マレーシア会社向けコンプライアンス
特に明記しない限り、以下の内容で紹介される「マレーシア会社」及び「会社」とは、マレーシアの会社法に基づき設立された非公開株式会社です。
非公開会社が設立された後、会社の取締役はマレーシアの「2016年会社法」及び会社設立後の毎年の法定コンプライアンス要件を理解し、遵守する必要があります。
本稿は、マレーシア会社のコンプライアンス要件を紹介します。
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会社名称と会社登録番号の開示
全ての会社はその登録住所、営業所及び法定記録簿を保存する場所で会社名称及び会社登録番号を開示する必要があります。法定記録簿には、全ての登録冊、その他情報を記録する書類、会計書類等が含まれます。
会社名称及び会社登録番号は、会社印鑑、及び会社又は会社を代理して発行・署名した全てのビジネスレター、勘定書、領収書、官報、出版物、為替手形、約束手形、裏書、小切手、注文書、レシート及び信用状等にローマ字で明記されなければなりません。
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初回取締役会
マレーシア会社登録庁(CCM)からの登録通知書を受け取った後、会社は初回取締役会を開催し、会社の設立、取締役の委任、秘書役の委任、株式の引受、営業所の開設等を記録します。
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秘書役の委任
会社は設立の際に秘書役を委任しなかった場合、設立する日から30日以内に会社秘書役を1人委任する必要があります。会社秘書役は、18歳以上の自然人であり、マレーシア公民又は永住者であり、且つマレーシアに居住している必要があります。会社秘書役は「会社法2016」添付表4に記載されている以下の協会の会員であり、且つCCMによる認可されたライセンスを持っている必要があります。
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会社の取締役、マネージャー、秘書役の情報変更
「2016年会社法」第58条の規定により、会社は設立する日から14日以内に取締役全員のサービス住所が記載されている変更フォームをCCMに提出しなければなりません。会社の取締役に関するその他の書類は会社設立の際に開示されます。
会社の取締役、マネージャー、秘書役の情報が変更された場合、会社はその変更する日から14日以内に変更フォームをCCMに提出しなければなりません。
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株主名簿の変更
「2016年会社法」第51条の規定により、会社は株主又はその関連情報が変更される日から14日以内に変更フォームをCCMに提出しなければなりません。
会社は設立後、株主名簿の株式保有の分析をCCMに更新することができます。
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営業所と事業活動に関する通知
会社は事業を行う実際の場所がある日から14日以内にその営業所をCCMに通知しなければなりません。会社の事業活動に関する情報は会社設立の際に開示されます。
会社は営業所又は事業活動を変更しようとする場合、その変更する日から14日以内にCCMに通知しなければなりません。
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会計年度末と監査人の委任
会社は設立後18ヶ月以内に最初の監査済財務諸表を作成する必要があります。その後、会社はその会計年度末から6ヶ月以内に財務諸表を作成しなければなりません。監査済財務諸表は、会計年度末から6ヶ月以内に会社の株主に配布し、且つ配布する日から30日以内に提出される必要があります。
「2016年会社法」は会社の会計年度を規定していないため、会社は自ら会計年度を決定することができます。
新規会社は最初の財務諸表を提出する締め切り前の30日以内に会社の監査人を委任する必要があります。
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会社の定款
「2016年会社法」により、保証有限会社のみは定款が必要です。その他形態の会社は定款を作成するか否かを自ら決定することができます。
定款に明記されない限り、会社やその取締役、株主の権利・権力・責任・義務は「2016年会社法」に準拠します。「2016年会社法」で認められている場合にのみ、定款はそれらの権利・権力・責任・義務を変更することができます。「2016年会社法」が意思決定の方法が定められていない場合、定款で定めることができます。
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登録住所の変更
「2016年会社法」第46条の規定により、マレーシアで設立された会社は登録住所を有する必要があります。登録住所が変更された場合、会社は変更される日から14日以内に変更フォームをCCMに提出しなければなりません。
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登録資本金の変更
会社の資本金に関する変更が発生する場合、会社は所定の期限内に関係書類をCCMに提出しなければなりません。
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年次申告の基準
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財務諸表の配布
「2016年会社法」により、非公開有限会社は年次株主総会を開催する必要がありません。非公開会社は設立後18ヶ月以内に財務諸表を株主に配布し、株主の同意を取得すれば結構です。その後、会社は会計年度末から6ヶ月以内に財務諸表を株主に配布する必要があります。
会社は財務諸表を配布する日から30日以内にその財務諸表をCCMに提出しなければなりません。
啓源はクライアント様の会社の最終的な財務諸表を受け取った後、関係書類の作成及び株主の署名を支援し、その財務諸表をCCMに提出します。
但し、Exempt Private Company(EPC)は財務諸表をCCMに提出する必要がありません。返済能力を有する場合、EPCは「Certificate by Exempt Private Company」及び「Auditor's
Statement」の提出を選択することができます。
EPCとは、株主が20人以下であり、且つ法人に直接的又は間接的に保有されることができない民間会社を指します。
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11.2
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年次申告書
「2016年会社法」第68条の規定により、会社は毎年の設立記念日から30日以内に年次申告書をCCMに提出しなければなりません。年次申告書の内容には、会社の取締役、マネージャー、株主、登録住所、抵当、負債に関する情報が含まれます。
啓源は取締役による署名済の年次申告書類を受け取った後、クライアント様の会社のために年次申告書をCCMに提出します。
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11.3
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財務諸表を提供する期限の延長
会社が所定の期限内に財務諸表をCCMに提出することができない場合、当事務所は代理して財務諸表を提供する期限前に延長を申請することができます。延長申請が承認されるか否かはCCMによって決定されます。
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啓源グループは経験豊富な専門チームを持ち、マレーシア会社の書類準備・登録、各種許可・免許の申請、税務企画、会計監査サービスをご提供します。詳細については、当事務所の専門コンサルタントまでお問い合わせください。
記事を参考:
マレーシア会社設立基本パッケージ