シンガポールは属地主義を採用して課税します。要するに、シンガポール政府は企業のシンガポール国内源泉所得に課税します。シンガポール国外において経営している非居住法人は、通常、シンガポール国内で取得する国外源泉所得に法人税を納付する必要がありません。シンガポール居住法人がシンガポール国内へ配当金、支店の所得、サービス収入(特定の国外源泉所得)を送金する場合、関連規制に該当する国外源泉所得は免税対象となります。関連規制に該当しない場合、シンガポール国内へ送金される特定の国外源泉所得は、特定の制度又は状況で免税が享受できますが、承認されなければなりません。
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シンガポール国外源泉の配当所得 |
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シンガポール国外支店の所得 |
(3) |
シンガポール国外源泉のサービス収入 |
シンガポール税法により、所得税の免除は以下の要件に該当する必要があります。 |
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(1) |
源泉地国の当該所得の年間税率は最低15%であること。 |
(2) |
当該所得は源泉地国において既に課税されたこと(会社が海外で事業活動を大量に行い、且つ現地の優遇税制を適用するため、当該所得に税金を納付する必要がない場合も該当する)。 |
(3) |
シンガポール内国歳入庁長官は所得税の免除が会社にとって有益であると判断すること。 |
3.1 |
2019年以降の新規会社 シンガポールにおいて設立される全ての新規会社は、設立後連続3年度で、各年度の課税所得のうち最初の10万SGDの75%が免除されます。新規会社が享受できる免除及び免除後の課税金額は下表の通りです。 (表1)
免除は以下の要件に該当する必要があります。 (1) 会社はシンガポールにおいて設立されること。 (2) 当賦課年度、会社はシンガポール税務上の居住法人であること。 (3) 当賦課年度、会社は全ての株主が自然人であり、株主が20人以下であること。且つ (i) 全ての株主はその保有している株式の実質的支配者であること。 2013年2月26日後、上述の免除は投資持株会社及び不動産開発会社に適用されません。 |
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3.2 |
2019年以降の既存会社 全ての既存会社には下表の部分税額免除制度が適用されます。 (表2)
また、2019年に、全ての会社は課税金額の20%のリベート(10,000SGDを上限)を受け取ることができます。 |
4.1 |
寄附金 2016年1月1日から2021年12月31日まで、企業は認証済の公益団体(Institutions of a Public Character:IPC)への寄附金の250%相当額を控除することができます。寄附金額が課税所得を超える場合、企業は未控除の寄附金を以降の会計年度の利益と相殺することができますが、最大5年間の繰り越しが認められています。 |
4.2 |
未控除の欠損金、減価償却費と寄附金 会社の欠損金、減価償却費及び寄附金は調整後営業利益と相殺できますが、以下の要件に該当する必要があります。 (1) 会社は当賦課年度に譲渡した株式が50%以下であること。 且つ (2) 上述の各項目を繰り越す場合、会社の事業内容が大幅に変更できません。 |
4.3 |
修復費と改修費控除計画 会社の家具、設備、その他建物関連の支出は減価償却(Capital Allowance)と認められませんが、シンガポールの税法は減価償却の代わりに、修復費及び改修費の特別控除を規定しています。2013年から、当該控除上限額は連続3賦課年度に30万SGDです。2021年賦課年度以降、企業は一賦課年度以内に修復費及び改修費を控除することができ、控除上限額が変更されません。 |
4.4 |
連結納税 シンガポールは2003年に連結納税(グループリリーフ)措置を導入しました。グループとは、シンガポールで設立される親会社、及び親会社が75%以上の株式を保有するシンガポールで設立される子会社で構成される集団を指します。グループのうち会社は、その減価償却費、欠損金、及びコンプライアンス寄附金をグループのうち他の関連会社に繰越して、課税所得を控除することができます。連結納税は同一賦課年度に限定されています。 |
4.5 |
未控除の欠損金、減価償却費と寄附金の繰り戻し 2006年賦課年度以降、会社は未控除の減価償却費及び欠損金が当賦課年度に全額控除できない場合、その控除額を直前の賦課年度に繰り戻すことができ、直前の賦課年度の利益と相殺します。繰り戻しの控除上限額は10万SGDです。2020年シンガポール予算案により、当該繰り戻しの最大期間は3賦課年度に延長されます。 |
4.6 |
