年間の個人所得税総額の結果が必ず一致することを説明してはならなく、納税者の毎月の給与が異なる場合は計算結果が違います。
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