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シンガポール会社株式譲渡のマニュアル

特に明記しない限り、本稿で紹介されるシンガポール会社とは、シンガポールの「会社法」に基づき設立された私的株式会社を指します。

概要

株式譲渡とは、株主がその保有する対象会社の株式を売却、贈与、相互取引によりその他の個人又は会社等へ譲渡し、他人を対象会社の株主にする行為を指します。部分株式を譲渡する場合には、譲渡人が依然として対象会社の株主であり;全部株式を譲渡する場合には、譲渡人が対象会社の株主ではありません。

一般的に、シンガポールの私的株式会社はその定款において既存株主への優先買取権等の一定の株式譲渡制限を定めます。また、シンガポール会社の取締役(取締役会)は、株式譲渡を拒否することができますが、その拒否の理由は会社の利益に基づくものではなければなりません。

シンガポール会社の株式譲渡に対する必要な書類には取締役会決議書、譲渡人及び譲受人が締結した株式譲渡文書(フォーム)等が主に含まれます。また、印紙税の納付、シンガポール会計企業規制庁(ACRA)への通知、及び元株券の抹消、新株券の発行、株主名簿の更新も必要です。

株式譲渡価額がゼロである場合には、当該株式譲渡が株式贈与となり、譲渡双方が贈与契約書を作成し且つ締結する必要があります。

シンガポール会社は株式譲渡完了後、シンガポール会計企業規制庁(ACRA)へ通知書を提出する必要があります。株式譲渡の発効日は、シンガポール会計企業規制庁(ACRA)へ更新済の電子株主名簿を提出する日付です。

グループ内での株式譲渡で、一定の要件を満たす場合には、申請により印紙税が免税となる可能性があります。

一.       株式譲渡に必要な書類
一般的に、シンガポール会社の株主がその保有する株式の一部もしくは全部をその他の株主又はその他の任意人に譲渡する場合は、必要な書類が以下の通りです。
1. 株式譲渡フォーム(又は譲渡文書、Instrument of Transfer、譲渡人の自主譲渡及び譲受人の自主譲受の意志を表明する);
2.
取締役会による株式譲渡の承認議事録又は決議書;
3.
優先買取権放棄の同意書(株式を既存株主以外の任意人に譲渡する場合);
4.
元株券(譲渡予定の株券);
5.
株式譲渡契約書(あれば)。

譲渡人及び譲受人が株式譲渡文書を締結する場合には、18歳以上の第三者を証人とする必要があります。また、譲渡人、譲受人及び証人は同一書類に署名しなければならず、即ち、譲渡人、譲受人及び証人は2つの書類にそれぞれ署名してはなりません。

二.       株式譲渡手続き
1.
株式譲渡文書の締結

株式譲渡双方は株式譲渡文書(Instrument of Transfer)を締結する必要があります。譲渡人がその保有する若干株式を譲受人に譲渡する意思があること、及び譲受人が当該株式を譲渡人から購入する意思があることが株式譲渡文書に明確に記入されなければならず、且つ株式譲渡価額を明記しなければなりません。

2.
取締役会承認の取得

譲渡人は書面で対象会社の取締役会に株式譲渡請求書を提出し、且つ取締役会の承認を取得する必要があります。取締役会は30日内に当該株式の譲渡を同意するか否かを決定し、且つ会議議事録又は書面決議書にその決定内容及び理由を明記する必要があります。

取締役会は、当該株式の譲渡を拒否した場合、譲渡請求を受け取った日から30日以内に拒否通知書を譲渡人と譲受人に送付しなければなりません。取締役会が株式譲渡を拒否する合理的な理由は会社の最大利益を前提としなければなりません。

3.
印紙税の納付

株式譲渡文書を締結した日から14日以内に、購入者もしくは譲受人(又は株式譲渡契約書に指定された印紙税の納税義務者)はシンガポール内国歳入庁(IRAS)に印紙税を支払わなければなりません。株式譲渡文書がシンガポール国外で締結された場合には、当該譲渡文書がシンガポールで受領された後30日以内に印紙税を支払わなければなりません。株式贈与契約であっても、印紙税の納付も必要ですので、ご注意ください。

4.
元株券の抹消

取締役会が当該株式譲渡を承認する場合には、譲渡人は取締役会へ株式譲渡の書面通知書を送付した後の7~28日以内、又は取締役会が決定したその他の期限満了前に、元株券を抹消するために、その株券を対象会社の会社秘書役に渡します。

5.
新株券の発行

印紙税納付後(即ち印紙税納付証明書を取得)及び会計企業規制庁(ACRA)に株式譲渡の登記手続きを行った後30日以内に、会社は新株券を譲受人に発行しなければなりません。新株券には会社の取締役の署名及び会社印(あれば)の押印が必要です。譲受人はその株券をよく保管しなければなりません。

6.
会計企業規制庁(ACRA)への通知

対象会社は指定フォームで、シンガポール会計企業規制庁に株式譲渡情報を提出し、株主名簿を更新する必要があります。全ての私的会社は株式譲渡際に会計企業規制庁に通知する必要があります。

三.       取締役会が株式譲渡を承認する権限
シンガポールの私的会社の株式譲渡は、ほとんどの場合に、取締役(又は取締役会)の承認が必要です。実は、株式譲渡文書を締結する前に、譲渡人は書面で株式譲渡について取締役会に通知し、且つ取締役会の承認を取得する必要があります。取締役会は、通知を受け取った日から30日以内に当該株式譲渡を承認するか否かの決定を行います。株式譲渡を承認する場合には、取締役が会議議事録又は書面決議書でその決定内容を記録する必要があります。株式譲渡を拒否する場合には、取締役が譲渡人と譲受人に書面拒否通知書を送付する必要があります。

