中国において事業を行う外国人投資家及びその外商投資企業（外資系独資企業を含む）は、外資系独資企業に必要な銀行口座及び各口座の用途を存じる必要があります。本稿では、外資系独資企業がよく開設する銀行口座及び各口座の用途について簡単に説明します。

1. 臨時資本金口座
   
   外商投資企業を設立する前に、外商投資企業設立の初期費用を支払う必要がある場合、中国への直接投資の投資資金を受領するために、臨時資本金口座を開設することができます。臨時資本金口座の開設は、国家外貨管理局からの事前承認が必要です。外商投資企業設立後、臨時資本金口座内の資金をその外商投資企業の資本金口座に振り込むことができます。
   
   用途：
   
   

   臨時資本金口座内の資金は、外商投資企業設立の初期費用（家賃、光熱水費及びその他の費用）の支払にのみ使用されます。現時点で外商投資企業が正式に設立されていないため、臨時資本金口座内の資金は従業員の賃金及び事業活動に関連する費用の支払に使用できません。 臨時資本金口座内の資金は、投資家によって直接に振り込まれ、外商投資企業の資本金の一部になります。 臨時資本口座内の資金は、他の銀行口座にのみ送金でき、引き出すことができません。 臨時資本口座内の資金の使用は国家外貨管理局の承認が必要です。

   
   但し、実際のところ、多くの銀行は知識及び経験が不足しているため、臨時資本金口座の開設は非常に困難です。
   
   
2. 資本金口座
   
   外商投資企業設立後、正式な資本金口座を開設する必要があります。資本金口座は、外国人投資家が振り込む資本金を受領することができます。資本金口座を開設する前に、外貨登記を完了する必要があります。
   
   
3. 人民元基本口座
   
   外商投資企業設立後、人民元基本口座を開設する必要があります。人民元基本口座は、企業の日常の送金、資金決済及び現金の受払に使用されます。会社は1つの人民元基本口座しか開設することができません。
   
   用途：
   
   

   人民元基本口座は人民元の受払及び引き出しができます。 人民元基本口座のみで賃金及びボーナスを支払うことができます。

   
   
4. 人民元一般口座
   
   人民元基本口座に類似する人民元一般口座は、人民元の受払には使用できますが、現金取引及び賃金や社会保険料の支払には使用できません。外商投資企業は複数の人民元一般口座が開設できます。
   
   用途：
   
   

   大企業の場合、人民元一般口座を開設して人民元建て収入を受領することをお勧めします。 人民元基本口座は、賃金及びボーナスの支払に使用されます（ボーナスの支払は人民元基本口座でのみ支払うことができる）。 小企業の場合、人民元一般口座を開設する必要がありません。人民元基本口座は、日常の事業活動に十分に対応できます。

   
   
5. 外貨一般口座
   
   外貨一般口座は外貨の受払に使用されます。
   
   用途：
   
   

   顧客からのサービス料または物品の売却による所得を外貨一般口座に振り込むことができます。 外貨決済口座で支払う際に、銀行の承認を取得するために、関連の発票（日本の領収書に相当）及び契約書を提出する必要があります。

参考資料：
[中国外商投資企業設立のマニュアル]
https://www.kaizencpa.com/jp/Knowledge/info/id/189.html

ダウンロード： 中国外商投資企業設立のマニュアル（18）　銀行口座開設と口座の用途 [PDF]