中国の税務行政のマニュアル(3)―課税所得
1.1 |
中国においてその他の企業に投資する外商投資企業は、その投資による配当金が課税所得と見なされません。その投資による費用及び損失も、当該企業の課税所得金額から控除できません。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.2 |
課税所得金額を計算する際に、国に別途規定されない限り、下記の各項目は原価、費用又は損失として計上することができません。
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1.3 |
外国企業が中国国内において設立された機構・場所は、親会社が発行した管理費の徴取範囲、総額、配分の根拠や方法に証明する書類を提供したり、公認会計士の監査報告書を添付したり、現地の税務当局に審査されて同意を取得したりした後、経営にかかる合理的な管理費を計上することができます。外商投資企業はその支店、子会社に合理的な管理費を配分する必要があります。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.4 |
企業は、生産、経営に係る借金の利子が生じる場合、借金の利子を証明する書類を提供し、現地の税務当局の同意を取得した後、計上することができます。企業が固定資産の購入、建設、もしくは無形資産の譲渡、開発に使用される借金がプロジェクト実施前に生じた利子は、原価に含まれる必要があります。本法が記載される「合理的な借金の利子」とは、一般的なビジネスローンの利率で計算される利子を指します。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.5 |
企業は生産、経営に係る交際接待費が生じる場合、確実の記録又は領収書を持っており、以下のように費用として計上する必要があります。(1)年間売上高が1500万元未満の場合は、純売上高の0.5%を超えてはなりません。年間売上高が1500万元未満の場合は、純売上高の0.3%を超えてはなりません。(2)年間事業所得が500万未満の場合は、純売上高の1%を超えてはなりません。年間事業所得が500万以上の場合は、純売上高の0.5%を超えてはなりません。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.6 |
企業が設立、生産、経営中に生じた為替差損益は、国が別途規定しない限り、当該年度の損益として合理的に計上する必要があります。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.7 |
企業が従業員への賃金及び福利厚生費は、その計算の方法及び根拠に関連する書類を提出し、現地の税務当局の同意を取得した後、計上することができます。但し、企業はその中国において働いている従業員の海外の社会保険料を計上することができません。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.8 |
貸金業、賃貸業等に従事する企業は、現地の税務当局の承認を取得した後、毎年、実際のニーズに応じて年末の貸付残高(銀行間貸付を除く)又は売掛金の残高の3%相当額を貸倒引当金として計上し、課税所得金額から控除することができます。 企業が実際に発生した貸倒損失は、上年度の貸倒引当金を超える部分が当年度の損失として計上し、上年度の貸倒引当金より少ない部分が当年度の課税所得として計上する必要があります。 上記の貸倒損失は、現地の税務当局の承認が必要です。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.9 |
貸倒損失とは、以下の売掛金を指します。
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1.10 |
企業が貸倒損失として計上した売掛金は、以降年度に全部又は一部が回収された場合、回収の年度の課税所得に含まれる必要があります。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.11 |
外国企業の中国国内の機構・場所が取得した当該機構・場所に関連する中国国外の利益(配当)、利子、家賃、特許料及びその他の所得に対して中国国外で所得税を納付した税金は、国が別途規定しない限り、費用として控除できます。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.12 |
税法第18条に記載される純資産又は余剰資金とは、企業清算の際に全ての資産又は財産から各項の債務及び損失を控除した残高を指します。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.13 |
課税所得金額の計算式は以下の通りです。
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1.14 |