上記で述べたように、株式譲渡を承認する場合には、取締役が会議議事録又は書面決議書でその決定内容を記録する必要があります。譲渡双方が株式売買契約書を締結する場合には、契約書を決議書に添付する必要があります。

また、元株券の抹消、新株券の発行及び株主名簿の更新には、取締役会の承認が必要です。

四.       優先買取権
シンガポールの私的株式会社の定款(Constitution、憲法)には通常に既存株主の優先買取権について詳細な規定を定めます。優先買取権とは、ある株主がその保有する対象会社の株式を譲渡する場合に、同等の条件において、当該対象会社のその他の株主が優先買取権を有します。従って、株式譲渡が既存株主の優先買取権に関わる場合には、株式譲渡に関与しない株主は書面で会社に不反対通知を送付しなければなりません。

五.       株式譲渡の印紙税
1.
印紙税の税率

シンガポール会社株式譲渡時に、譲受人又は譲渡双方の指定した方がその譲渡価額と対象会社の純資産価額(Net Asset value)のうちいずれか高い額の0.2%によって印紙税を納めなければなりません。

2.
印紙税の納付期限

株式譲渡文書がシンガポール国内で締結される場合には、署名日から14日以内に印紙税を支払わなければならず;株式譲渡文書がシンガポール国外で締結される場合には、当該譲渡文書がシンガポールで受領された後30日以内に印紙税を支払わなければなりません。

3.
印紙税の計算

上記のように、シンガポール会社の株式を譲渡する場合には、対象会社の純資産価額と譲渡双方が合意した譲渡価額のいずれか高い額の0.2%が印紙税として課税されます。対象会社の純資産価額によって計算される場合には、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は、会社の最新(譲渡日までの24ヶ月以内)の財務報告書に基づき印紙税を計算するよう要求します。対象会社の設立時間が18ヶ月以下である場合には、、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は株式発行価格を純資産価額とすることを認めます。

会社の純資産価額は、その総資産からその総負債を控除した部分です。要するに、1株当たり価額は、株主持分に累積黒字額を加えた金額(又は累積損失額を差し引いた金額)を、発行済株式総数で割ることにより計算されます。

例1: 甲はその保有するシンガポール会社の普通株式10,000株を乙に譲渡します。当該株式は発行済株式総数の50%(当該会社の発行済株式総数が20,000株である)を占めます。当該会社の純資産価格が100万シンガポールドルです。この場合に、乙が納める必要がある印紙税の金額は以下の通りです。
印紙税金額 = (100万X 50%) X 0.2% = 1,000シンガポールドル

例2: 甲はその保有するシンガポール会社の普通株式10,000株を乙に譲渡します。当該株式は発行済株式総数の50%(当該会社の発行済株式総数が20,000株である)を占めます。当該会社の純資産価格が100万シンガポールドルです。でも、譲渡双方の合意した譲渡価額は200万シンガポールドルであり、且つ印紙税は甲が支払います。この場合に、甲が納める必要がある印紙税の金額は以下の通りです。
印紙税金額 = 200万 X 0.2% = 4,000シンガポールドル

4.
印紙税の納税義務者

一般的に、株式譲渡双方は、譲渡人が印紙税を支払うか、譲受人が印紙税を支払うかを株式譲渡契約書に明記します。株式譲渡契約書を締結しない場合、又は株式譲渡契約書に印紙税の納税義務者を明記しない場合には、シンガポールの「印紙税法」に基づき、印紙税は購入者又は譲受人が負担します。

5.
関係会社間の株式譲渡にかかる印紙税の免除

シンガポールの「印紙税法」及び「印紙税(関係会社間での株式譲渡にかかる軽減措置)規則」に基づき、関係会社間での株式譲渡で、一定の要件を満たす場合には、申請により印紙税が免税となる可能性があります。以下のいずれかに該当する場合には、関係会社に属します。
(1) 一方の法人が他方の法人の75%以上の議決権株式又は50%以上の議決権を保有する場合;
(2) それぞれの法人の75%以上の議決権株式又は50%以上の議決権は同一持株会社によって保有される場合。

譲渡人と譲受人は、譲渡日まで12ヶ月以上の関係を維持しなければならず、且つ譲渡後2年間に関係を維持しなければなりません。

6.
印紙税の滞納罰金

印紙税の納付が期限切れであり、即ち、本稿のSection 2に記載される期限通りに印紙税を納めない(印紙証明書を取得しない)場合には、納税義務者は印紙税の四倍の罰金が課せられる可能性があります。また、印紙税納付証明書を付けない書類はシンガポールの法律に承認及び保護されていません。つまり、株式譲渡文書は印紙税を納付しないので無効になる可能性があります。

六.       無償株式譲渡
株式譲渡の対価がゼロであり、即ち、譲受人が対価を支払わなく株式を取得することができる場合には、当該譲渡が贈与となり、譲渡双方が株式譲渡フォームの代わりに贈与契約書(Gift Deed)を作成する必要があります。譲受人は依然として当該贈与契約書に対して印紙税を納める必要があります。株式譲渡が贈与になること及び贈与契約書の作成を避けるように、譲渡価額は最低1シンガポールドルに設定する必要があります。

もっと詳細な情報や支援をご希望の場合は、下記のお問い合わせをご利用になってください。
メール: info@kaizencpa.com, enquiries@kaizencpa.com
固定電話: +852 2341 1444
携帯電話: +852 5616 4140, +86 152 1943 4614
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公式ウェブサイト:www.kaizencpa.com
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ダウンロード: シンガポール会社株式譲渡のマニュアル【PDF】

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