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香港の給与所得税(薪俸税)-概要

香港の給与所得税(薪俸税)-概要

  1. 基本原則

    全ての勤務、雇用、定年退職によって香港を源泉とする所得及び香港で発生した所得は、給与所得税の課税対象となります。但し、全ての所得が課税所得であるものではありません。

  2. 課税所得

    給与所得税の課税所得には、賃金、給与、休日出勤手当、取締役の報酬、手数料、賞与、契約満了金、代通知金、福利厚生が含まれます。非課税所得には『雇用条例』に従って受領した解雇補償金又は長期服務金が含まれますが、解雇金又は長期服務金の金額が一定額を超えた場合、給与所得税が課せられます。

  3. 雇用

    給与所得税の課税所得の判断基準は以下の通りです。

    • 香港で雇用される場合、従業員がサービスを提供する場所を問わず、当該雇用による全ての所得は給与所得税が課せられます。但し、当該従業員は条件に合致する場合、免税又は減税を申請することができます。例えば、当該従業員は香港以外で雇用に関するサービスを提供している場合、又は査定期間中の香港滞在日数が累計60日以内である場合、給与所得税の免税を申請することができます。また、当該従業員は働いている国・地域に法律に従って税金を納付し、且つその税金が『税務条例』に規定された給与所得税の仕組みと類似している場合、既に納税した部分が『税務条例』第8(1A)(c)条に従って免税されます。当該従業員の働いている国・地域が香港と租税条約を締結している場合、サービスの提供による所得の納税された部分は、『税務条例』第8(1A)(c)条に従って二重課税回避の形で課税所得から控除されます。
    • 香港以外の雇用契約の場合、香港税務局は従業員の香港滞在日数に応じ、出入国の時間に基づき、当該従業員の給与(休日出勤手当を含む)を均等に分割し、香港でのサービスの提供による所得を確認します。当該従業員が1査定年度以内に香港滞在日数が60日を超えない場合、その香港で提供したサービスによる所得は給与所得税が課せられません。

    前述の60日以内の免税規定は香港への訪問者にのみ適用されます。「香港への訪問」とは、香港に短期又は一時的に滞在する者を指します。香港の居住者が香港に戻ることが「香港への訪問」に該当するについては、場合によって異なります。一般的に、香港の居住者は仕事場が香港以外の場所に移行された場合、又はサービスを提供するために海外に長期間滞在している場合、偶に香港に戻ることが「香港への訪問」に該当します。

    所得の源泉地国を判断する際に、香港税務局は特に以下の事項を検討します。
    • 雇用契約が何処(香港又は香港以内の場所)に締結、執行されること。
    • 雇用主が何処(香港又は香港以内の場所)に居住していること。
    • 従業員の賃金が何処に(香港又は香港以内の場所)に支給されること。

  4. 取締役の報酬

    決議や管理が香港で行われている法人の取締役を務めており、報酬を受領している者は、どこに居住しているかを問わず、当該報酬が香港源泉所得に属し、給与所得税が課されます。

  5. 支出

    給与所得税額を計算する際に、課税所得によって発生された必要な支出を控除することができます。但し、従業員が当該控除の要件に該当する場合は少ないです。従って、課税所得を減らすためには、支出より非課税所得に注意すべきです。

  6. 現物支給のフリンジ・ベネフィット

    一般的に、従業員が受領したキャッシュレスのフリンジ・ベネフィットは以下の各項のいずれかに該当する場合、給与所得税が課される必要がありません。
    (1)   当該所得は金銭でならず、且つ金銭に転換できないこと。
    (2)   雇用主は従業員の福利厚生を従業員でない者に支給した場合、その福利厚生は雇用主がその者に履行すべき唯一且つ最も重要な法的責任であり、且つその法的責任に対して保証する者はいないこと。
    (3)   従業員の子女の教育訓練費に関しないこと。
    (4)   雇用主によって提供される休暇手当に属しないこと。

