香港給与所得税(雇用主が果たさなければならない税務責任)
香港では、雇用主としての会社は、香港税務局に従業員に支払った給与の金額を申告する法的責任があります。
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雇用主は従業員の給与記録を最低7年間保存しなければなりません。当該記録は次の従業員の情報を含めなければなりません。
(1)個人情報(氏名、住所、婚姻状況、香港身分証明書番号又はパスポート番号及び発行地)
(2)雇用形態(フルタイム又はパートタイム)
(3)職位
(4)給与金額
(5)非現金及びその他付随的利益
(6)被雇用者及び雇用者の強制性積立金計画(又は同類の計画)への拠出金
(7)雇用契約書及びその後の修正条項
(8)雇用期間
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従業員を雇用した後、雇用主は雇用開始日から3ヶ月以内に従業員のために関連フォームに記入して、記入済みのフォームを税務局に提出しなければなりません。
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雇用主は、関連する課税年度の雇用主支払報酬申告書を提出することで、従業員に支払った給与を申告する必要があります。課税年度とは、毎年4月1日から翌年3月31日までの12ヶ月間です(即ち、2019/20課税年度とは、2019年4月1日から2020年3月31日までの12ヶ月間を指す)。
香港税務局は通常、毎年4月第1営業日に雇用主宛に雇用主支払報酬申告書を発行しますので、雇用主は申告書の発行日から1ヶ月以内に雇用主支払報酬申告書に記入して、税務局に提出しなければなりません。
雇用主は3月31日までの関連する年度において、以下の被雇用者のために雇用主支払報酬申告書の記入と提出を行う必要があります。
(1)独身者(その年間収入総額が関連する課税年度の基本非課税限度額(2019/20年度の金額が132,000香港ドル)を超えた)
(2)取締役、既婚者及びパートタイム労働者(給与を問わず)
(3)香港以外の会社によって雇用主の香港・香港以外の地区に派遣・出向された被雇用者
(4)退職金の支給を受け、又は受けるべき者
(5)雇用主又はその他の会社からの以前の雇用により付与された新株予約権を行使、譲渡又は放棄することにより利益を得た元従業員及び元取締役
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解雇された従業員について、雇用主は従業員の雇用終了の1ヶ月以上前までに関連フォームに記入し、税務局に提出しなければなりません。
通常香港に住んでいますが、退職後に長期又は永久に香港を離れる予定の従業員については、雇用主は、従業員が香港を離れる予定日の1ヶ月以上前までに関連フォームに記入し、税務局に提出、通知しなければなりません。雇用主はまた、関連フォームの提出日から1ヶ月または税務局による「同意釈款書(Letter of
Release)」の発行日のいずれか早い日まで従業員へのすべての支払いを差し控える必要があります。
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注意すべき点として、会社は、次の従業員以外の者に支払う報酬に対しても申告責任があります。
(1)
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香港居住者 - 以下の香港居住者に報酬を支払うすべての会社は、各人のために関連するフォームを提出しなければなりません。
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下請負人(年間報酬額が200,000香港ドル以上);
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顧問、代理人、ブローカー、フリー芸能人、芸能人、アスリート、作家、フリーツアーガイド等(年間報酬額が25,000香港ドル以上)。
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(2)
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香港非居住者の芸能人・アスリート - 香港非居住者である芸能人・アスリートに演出の報酬を支払う保証人又は代理人は、次の規定を遵守しなければなりません。
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当該香港非居住者が香港に到着次第、関連するフォームを税務局に提出する;及び
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税務条例第20A及び20B条に基づき、当該香港非居住者に支払う金額から当該者が納付すべき税額を源泉徴収し、且つ税務局に通知する。
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不正確な申告や上記の規定への違反は、罰金または税務局によるその他の法的措置を招く可能性がありますのでご注意ください。
データソース: 香港税務局ウェブサイト
https://www.ird.gov.hk/chs/tax/ere.htm
https://www.ird.gov.hk/chs/tax/ere_obl.htm
https://www.ird.gov.hk/chi/pdf/esem_er_56mc.pdf
https://www.ird.gov.hk/chi/pdf/pam48c.pdf