研究と開発 会社の新技術や新製品の研究開発費、又は外部に研究開発を委託する研究開発費は、税引前に課税所得から控除することができます。2019年から2025年まで、会社は特定の要件に該当する場合、追加の控除(研究開発費の150%相当額を上限)が申請できます。 |
4.7 |
国際化二重控除 国際化二重控除(Double Tax Deduction for Internationalisation DTDi)は、シンガポール企業の国際市場開拓を促進することを目的として、シンガポール国際企業庁に管理されています。DTDiによれば、会社は海外における事業開発調査、投資調査及び展示会の参加などの市場開拓や投資開発活動に係る費用が200%減税を享受することができます。DTDiは、商品取引の促進及びサービスの提供を主な事業とするシンガポール税務上の居住法人のみに適用されます。 |
5.1 |
配当金 シンガポール居住法人に支払う配当金に源泉税を納付する必要はありません。シンガポールに資本所得税はありません。配当金がキャピタル・ゲインであるため、配当金を取得する者は配当所得にその他税金を納付する必要がありません。 |
5.2 |
利子 租税条約の軽減税率が適用されない場合、非居住者に支払う利子に税率15%の源泉税を納付する必要があります。一部特定の利子は免税又は低税率が享受できます。15%の税率は非居住者が取得するシンガポールにおける事業活動又は設立される恒久的施設に係らない利子のみに適用されます。低税率が適用されないその他の利子は、現行の法人税率で課税されます。 |
5.3 |
ロイヤルティー 租税条約の軽減税率が適用されない場合、非居住者に支払うロイヤルティーに税率10%の源泉税を納付する必要があります。一部のロイヤルティーは免税を享受することができます。10%の税率は非居住者が取得するシンガポールにおける事業活動又は設立される恒久的施設に係らないロイヤルティーのみに適用されます。低税率が適用されないその他のロイヤルティーは、現行の法人税率で課税されます。 |
5.4 |
技術支援料 科学技術、工業、商業の知識・情報の応用もしくは使用、又は貿易活動や専門的活動の管理もしくは支援に係る非居住法人(非個人)に支払う料金には、租税条約又はその他の規定が適用されない場合、一般的に17%の源泉税が課されます。 |
5.5 |
本社への送金 シンガポール国内における海外会社の支店が海外本社に益金を送金する場合、源泉税を納付する必要はありません。 |
7.1 |
賦課年度 シンガポール会社は賦課年度が一般的に暦年制ですが、会計年度(基準期間)に従って納税申告を行うこともできます。賦課年度とは、会社が課税所得を計算し、税金を納付する年度を指します。会社は前年の所得に税金を計算して納付します。例えば、会計年度が2017年4月1日から2018年3月31日まで(基準期間)である会社は、2019年にその期間の所得に税金を計算して納付します。 |
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7.2 |
申告要件 会社は会計年度末から3ヶ月以内に、見込所得をシンガポール内国歳入庁に申告する必要があります。即ち、「見込所得申告表」を内国歳入庁に提出する必要があります。その後、会社は賦課年度の11月30日までに前会計年度の所得に申告を行わなければなりません。電子申告の場合は、締切日は12月15日までに延長されます。 |
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7.3 |
税金納付 所得税の納付は、納税通知(Notice of Assessment:NOA)が発行されてから1ヶ月以内に完了する必要があります。会社は見込所得申告書をオンラインで提出するか否かによって、最大10ヶ月のECI税の分割払いをすることができます。具体的な規制は下表の通りです。
例えば、会社の2018年会計年度は2018年12月31日に終るものとします。規制により、その会社は2019年3月31日までに見込所得申告表を提出する必要があります。会社が2019年1月26日以前に申告表を提出する場合は、10回の分割払いをすることできます。書面申告の場合、最大5回の分割払いをすることできます。賦課年度2020年以後、全ての会社は電子申告で見込所得申告表を提出する必要があります。 |
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7.4 |
罰則 前述のように、会社は納税通知取得後1ヶ月以内に税金を納付する必要があります。税金を納期限までに納めない場合は、税額の5%の延滞金が課せられます。延滞金が課せられてから60日以内に依然として税金が納付されない場合、月ごとに2%を加算し、税額の50%を上限とします。 上述の罰則以外に、シンガポール内国歳入局は税金を強制的に徴収するにさらなる措置が実施できます(会社の銀行、借り手又は弁護士を会社の代理人とし、会社への支払いを直接に内国歳入局へ支払うこと、及び会社に対する法的措置をして提訴することを含む)。 |
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