マレーシア会社の株式譲渡
特に明記しない限り、以下の内容で紹介される「マレーシア会社」及び「会社」とは、マレーシアの会社法に基づき設立された非公開株式会社です。
会社の株式は動産のため、定款に定められた方法で譲渡できます。但し、株式は有形のものではなく、権利の集まりで構成されています。株式は、いくつの書類、証拠、記録、及び所有権を譲渡する意思を通じて譲渡します。
マレーシアの2016年会社法には、株式の「譲渡」と「移転」との違いが記載されています。株式の法的所有権が前の所有者の自発的かつ積極的な行為によって変更される場合(例えば、株式を他人に販売・贈与すること)は、「譲渡」をいいます。株式の「移転」とは、所有権は当事者各位の合意や自発的な行動ではなく、法律の運用又は前の所有者の死亡や破産等の出来事によって変更されることを指します。
株式譲渡では、譲渡人と譲受人がいなければなりません。2016年会社法により、譲渡人は正式に署名捺印をした譲渡証書を通じてその保有する会社の株式を譲渡することができますが、同法第105(1)条の規定により譲渡証書を会社に提出する必要があります。
-
株式譲渡書類
(1)
|
株式譲渡の承認に関する取締役会の決議書
|
(2)
|
直近18ヶ月以内の監査済財務諸表
|
(3)
|
株式譲渡フォーム
|
(4)
|
手元にある株券(ある場合)
|
(5)
|
譲受人の身分証明書類と住所証明書類
|
(6)
|
株式譲渡契約書(ある場合)
|
(7)
|
新株引受権を放棄する旨を通知する書類(ある場合)
|
-
株式譲渡の流れ
(1)
|
非公開会社の株式を譲渡しようとする場合、まず「自発的な買手」(譲受人)を見つけます。
|
(2)
|
譲渡人は、自発的に株式の購入を希望している買手を見つけた後、譲渡人として株式譲渡フォームに署名し、譲渡の対価を取得するために株式譲渡フォームと譲渡する株式の株券(ある場合)とともに買手に送付します。
|
(3)
|
譲受人は、譲受人として株式譲渡フォームに署名した後、署名する日から30日以内にそのフォームを税務局に提出し、印紙を押し付け、印紙税を納付します。納付すべき印紙税額は、譲渡する日の株式の価格又は価値のうち1,000リンギあたり3リンギ又は1,000リンギの端数部分に基づき算出されます。
|
(4)
|
株式譲渡フォームに捺印をした後、株券(ある場合)とともに会社に提出し、登録を要求します。
|
(5)
|
秘書役は、株式譲渡フォーム及び株券(ある場合)を慎重に審査し、詳細を確認し、そのファイルが正式に署名され、印紙税が納付されたことを確保します。
|
(6)
|
秘書役は、できるだけ早く(いずれの場合も株式譲渡フォームを会社に提出してから1ヶ月以内に)取締役会で株式譲渡フォームを取締役に提出します。取締役会は、当該譲渡を承認するか否かを決定し、決議を行います。
|
(7)
|
株式譲渡が承認された場合、秘書役は手元にある株券(ある場合)を取り消し、株式名簿及び譲渡登記簿(register of transfers、ある場合)を更新する必要があります。また、秘書役は株主名簿の変更についてMyCoIDを通じてマレーシア会社登録庁に報告する必要があります。株主から株券発行の申請を受ける場合又は定款に別途規定されている場合を除き、会社は新しい株券を発行する必要がありません。
|
(8)
|
定款に該当する場合、取締役会はフォームを受け取ってから30日以内に株式譲渡を拒否することができますが、拒否の理由を詳細に説明しなければなりません。決議の通知書は、決議の日から7日以内に譲渡人及び譲受人に送付される必要があります。
|
-
新株引受権
非公開会社の定款には新株引受権に関する規定が含まれる可能性があります。新株引受権は、会社が株式を発行し、又は株主が株式を譲渡する流れに影響を与えます。2016年会社法第85条の規定により、新株引受権の役割は、会社が新株を発行する時又は既存株主が株式を譲渡する時に既存株主が優先して会社の株式を引き受けることです。
譲渡人は先に会社の既存株主に販売しならず、定款及び(又は)株主契約に違反した場合、取締役はその譲渡を拒否する必要があります。新株引受権に違反する譲渡は無効です。従って、株式譲渡を行う前に、秘書役は定款及び(又は)株主契約を審査し、会社の株主が新株引受権有するか否かを確認する必要があります。
啓源グループは経験豊富な専門チームを持ち、マレーシア会社の書類準備・登録、各種許可・免許の申請、税務企画、会計監査サービスをご提供します。詳細については、当事務所の専門コンサルタントまでお問い合わせください。
記事を参考:
マレーシア会社設立基本パッケージ