  7. 控除

    給与所得税を計算する際に、納税者は人的所得控除に加えて、その他の控除額を申請することができます。改正後の『税務条例』により、2019年4月1日以降の課税年度において、納税者は以下の控除のいずれかを申請することができます。

    (1)   自分又は指定した家族のために、納税者は任意医療保険計画の承認された商品に加入するには支払った適格な保険料。
    (2)   自分又は配偶者のために、納税者は承認された年金保険に加入するには支払った適格な保険料。
    (3)   納税者の強制性積立金計画(MPF)の任意積立のな拠出金

    控除項目

    課税年度2019/20以降

    (香港ドル)

    課税年度2018/19

    (香港ドル)

    自己学習費用

    100,000

    100,000

    介護老人福祉施設控除施設に支払う

    100,000

    100,000

    住宅ローンの利息

    100,000

    100,000

    退職金給付に対する強制積立

    18,000

    18,000

    任意医療保険計画への保険料1人につき

    8,000

    -

    適格な年金保険料とMPFの任意積立の拠出金

    60,000

    -

    認定慈善寄付金[(所得控除可能な支出減価償却費)x比率]

    35%

    35%


  8. 人的所得控除

    香港の税法は、給与所得税の非課税限度額を規定していませんが、人的所得控除及びその要件を規定しています。全ての納税義務者は基本控除を享受することができます。同時に、納税者は『税務条例』に従ってその他の人的所得控除項目を申請し、課税所得を減らすことができます。

    2018/19課税年度以降の人的所得控除額

    人的所得控除項目

    金額香港ドル

    基本控除(独身)

    132,000

    基本控除(既婚)

    264,000

    扶養子女控除

    1子から第9子まで1人につき

    120,000

    子女の誕生年度の追加控除

    120,000

    扶養父母、祖父母控除1人あたり

    55歳以上60歳未満

    25,000

    60歳以上、又は香港障害手当制度によって手当を受領している

    50,000

    扶養父母、祖父母追加控除

    55歳以上60歳未満

    25,000

    60歳以上、又は香港障害手当制度によって手当を受領している

    50,000

    扶養兄弟姉妹控除1人につき

    37,500

    寡婦(夫)控除

    132,000

    扶養障害者控除1人につき

    75,000

    障害者控除

    75,000


  9. 税率

    給与所得税の税額はその課税年度の課税所得の実額に基づいて累進税率で計算され、又は純所得に基づいて標準税率で計算されます(いずれの低い方)。

    課税所得の実額=総所得-総控除額-総人的所得控除額
    純所得=総所得-総控除額

    香港給与所得税の累進税率表(2018/19課税年度以降)

    課税所得の実額香港ドル

    税率

    課税額香港ドル

    50,000以下

    2%

    1,000

    50,000100,000以下

    6%

    3,000

    100,000150,000以下

    10%

    5,000

    150,000200,000以下

    14%

    7,000

    200,000

    17%


  10. 予定納税

    香港には給与所得税の予定納税制度があります。各年度の予定納税分は前年度の所得から控除項目及び人的所得控除項目を差し引いた後の残額に基づいて算定されます。課税年度の課税所得の実額が確定された場合、納税者の納付した予定納税分は控除されることができます。

  11. 個人所得税申告書(フォームBIR60)

    香港税務局は個人にフォームBIR60を発行し、その人に所得を申告させます。納税者は税務局よりフォームBIR60を受領した場合、申告する必要な所得がなくても、依然としてフォームを記入して提出する必要があります(ゼロ申告)。

データソース:香港税務署ウェブサイト
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/salaries/salariestax/chargeable/index.htm
https://www.ird.gov.hk/chs/pdf/dipn10.pdf
https://www.ird.gov.hk/chs/tax/ind_ctr.htm
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/etax/services/tax_computation.htm
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/taxfiling/taxrates/salariesrates.htm
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/salaries/allowances/deductions/index.htm
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/salaries/allowances/allowances/index.htm
https://www.ird.gov.hk/chi/pdf/pam61c.pdf
https://www.gov.hk/sc/residents/taxes/salaries/salariestax/exemption/employee.htm#exempt

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