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シンガポールの子会社と支店の比較

外国会社はシンガポールにおいて事業体を設立して事業を行おうとする場合、シンガポールにおいて子会社である有限会社を設立し、又はシンガポール支店として登録を申請することができます。

シンガポール支店は外国会社の一部と見なされ、独自の法人格を持っていません。シンガポール子会社と違い、外国親会社は支店の全ての債務及び責任を負います。支店がシンガポールにあるため、原告はシンガポールの法規制を利用し、本社に対して訴訟手続きを行うことができます。子会社は親会社から独立した法人であるため、外国会社は子会社の債務に対して子会社の登録資本金を限度として有限責任んを負います。要するに、外国親会社は子会社を100%所有している場合、子会社の債務に対して一切責任を負いません。

資格及び免除を取得しない限り、外国会社のシンガポール支店は維持・コンプライアンス義務を履行しなければなりません。支店は100%本社によって所有され、支店及び本社の監査済み財務報告書を提出する必要があります。外国会社のシンガポール子会社は独立した法人です。シンガポールの会社法の規定により、子会社の規模が監査免除の要件(即ち「小規模会社」)に該当する場合、財務諸表を監査するために監査人を雇う必要はありません。

外国会社のシンガポール支店は非居住者として課税され、現地の優遇税制を享受することができません。また、支店はグループ減免の対象外であり、外国税額控除等を申請することができません。一方、外国会社のシンガポール子会社は、外国会社が100%所有している独立した現地法人です。シンガポール子会社はシンガポールの居住者と見なされるため、シンガポールが現地法人に提供する各項の優遇税制を享受することができます。

上述の理由から、ほとんどの外国会社はシンガポールに支店でなく子会社を設立します。

本稿では、資産保護、事業活動、財務諸表及び優遇税制という4つの面においてシンガポールの支店と子会社の違いについて説明します。クライアント様の便利のために、当事務所は支店と子会社の違いの一覧表を作成しました。ご参照ください。

一、 独立法人及び資産保護


外国会社のシンガポール支店は、外国会社のシンガポールにおける事業活動と見なされ、独立した法人格を持っていません。即ち、支店は独自に債務を負担できない場合、外国会社はその債務を負担しなければなりません。第三者は外国会社のシンガポール支店に対して訴訟を起こす場合、外国会社はシンガポールで対応しなければなりません。要するに、外国会社はその支店と切り離すことができず、その資産の安全性を保証することもできません。

一方、外国企業のシンガポール子会社は独立した法人です。法的責任の面から見て、外国会社はシンガポール子会社の100%持分を所有しても、子会社は完全に独立しています。要するに、外国会社のシンガポール子会社は自身の資産で自身の債務に対して責任を負い、その債務も外国親会社と関係ありません。

二、 業務活動


外国会社のシンガポール支店は、外国会社のシンガポールにおける事業活動と見なされ、独立した法人格を持っていないため、親会社の事業範囲内の承認された合法的な事業活動のみを行うことができ、外国親会社の事業と関係無い活動を行うことができません。

外国会社のシンガポール子会社は独立した法人のため、会社設立の際に経営しようとする事業活動を明記する限り、その活動を行うことができます。経営しようとする事業活動を行うにはライセンス・許可の別途申請が必要な場合、事業活動を行う前に当該ライセンス・許可を取得する必要があります。もちろん、シンガポール子会社は現地法人のため、いつでも外国親会社の要求に応じて事業範囲を変更することができます。


三、 年次財務諸表


事業活動を一切行わず(即ち休眠会社)、又は書面で申請しシンガポール会計企業規制庁の同意を取得する場合を除き、外国会社のシンガポール支店は毎年、支店及びその外国親会社の監査済財務諸表を提出する必要があります。要するに、外国会社のシンガポール支店は、シンガポールの監査人を雇用し、財務諸表を監査する必要があります。

外国会社のシンガポール子会社は独立した法人のため、シンガポールの会社法の規定により、子会社の規模が監査免除の要件(即ち「小規模会社」)に該当する場合、財務諸表を監査するために監査人を雇う必要はありません。シンガポールの会社法の規定により、シンガポール会社は以下の条件に該当する場合、「小規模会社」に該当します。

