英領バージン諸島会社設立及び維持ガイド(3)-
英領バージン諸島会社の主な特徴
概要
英領バージン諸島(BVI)は東カリブ海に位置し、プエルトリコの東約80kmのイギリス領です。公用語は英語、通貨は米ドルです。BVIの政治は安定し、BVI政府はその安定性を維持することを約束しました。地元のビジネス環境は良好であり、インフラは整備しています。政府は、積極的にオフショア金融事業を奨励し、最先端技術の導入により、会社登記所のアップグレードを行っています。
1984年に「
国際事業会社法」を通過し、国際事業会社(IBC)を創設しました。国際事業会社は、投資者が最も利用されるオフショア会社の形態になっています。近年、BVIは特に極東で非常に人気があります。何故かというと、ノリエガ政権の間にパナマからBVIに移住し、島に事務所を設立した弁護士たちはBVIを広く宣伝しましたから。
英領バージン諸島会社(BVI海外会社)の特徴
国際貿易と投資に使用される会社の種類
「2004年国際事業会社法」に基づき設立される国際事業会社です。
税務
国際事業会社はBVIにおいて税金を納付する必要がありません。
法定と発行された株主資本
BVI会社は通常50,000株の法定株主資本を持ち、株式を額面金額のある又は額面なしで設定できます。これは、会社は設立時に設定できる最大の株式資本です。株式資本は任意の通貨で設定することができます。発行済み株式資本の最小額は1額面株式又は1無額面株式です。
詳細について「
英領バージン諸島事業会社の資本金」をご参照ください。
株主
国籍を問わず、1人以上の株主は必要です。法人もBVI会社の株主になれることができますが、記名株式を発行する必要があります。株主の情報はBVIに開示する必要がありませんが、会社のBVIにおける登録住所に株主名簿が保存される必要があります。
取締役
国籍を問わず、1人以上の取締役は必要です。法人も取締役を務めることができます。取締役名簿は会社登記所に保存される必要があります。
年次申告書
年次申告書又は財務諸表の提出は不要です。但し、年度ライセンス料を期日までに支払われない場合、ライセンス料の最大50%の罰金が発生することに注意する必要があります。
BVI会社の名称
「国際事業会社法」に基づき設立された会社は、名称に「Limited」、「Corporation」、「Incorporated」、「Societe Anonyme」もしくは「Sociedad Anonima」、又はそれらの略称の「Ltd」、「Corp」、「Inc」もしくは「S.A.」が含まれる必要があります。会社は上述の全称又は略称の使用を選択することができます。
使用しようとする会社名が次の各号のいずれかに該当する場合、当該会社名で「国際事業会社法」に基づき会社を設立することができません。
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国際事業会社法又は会社法に基づき設立された会社の名所と一致し、又は類似しているため、誤解を招く可能性があります。但し、その会社の承認を取得した場合、この限りではありません。
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「Assurance(担保)」、「Bank(銀行)」、「Building Society(建築協会)」、「Chamber of Commerce(商会)」、「Chartered(特許)」、「Cooperative(労働組合)」、「Imperial(帝国)」、「Insurance(保険)」、「Municipal(市政)」、「Royal(王室)」、「Trust Company(信託会社)」及び「Trustee company(受託会社)」、又は類似する用語が含まれます。或は、①女王陛下や王室メンバーによって後援され、②政府又はその部門との繋がりがあり、③当局やその他の場所の政府もしくはローヤル憲章に基づき設立された社団や機関との繋がりがあるよう、誤解・誘導する可能性があると、会社登記所によって判断されている用語が含まれます。
設立時の会社名称は国際事業会社法又は会社法に基づき設立された会社の名所と一致し、又は類似している場合は、誤解を招く可能性があります。会社登記所は既存会社の同意なしに、後から設立された会社に名称変更通知書を発行することができます。当該会社は通知の日から60日以内に社名を変更しなかった場合、会社登記所は当該会社の定款を直接変更し、社名を登記所の長官が適切と考える社名に変更します。会社登記所は官報に会社名称の変更に関する公告を掲載する必要があります。
社名の変更は、会社の権利又は義務に影響を与えず、会社が提起し、又は会社に提起される法的手続きを無効にしません。元の社名で会社に対する全ての法的手続きは新たな社名で継続することができます。
登録住所
「国際事業会社法」に基づき設立された会社は、登録住所が常にBVIにある必要があります。登録住所は会社又はその登録代理人がBVIに設立した事務所でなければなりません。
BVI登録代理人
「国際事業会社法」に基づき設立された会社は、常にBVIに登録代理人がいる必要があります。登録代理人は1990年「会社管理法」及び1990年「銀行及び信託会社法」に従い、登録代理人ライセンスを取得する必要があります。
登録代理人の名称、住所、代理する会社名又は会社の署名権者の氏名、1990年「銀行及び信託会社法」に従い登録代理人ライセンスを取得する日付、登録代理人でなくなった日が記載されている登録代理人登録簿は会社登記所に保存されています。登録代理人でなくなった日は、ライセンスを更新せず、又は死亡し、又は1990年「会社管理法」及び1990年「銀行及び信託会社法」の規定により解散・清算されるため、登録代理人ライセンスの更新を停止する日となります。
会社登記所は毎年2月中、その年の1月31日登録代理人登記簿に記載されている登録代理人のリストを開示します。登録情報が変更された場合、登録代理人は会社登記所に即時通知し、行政局によって規定されている料金を納付しなければなりません。会社登記所登録代理人登録簿に当該変更を記録する必要があります。
守秘義務
会社の守秘義務を規定する特定の法規制がありませんが、BVIは英国のコモンローも適用するため、専門家はその顧客の業務に対して機密を保持する義務があります。
関連情報:
「
英領バージン諸島会社設立の手続きと費用」
「
英領バージン諸島既存会社設立手続きと年間維持」