中国における外国人による個人所得税の納付に関する若干の問題
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中国へ出張する外国人
海外の組織から中国に派遣され、賃金給与が海外(母国等)によって支給され、且つ1納税年度に中国国内に累計90日以上居住する外国人は、実際の中国居住日数に基づいて個人所得税を納付しなければなりません。即ち、中国に91日居住した場合、中国国内源泉所得に対して納税する必要があります。
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中国で働いている外国人
簡単に言うと、中国で駐在員事務所の首席代表、外資系独資企業又は合弁企業の総経理等の職を務めている場合、中国で働き始めた日から個人所得税を納付する必要があります。
1納税年度に実際に中国へ行くことがならず、駐在員事務所の首席代表を務めている場合、毎月税務機関にゼロ申告を行う必要があります。
法により、外国人は中国での職務による全ての賃金給与を申告して個人所得税を納付する必要があります。しかし実際に、外国人は当該職務について虚偽の給与(残り部分は海外で支給される)を申告して税額を納付し、課税所得を大幅に削減します。当該方法が違法であるため、採用するには慎重に検討しなければなりません。当該方法が過去の慣習でしたが、最近では、当該方法を採用する外商投資企業は数百万元の罰金が課せられます。問題は監査機関によって発見される恐れが高まっています。
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中国とその他の場所で同時に職務を務めている外国人
外国人は商用ビサで入国し、実際の中国居住日数に基づいて個人所得税を納付しなければなりません。税額はその外国人の中国での職務及び海外会社の総給与に基づいて評価されます。中国税務局は外国人の海外会社の収入証明書(納税通知書、納税証明書等)を調査する可能性があります。中国の雇用主は毎月外国人の中国に居住する日数に応じて個人所得税を申告・納付します。税務局は、外国人が個人所得税を納付したことを証明するために納税記録を発行します。外国人は納税記録を通じて海外で納付した税金から納税額を控除することができます。即ち、その外国人は中国と外国での二重課税を避けることができます。
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外国人の全世界所得に対する個人所得税
外国人は中国国内において累計183日以上居住する連続年数が6年以上を満たした後、源泉地国を問わず、全世界所得に対して個人所得税を納付しなければなりません。即ち、他国・地域で不動産の賃貸料又は利子に係る収入がある場合、中国の税務機関に申告する必要もあります。海外に納付済み税金は、中国の税務機関に納付する税金から控除できます。中国国内に累計183日以上居住する年度のいずれかに1回30日以上の出国がある場合、当該状況を避けることができます。
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就業証の登記手続き
中国に居住して働いている場合は、就業証及び居住許可証を申請する必要があります。
地域の定期検査が現地の公安局によって行われているため、外国人は入国してから家を賃貸する際に、最初に現地の派出所(居住地が所属した公安機関)に登記する必要があります。
上記の許可証を取得する前に、外国人は指定された医療機関で健康診断を受ける必要があります。健康診断は数時間かかります、診断結果は通常2営業日後発行されます。
配偶者及び子女も中国に居住する場合、外国人は現地の公安機関にも登記しなければなりません。
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税率
中国で賃金給与を得る外国人は毎月5000元の免税額を享受することができますが、毎月5000元の賃金給与所得しか申告しないという意味ではありません。税務局は厳しい監理を行っており、外国人に他の地域の所得証明書を提供させる可能性があります。
近隣諸国と比較すると、中国の個人所得税率は比較的高いです。総合所得、税率及び控除額について、下表をご参照ください。
個人所得税税率
(総合所得に適用)
段階
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当該年度の課税所得額
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税率(%)
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控除額
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その他
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1
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36000元以下
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3
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60000元/年
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特別控除、特別付加控除
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2
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36000元超144000元以下
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10
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3
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144000元超300000元以下
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20
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4
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300000元超420000元以下
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25
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5
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420000元超660000元以下
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30
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6
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660000元超960000元以下
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35
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7
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960000元超
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45
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税務局は特定の業界における賃金に関し、いくつかの潜在的又は明確な基準があります。具体的には、外国人の職務、学歴、国籍によって異なります。従って、外国人の申告した収入が業界の賃金基準より顕著に低い、又は適しない場合、現地の税務機関はその外国人が意図的に収入を下げて脱税をしようとすると判断し、同時に証拠を集め、申告された賃金給与の増加を外国人に要する権利があります。その場合には、外国人及びその雇用主が企業内部の脱税行為により厳しい税務監査を受ける恐れがあるため、巨大なリスクを招きます。
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免税額
2019年1月1日から2021年12月31日まで、条件に該当する外国人は、特別付加控除を享受するか、又は住宅手当、言語訓練費用、子女教育費等の免税措置を享受するかを選択できますが、同時に享受できません。選択した後、1納税年度に変更できません。
以下の所得に対して個人所得税が課税されません。
(1) 外国人が非現金又は払い戻しの形で取得した住宅手当、食費手当、引越し手当、クリーニング代
(2) 外国人が合理的な基準に基づいて取得した国内外の出張手当
(3) 外国人が取得した帰省費用手当、言語訓練費用、子女教育費
(4) 外国人が外商投資企業より取得した株式配当、利子配当
従業員に賃金を支給する際に、企業は従業員の個人所得税を源泉徴収・納付する義務があります。そうしなければ罰せられます。同時に、企業は源泉徴収された個人所得税の2%の還付を税務局に申請することができます。企業は従業員の個人所得税を負担する場合、個人所得税額の計算に注意を払う必要があります。その場合には、最初に税引前の賃金給与を計算しなければなりません。
通常賃金給与に対する個人所得税の計算は簡単ですが、外国人の賃金制度が複雑であるため、計算も複雑になります。企業が外国人の賃金制度を決定する際には、専門家と相談し、最も節税効果がある計画を採用するほうがいいです。
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罰則
脱税を好む政府はなく、中国政府もそうです。中国は、税金の滞納、納税拒否又はその他の違法行為に対する罰則が厳しく、通常、罰金が納税額の5倍以下になります。犯罪が発生した場合、法により刑事責任を問われます。公然と脱税を行う場合、企業は営業許可証を取り消され、資産を没収される恐れがあります。脱税は越えられない一線です。ご不明な点がございましたら、すぐに専門家と相談してください。コンサルタント費用は罰金よりはるかに安いです。