1、
会社は非公開会社である場合

2、
会社は連続して2つ会計年度に次の3つ要件の2つに該当する場合


(i)  総所得は1,000万シンガポールドル未満の場合
(ii) 総資産は1,000万シンガポールドル未満の場合
(iii)従業員は50人以下の場合


会社が会社グループの構成員である場合、会社及び所属するグループは同時に上述の要件に該当する必要があります。

四、 優遇税制


税務上、外国会社のシンガポール支店は非居住者と見なされ、グループ減免の対象外であり、外国税額控除等を申請することができず、新規会社又はシンガポール現地法人のように現地の優遇税制を享受することもできません。

外国会社はシンガポールの会社法に基づきシンガポールにおいて独立した有限会社(子会社)を設立した場合、税制上の大きなメリットがあります。シンガポール現地法人は、シンガポールの税法に従ってより低い所得税率等の一連の優遇税制を享受することができます。例えば、新規会社は最初の3年間の最初の10万シンガポールドルの75%、その後の10万シンガポールドルの50%が非課税です。

一言で言えば、多国籍企業、銀行、保険会社は、そのブランドを使用し、外国親会社の名義で営業許可書の申請及び契約書の締結を行うために、シンガポールにおいて支店として登録する場合が多いです。他の業界のほとんどの外国会社は、シンガポールにおいて子会社を設立する場合が多いです。子会社は独立した法人として、外国会社にリスクを与えることを回避しながら、外国会社に事業の弾力性を与えることができます。

参考資料:
シンガポール支社設立の手続きと費用
シンガポール会社登記抹消の手続きと費用

シンガポールの子会社と支店の比較表


子会社 支店
会社名称 親会社と同一である必要はない 本社と同一である必要はある
事業活動の範囲 全ての商業活動を行うことができる(ある業務に対しては特殊ライセンスや許可の申請が必要である) 本社と同一である必要はある(ある業務に対しては特殊ライセンスや許可の申請が必要である)
適格対象 シンガポールにおける事業拡大を図っている現地会社又は外国会社 シンガポールにおける事業拡大を図っている外国会社
オーナーシップ 現地会社でも外国会社でも100%保有することが可能である 本社と同一の事業体である
独立した事業体 はい いいえ
メンバー数上限 50名以下 適用されない
設立時の最低要件 最低1名の株主(個人又は法人)
最低1名のシンガポール居住者の取締役
最低1名のシンガポール居住者の現地代表権者
有限責任 ある なし、債務は外国本社が負う
監査義務 監査義務あり、免除資格を取得する場合を除く 監査義務あり、免除資格を取得する場合を除く
ACRAとIRASに勘定科目を提出する義務 提出義務あり、免除資格を取得する場合を除く 提出義務ある
年次報告書の提出義務 年次報告書(Annual Return)及び子会社の監査済財務諸表を提出する義務あり、財務諸表監査免除資格を取得する場合を除く 支店と親会社の監査報告書を提出する義務ある
税務上の取り扱い シンガポール居住法人として課税され、現地税収優遇措置を享受できる 非居住法人として取り扱われ、現地税収優遇措置を享受できない
税収優遇 最低1名個人株主が最低10%株式を保有する場合は、現地税収優遇とリベートを享受できる 部分免税
現地銀行口座の開設 可能 可能
存続期間 登録抹消や清算を行うまでは永続 登録抹消を行うまでは永続
従業員雇用 現地人も外国人も雇用可能(外国従業員はシンガポールの就労ビザの申請・取得が必要である) 現地人も外国人も雇用可能(外国従業員はシンガポールの就労ビザの申請・取得が必要である)
役員委任 最低1名の現地居住者の取締役及び1名の現地居住者の会社秘書 1名の現地代表権者
主な管轄官庁 シンガポール会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール内国歳入庁(IRAS) シンガポール会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール内国歳入庁(IRAS)

ダウンロード: シンガポールの子会社と支店の比較 【PDF】


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