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外国投資者の米国での不動産投資に関する税務

外国投資者の米国での不動産投資に関する税務

不動産業界は税務規定の影響を大きく受けている業界です。米国において不動産を購入する外国投資者(外国人非居住者)は、関連税務及び申告の要求に従わなければなりません。外国投資者としては、税務上の外国人居住者となる要件を満たさない場合、税務上の外国人非居住者(外国の個人及び商業実体を含み)とみなされます。

税務上の居住者の定義によると、米国税法に定義されている居住者は、市民またはグリーンカード(永住権)保持者、及び実質滞在テストの要件を満たす外国人を指します。実質滞在テストの条件は、(1)1年以内に米国での滞在期間が満183日以上であること、あるいは(2)過去3年以内に米国での滞在期間が満183日以上であること(計算方法:その年の米国滞在日数が31日以上であり、且つその年の米国滞在日数、前年の米国滞在日数の1/3の日数および前々年の米国滞在日数の1/6の日数の3年間の合計日数が183日以上である)。

本稿では、外国の個人が米国において不動産を投資することにより発生する関連税務問題について説明しています。

1.
米国不動産税(Real Estate Tax)

不動産税は、不動産の価値に基づき徴収される税金です。不動産税は、各州政府によって徴収され、且つ各州の税率が異なります。現地の法律により、不動産の所在する州又は郡などの関連部門は、予想の販売価値または当該不動産の前回販売時の価格に基づいて、価値評価を定期的に行い、不動産税の課税ベースを確定します。

2.
賃貸収入の関連税務

米国における不動産による賃貸収入及びその他の収入は、米国源泉所得とみなされ、米国で所得税を納付する必要があります。投資者の管理への参加度及び保有目的によって、当該不動産による賃貸収入は、外国投資者の米国での経済活動と密接な関連のある収入、及び密接な関連のない収入に分けられています。

一般的に、外国の個人は、保有している米国不動産を受動的な投資として、且つ当該不動産の日常管理に参加しない場合、当該不動産による賃貸収入が米国の貿易または業務と密接な関連がないとみなされ、賃貸収入の総額に対し30%(あるいは租税協定の規定によるさらに低い税率)の税金を納付する必要があります。テナントまたは源泉徴収義務者は、賃料の30%相当額を源泉徴収し、かつ定期的に内国歳入庁(IRS)に申告しなければなりません。この場合、源泉徴収額が足りると、外国投資者は毎年納税申告書を提出する必要がありません。

但し、外国投資者は当該不動産を保有する目的が賃貸またはその他の方法で収益を得ることであり、かつ会社管理のように当該不動産に関する意思決定に参加する場合、不動産による賃貸収入は米国の商業及び貿易活動と密接な関連があるとみなされます。このとき、投資者は30%の源泉徴収税を納付する必要がなく、賃貸収入の純利益に基づき相応の所得税(10%~37%)を納付すればよいです。純利益とは、賃料収入の総額から不動産に関する費用(例:ローンの利息支出及び広告費)を引いた金額を指します。この場合、外国投資者はIRSに米国個人納税者番号(ITIN)を申請し、かつ純利益が赤字だとしても毎年納税申告書を提出しなければなりません。注意すべき点としては、外国個人は30%の源泉徴収税の免除を受けるために、テナントまたは源泉徴収義務者にForm W-8ECIを提出する必要があります。

3.
不動産売却の関連税務

外国個人が米国不動産を売却、またはその他の方法で処分することにより得た収益は、米国源泉所得に属し、かつ米国の貿易または業務活動と密接な関連があるとみなされます。このとき、外国投資者はキャピタルゲイン税及びFIRPTAの規定に基づく源泉徴収税を納付しなければなりません。

(1)
キャピタルゲイン税(Capital Gains Tax)

外国投資者は、一年以上保有している不動産を売却することにより得た収益が長期キャピタルゲイン(long-term capital gains)に属し、15%または20%の税率(個人の納付すべき税額による)で当該キャピタルゲインに対し納税する必要があります。

(2)
FIRPTA源泉徴収税

外国個人は保有している米国不動産を売却する場合、FIRPTAに従って源泉徴収税を支払う必要があります。通常は買い手によって源泉徴収が行われます。従って、売り手による源泉徴収の行い及びIRSへの申告は必要ありません。買い手としては、まず売り手が外国人であるかどうかを確認する必要があります。売り手が外国人であれば、買い手は取引終了後20日以内に適正な税額を源泉徴収し、IRSにForm 8828、8828-Aを提出し、且つ相応の源泉徴収税額を納付する必要があります。

FIRPTAにより、買い手は米国で保有する個人住宅以外の不動産、及び買収価格が100万ドルを超えた個人住宅に対して、不動産の売却価格または市価のいずれか高い方に準じ、15%の税率で源泉徴収する必要があります。買収価格が300,000ドルを超えない個人住宅に対して、買い手は源泉徴収する必要がなく、その他の個人住宅に対しては、買収価格が100万ドルを超えない限り10%の税率で源泉徴収を行う必要があります。

FIRPTA源泉徴収税は実際の納付すべき税額ではありません。源泉徴収税額が実際の納付すべき税額(所得税とキャピタルゲイン税を含む)を上回ると、外国投資者は個人所得税申告書を提出する際、税還付を申請する必要があります。

IRSの規定に基づき、米国不動産を処分することにより発生した10%または15%のFIRPTA源泉徴収税額は、IRSによって発行された源泉徴収票に基づき一定の金額が免除されます。特定の要求を満たす場合には、FIRPTAに規定されている15%の源泉徴収税が免除される場合もあります。例えば、30万ドル以下の自己用住宅(投資用不動産ではなく)を購入すると、FIRPTA税額を源泉徴収する必要がありません。

4.
米国相続税

外国投資者が亡くなった後、その保有している米国不動産に対し米国相続税(及びいかなる州に適用される相続税)を納付する必要があります。外国人の相続税の控除額は60,000ドルであり、60,000ドルを超えた分に対し40%の相続税を支払う必要があります。


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