企業の課税所得金額の計算は、発生主義を採用しています。企業の以下の事業所得は期間を分割して決定し、それに応じて課税所得金額を計算できます。 (1)製品・商品の割賦販売場合、製品・商品の納品書の日付、又は購入者が契約で合意される代金の支払日によって事業所得の実現を決定します。(2)建設・設置・組立の工事及び役務の提供が1年以上続いている場合、進捗状況又は完成の作業量に応じて事業所得の実現を決定します。(3)その他の企業に大型機械、船舶等の加工・製造を1年以上提供し続ける場合、進捗状況又は完成の作業量に応じて事業所得の実現を決定します。 (国務院令85 [1991.6.30]) |
1.15 |
製品を分配する方式を採用する中外合作企業の場合、パートナーが製品を受け取ることを所得を取得することと見なされ、所得額が第三者への販売価格又は時価を基づいて計算される必要があります。 石油資源の共同開発に従事する外国企業の場合、パートナーが原油を受け取る際に、所得を取得することと見なされ、所得額が同じ品質の原油の国際価格を基づいて定期的に調整される価格で計算される必要があります。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.16 |
企業が取得した所得は非現金又は株式である場合、所得額が時価で計算又は推定される必要があります。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.17 |
企業が完全且つ正確な原価、費用にかかる証憑を提供できず、課税所得金額を正確に算出できない場合、現地の税務当局は同業界又は類似業界の利益率レベルを参照して利益率を決定し、企業はその利益率で課税所得金額を算出します。企業が完全且つ正確な所得にかかる証憑を提供できず、正確に所得額を申告できない場合、現地の税務当局は原価(費用)に合理的な利益をたすこと等の方法で課税所得金額を算出します。 |
1.18 |
前項の規定に従って利益率又は課税所得金額を確定する際に、法律・法規・規程が別途規定される場合、税務当局は当該法律・法規・規程に従って行います。(国務院令85 [1991.6.30]) |
1.19 |
国際運送事業に従事する外国の空運・海運会社は、中国国内の旅客及び貨物輸送からの総所得の5%が課税所得と見なされます。(国務院令85 [1991.6.30]) |
2.1 |
一部の旅館、ホテルは、その営業所からタバコ等の商品を取引関係者の接待に使用し、直接に仕入価格を商品在庫と相殺し、又は交際接待費として計上し、売却益として計算しません。当該場合について、以下の通りに対応することが必要です。
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2.2 |
外国、香港、マカオ又は台湾の役者及び運動員は、団体の名義で中国(大陸)を興行、スポーツ興行をすることによる所得は、以下の通りに納税する必要があります。
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2.3 |
企業所得税が課せられる際に税務問題の処理について、以下のように明確されています。 外商投資企業は実際に受け入れた還付税額が、どの年度の過払い税に関係なく、還付の年度の課税所得として計上され、『外商投資企業及び外国企業所得税法』(以下「税法」という)に従って企業所得税を納付する必要があります。 |
2.4 |
税法第一条及び『外商投資企業及び外国企業所得税法実施細則』(以下「税法実施細則」という)第二条により、医療、教育の業界での外商投資企業の事業所得及びその他の所得は、税法及び税法税法実施細則に従って企業所得税を納付する必要があります。 教育業界の外商投資企業は、その学生に課す費用及びその他の所得(営業税暫行条例が別途規定される項目を除く)が企業の事業所得として営業税を計算・納付する必要があります。当該外商投資企業の総所得(営業税の免税対象の所得を含む)から原価、費用及び損失を控除した後の残高は、課税所得金額として営業税が計算・納付される必要があります。外商が投資・設立した学校について、予め保証金を徴収して学期終了後に返金すると定款又は入学契約に記載され、保証金の利子が学費とする場合は保証金を事業所得とせず、その利子のみを事業所得として納税します。予め高額の費用を徴収し、学期終了後又は学生が中退、退学した後に一部の費用を学生に返還し、残りの部分を学校が所有すると定款又は入学契約に記載される場合、返還の部分は事業所得としなく、残りの部分及び利子を事業所得として納税する必要があります。 医療業界の外商投資企業は、その各所得(営業税暫行条例第六条第一款第(三)項が別途規定される営業税の免税項目を除く)に対して営業税を計算・納付する必要があります。その各所得から関連の原価、費用及び損失を控除した残高は、課税所得金額として企業所得税を計算・納付する必要があります。 (国税発[1994]152号) |
2.5 |
外商投資企業が中国国内の公益、救済に使用した寄付金は、当該年度の原価、費用として計上することができます。上記の寄付には、外商投資企業は中国国内の非営利団体(中国青少年発展基金会、希望プロジェクト、宋慶齢基金会、減災委員会、中国紅十字会、中国障害者連合会、老年基金会、老区建設促進会及び中国民政部が承認した公益団体等)又は国家機関の教育、民政等の公益事業及び自然災害の被害された地域、貧困の地域への寄付が含まれており、受益者への直接寄付が含まれていません。(国税発[1995]175号) |
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