英国会社の自社株買い
英国有限会社は、自社株を買い戻す際に、2006年会社法第18部の規定に従わなければなりません。
自社株買いは、既存株主と有限会社との間の取引となり、市場外取引又は市場取引のいずれかを通じて行われます。
自社株買いは、企業が割り当てられた株式を購入して、公開市場で発行済株式数を減らすことです。企業は、保有株式を処分しようとする株主から現金で株式を購入することで、発行済株式数を減らし、残りの株式の価値を増加させることができます。
企業はさまざまな理由で自社株買いができます。原因の1つとして、上場企業は残りの株式の価値を増加させるか、又は他の株主が支配権を得ることを防ぐために、発行済株式数を減らします。自社株買いは、株式の総数を減らし、1株あたりの利益を上げ、株式の価値も増加させることができます。
非公開会社の場合において、会社の事業活動に関与したくない株主は保有株式を売却するかもしれません。株式を売却する原因は、引退、持分減少希望、死亡などだと考えられています。ほかに、残りの株主は株式を購入できず、第三者が株式を保有することを回避する原因もあります。第三者の買手が見つからない可能性もあります。株主契約には、上述の状況が含まれるのが普通です。
さらに、自社株買いは、企業が使用可能な余剰現金(surplus cash)を有することを投資者に証明するか、又は投資者の保有株式の価値を増やすことができます。
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自社株買い
株式の発行は簡単ですが、自社株買い及び株式消却は複雑です。
自社株買いとは、会社が発行済株式の一部との引き換えとして、既存株主に現金を還元することにより、自社株を再取得することです。自社株買いは、株主(株式を保有している取締役や従業員を含む)が株式の価値を実現する方法の1つです。
有限会社は、市場外取引又は市場取引のいずれかを通じて自社株買いを行います。通常、上場企業は株式市場で自社株を買い戻し、非公開会社は株主と合意した価格で自社株を買い戻します。自社株買いをするには株主の同意を取得し、普通決議を可決しなければならないと同時に、株主契約の条項に制限されています。
定款に自社株買いが禁止・制限される条項がない限り、自社株買い及び取引の条件を定める条項は、株主によって承認され、普通決議として可決されなければなりません。
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自社株買いをする理由
2.1
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上場企業
上場企業は、株式市場で株式を買い戻す理由は以下の通りです。
(1) 株価が著しく過小評価されていること。
(2) 利益を株主に還元すること。
(3) 市場で流通している株式数を減らすこと(株価を上昇させ、株主の財産を増やす)。
(4) 株式数を減らすことで残りの株式が全株式に占める割合を増やすこと。
(5) 他の株主が支配権を取得することを防ぐこと。
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2.2
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非公開有限会社
非公開有限会社における自社株買いは、株主契約の条項によって保護されています。
株主は株式を売却する理由は次の通りです。
(1) 既存株主は株式を購入できず、且つ第三者に株式が保有されることを望まないこと。
(2) 第三者の購入者が見つからないこと。
(3) 既存株主の保有割合を増やすこと。
(4) 会社の余剰現金を株主に返金すること。
(5) 変動する配当をめぐる株主との対立を回避すること。
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2.3
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株主の個人的な事情
株主が株式を売却する理由には次の各項が含まれます。
(1) 引退すること。
(2) 自分の持分を売却すること。
(3) 死亡したこと。
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自社株買いの対価
英国の会社法には、株主の権益を保障するための、自社株買いに関する規制条項が含まれます。
有限会社は、発行済株式の対価を全額払い込まない限り、その発行済株式を買い戻すことができません。自社株買いの際に対価を全額支払う必要があるため、会社は充分な現金を用意する必要があります。有限会社は借金で自社株買いをすることは、一般的に禁止されています。
会社は、退出する株主から株式を買い戻すには、新株発行によって資金を調達し、払い込まれた資金を自社株買いの対価とすることができます。しかし、新株発行の唯一の目的は自社株買いのための資金を調達することを、会社は明確に示す必要があります。
非公開会社は、株主が決議を可決するか、又は現金以外で自社株を買い戻すことができると定款に定めている場合、会社の準備金で自社株買いをすることができます。準備金で行われる場合、追加の書類を用意し、政府の官報に潜在的な債権者(potential creditors)に通知する必要があります。
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会社登記所への報告
会社は自社株買いをしてから1ヶ月以内に会社登記所に報告し、消却された株式の種類の詳細を説明する必要があります。
会社登記所に報告の際に、自社株買い完了後の会社の株主資本を説明する資本計算書を添付する必要があります。
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印紙税
自社株買いの対価が1,000ポンド以下の場合は、印紙税の課税対象となりません。対価が1,000ポンドを超えた場合は、0.5%の税率で印紙税が課されます。
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メリットとデメリット
会社は株価よりも低い価格で自社株を買い戻す場合、投資家にとっては有利です。発行済株式数を減らしたら、会社の既存株主の保有割合が増加します。
逆に、会社は株価よりも高い価格で自社株を買い戻す場合、投資家にとっては不利です。高額な購入は会社に損失にもたらします。会社の利益が事業拡大に使われなかったことは、株主からの強い反発を招く恐れがあります。
自社株買いは、1株あたり利益などの一部のパフォーマンス比率を高めます。自社株買いは同時に、株主に現金を還元する手段でもあります。
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