パナマ民間財団パート4 ― パナマ民間財団と会社との主な違い
当事務所は、オフショアの国際商業会社の設立及び維持において、お客様に関連するサービスを提供しています。当該会社は常に領土内所得課税を採用している国・地域の基礎です。
新しい民間財団はオフショア会社に取って代わるのではなく、補完することを目的としています。民間財団を設立する主な目的は慈善、会社の所有者(持ち株会社又は親会社)になること、又は家族の財産相続の確保です。
本稿はパナマ民間財団と会社との違いについて説明します。
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会社の株式は会社の所有者を表しています。会社が発行した記名株式は株式譲渡で譲渡でき、無記名株式は通常の方法で譲渡できます。従って、会社の所有権は株式譲渡によって変更できます。
民間財団は所有権を有するものを発行しません。民間財団設立後、創設者の氏名はパナマ公共登記所に登録され、変更できません。財団の創設者はいつも同一人物であり、行動憲章に規定されている全ての権利を有しています。
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法律は財団の所有権を「登記冊」の形で登録することを要しません。従って、財団の創設者は実際に財団の所有者と見なされますが、株式会社の株式譲渡のような方法を通じて財団を取り扱うことができません。財団の理事会(委託を受け、財団の目標を実現するための組織)の構成員を委任・解任する権利を有する者は財団の所有権を有します。
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財団の権利及び支配権を理事会に譲渡した後、財団は会社を通じて動産又は不動産を有し、会社又はファンドを譲渡することによって間接的に資産を譲渡することができます。財団の譲渡について、受託者は財団を設立し、『信託契約』(一般的に「信託宣言」と呼ばれる)に従って資産を財団に譲渡する権利があります。受託者(財団の創設者)は信託宣言の規定を厳守し、資産の実際の所有者(委託者)の指示に従わなければなりません。
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財団の創設者が受託者でない場合は財団の譲渡も行えます。財団の行動憲章が創設者に権利を付与していない場合、財団の理事会に相当する者は財団の所有者を代理して当該権利を行使することができます。上記の権利には、理事会の構成員・受益者・保護者・監査人等を指定する権利が含まれていますが、財団の行動憲章又は理事会の権利を変更する権利が含まれていません。
財団の行動憲章は登録されている創設者に上記の権利を付与するには、事前に行動憲章を変更し、当該権利を理事会又は監査役に付与する必要があります。その後、財団の理事会又は監査役に相当する者財団の所有者を代理して当該権利を行使します。
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他の準備がある場合、財団の行動憲章又は規定に特別な条項を追加して、保護者(監査役)に財団の理事会の構成員を委任・解任する権利を持たせることができます。保護者は財団の理事会の構成員を委任・解任する際に、間接的に財団の所有権を譲渡します。
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会社はパナマの設立代理人が提供する2つの署名者の署名によって設立され、財団は創設者(受託者)の署名によって設立されます。設立代理人が提供した受託者が財団を設立する場合、設立前に設立代理人と信託契約を締結する必要があります。その後、設立代理人が提供した受託者は設立書類に署名します。
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保護者は財団の行動憲章によって指定され、理事会が支配できる資産の運用を監督・保護することを目的とします。会社法には監督機関の要件がありません。
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会社の取締役会は会社の管理、行政を担当します。財団の理事会は上記の職務を担当します。
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会社法は相続について規定していないため、株主がなくなった場合、株主の法定相続人は会社の株式を相続します。財団は特定の条項が創設者の意志を保護しています。創設者の所在国・地域の相続制度は財団の設立、相続に適用されません。即ち、創設者の法定相続人は財団を解散したり、受益者を変更したりすることができません。
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会社と違って、財団は遺言の役割を果たすことができます。
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会社法は書類の秘密保持について設立代理人及び登録機関に対して要件がありません。職務に基づく書類の秘密保持義務は設立代理人 に適用されます。財団に関する情報を取得する者は秘密保持義務を有しており、違反したら罰金が生じ、又は逮捕されます。
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会社の取締役会の構成員は3人以上が必要です。財団の理事会の構成員は法人の場合に1名のみが必要です。
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会社の主旨はいかなる商業目的であることができますが、財団の主旨はビジネス・ライセンス、製造許可、専門資格の不要な事業活動に限定されています。証券・不動産・銀行口座の所有者として契約を締結することは、通常のビジネス活動に該当しません。
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会社は法により債権者の資産を保護する義務がありませんが、財団は創設者の意思に従って資産を保護しなければなりません。
民間財団法の主旨は法的性質のあるツールを導入し、流動資産又は固定資産の所有者に創設者の意思に従って特定の人物にその資産を譲渡させることです。流動資産又は固定資産の所有者になった後、財団は創設者の意思に従い、生前又は死後に資産の譲渡を厳しく実行します。
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出資又は資産の譲渡について、会社の場合は特定の期間内に解約又は反対を提出する規定がありません。財団の場合は、法律により、解約又は反対の意見は、譲渡日から3年以内に提出されなければならない。
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一般的に、会社は商取引に使用され、特に不動産の購入、銀行口座開設、国際交流ための契約締結、税金の回避によく使用されます。財団は銀行口座開設又は不動産の購入が規制されていますが、その基本的な目的が財産相続であり、且つ家族の財産の管理や分配、慈善団体又は宗教団体とすること、及び持ち株会社とすることによく使用されます。