中国内地と香港との間の全面的二重課税回避協定
中国内地と香港は2006年8月21日、中国内地と香港の投資家が国境を越えた経済活動を行う際に遭遇する可能性のある二重課税を解消するための新しい「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための内地と香港特別行政区との間の協定」(以下「全面的協定」と略称)に署名した。全面的協定は、内地において2007年1月1日以降に得た所得に適用され、香港において2007年4月1日以降の課税年度内に得た所得に適用される。
一部の所得に対する課税権の配分については、以下に説明する。
直接的な所得
営業利益
全面的協定第7条の規定によると、香港企業の営業利益は香港でのみ課税されるべきであり、即ち中国内地が課税権を得られない。香港企業が中国内地での恒久的施設を通じて中国内地において営業する場合、中国内地は当該恒久的施設による営業利益に対して課税することができる。
給与所得
全面的協定別表第14条によると、香港居住者が中国内地で労務の提供による報酬は、中国内地で課税されなければならないが、次の3要件をすべて満たした場合、免税を受けられる。
(1) 香港居住者が関連する課税年度中に開始または終了する12ヶ月の期間において、中国内地に連続または累計で滞在日数が183日を超えない。
(2) 当該報酬が中国内地居住者でない雇用主またはこれに代わる者から支給されている。
(3) 当該報酬が雇用主の中国内地での恒久的施設により負担されていない。
間接的な所得
配当金
全面的協定別表第10条によると、居住者企業側が居住者側に支払う配当金は、居住者側で課税され、つまり居住者の居住地側が課税権を有する。配当金を支払う会社と居住者の居住地が同じであることも許可し、この場合には、配当金の制限税率は次の通り。
(a) 受益者が会社であり、且つ配当金を支払う会社の最低25%の資本を直接持っている場合、課税額は配当金総額の5%を超えてはならない;
(b) その他の状況には、課税額は配当金総額の10%を超えてはならない。
配当金は香港で課税されないため、制限税率は香港に適用されない。
利息
全面的協定別表第11条によると、香港居住者が中国内地居住者会社から得た利息収入は、当該利息の課税率が7%に引き下げられる。
特許使用料
香港居住者が中国内地居住者会社から得た特許使用料は、全面的協定別表第12条によると、課税額が特許使用料総額の7%を超えてはならない。航空機・船舶のリース業務に対して支払う特許使用料は、課税額が特許使用料総額の5%を超えてはならない。
財産収益
全面的協定別表第13条によると、香港居住者は、中国内地居住者会社の株式を譲渡することにより収益を取得する場合、次の2つの条件を満たせば、中国内地で課税されない。
(1) 株式を譲渡する前の3年以内に当該中国内地居住者会社の財産は主に不動産によって構成されていない、又は
(2) 譲渡前の12ヶ月以内に、中国内地居住者会社の最低25%の資本に直接的・間接的に参加していない。
上述の内容は一般情報だけであり、もっと詳しい情報をご希望の方は、全面的協定の全文をご参照ください。またはプロの税務担当者にご相談ください。
データソース:香港税務局ウェブサイト
- https://www.ird.gov.hk/chs/pdf/dipn44.pdf
- https://www.ird.gov.hk/chs/tax/dta_inc.htm