香港会社条例に従って会社を設立するには会社の定款を準備しなければなりません。香港会社の定款は通常、定款細則と呼ばれており、会社登記所に登録される必要があります。

新会社条例により、香港において設立された会社は定款大綱が必要なくなりましたが、定款大綱に含まれるべき情報を定款細則に記載する必要があります。

1. 強制的な条項
   
   会社条例により、会社の定款には以下の条項が含まれる必要があります。
   
   

   1.1	会社名 会社名は英語、中国で表記され、又は併記され、会社の定款に明記されなければなりません。 会社条例により、以下の会社名を使用することは制限されています。 (1)   既に登録された名称と同じの会社名 (2)   特別条例に従って設立された会社の名称と同じの会社名 (3)   会社登記所の所長に刑事犯罪を構成すると認めされた会社名 (4)   会社登記所の所長に攻撃的である又は公益に反すると認めされた会社名 特別な承認を取得しない限り、会社は政府機関に関連する恐れのある文字などを含む会社名を使用することができません。 また、商業登記条例により、会社は会社名以外の商号を使用して取引を行うことができますが、商号を会社登記所に登録しなければなりません。
   1.2	有限責任の声明とメンバーの責任 定款には、「会社メンバーの法的責任は有限である」、及び「会社メンバーの法的責任は、当該メンバーが所有している株の未払込部分を限度とする」という2つの条項が含まれている必要があります。 保証による有限責任会社の場合、「清算期間において当時のメンバー又は清算期間の直近1年間以内にメンバーであった者は、所定金額を超えない金額を寄付する必要がある」という声明を定款に明記しなければなりません。寄付金は会社の資産として以下のように使用されます。 (1)   メンバーであった者がメンバーでなくなった日前に生じた債権や債務を返済する (2)   清算の費用、料金、支出を支払う (3)   メンバーの間の権利を調整する
   1.3	資本と最初の持分構成 定款には会社の株主資本及びメンバーの持分（即ち、創設者の氏名及びメンバーの間の持分構成の情報）を説明する条項が含まれる必要があります。 香港会社が授権資本を持っている必要がなくなったため、会社は発行された資本に関連する情報のみを表示することができます。
   1.4	会社の趣旨 会社の趣旨に関する条項は必要でありません。「有限会社（Limited）」という文字を削除する許可を取得する会社の除き、有限責任株式会社はその定款に趣旨を記載するか否かを決定することができます。 上記の許可を取得した会社は、許可の有効期限内に定款に趣旨を記載する必要があります。

   
   
2. モデル定款細則
   
   会社条例により、香港財政司司長(Financial Secretary)は会社のモデル定款細則を規定しています。モデル定款細則の条項は、会社が記載しなければならない条項以外の追加の条項です。
   
   会社は、自社の状況に応じてモデル定款細則の条項の一部又は全てを採用することができます。会社設立の際、登録された定款にモデル定款細則の条項を削除又は変更しない限り、それらの条項は会社に適用されます。
   
   会社の定款に追加の条項がない場合、一般的に、当該会社の定款細則はモデル定款細則の条項によって構成します。
   
   モデル定款細則について、会社条例第622H章（英語）をご参照ください。
   

関連資料：
「香港会社設立手続きのマニュアル」
「香港会社設立パッケージ＃HKＬＣ05」

ダウンロード： 香港会社設立のマニュアル（3）―香港私的会社の定款 [PDF]