個人商工業者と個人独資企業と一人有限責任会社の税務の違い
個人投資家が起業する際に、個人商工業者と個人独資企業(個人事業主とも呼ばれる)と一人有限責任会社を区分できず、どの事業形態を選ぶべくが存じない場合は多いです。本稿はそれらの税務の違いについて説明します。
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定義
1.1 個人商工業者
個人商工業者とは、商工業に従事し、法により登記された自然人です。個人商工業者の債務につて、個人経営の場合は個人財産をもって負担し、家族経営の場合は家族の財産をもって負担し、区分できない場合は家族の財産をもって負担します。個人商工業者は債務に対して無限責任を負い、且つ法人格を有しません。
1.2 個人独資企業
個人独資企業とは、法により中国において設立され、一人の自然人によって投資され、その資産が個人によって所有され、投資家が個人財産をもって企業の債務に対して無限責任を負う事業体です。個人独資企業は法人格を有しません。
1.3 一人有限責任会社
一人有限責任会社とは、自然人株主又は法人株主が1人のみである有限責任会社を指します。会社の全ての株式又は出資は1人の株主に属します。一人有限責任会社は法人格を有します。
1人の自然人は一人有限責任会社を1つのみ設立することができます。その一人有限責任会社は親会社として新しい一人有限責任会社を設立することができません。
一人有限責任会社の株主はその出資額を限度として会社の債務に対して有限責任を負います。一人有限責任会社の株主は会社の資産が株主自身の資産から独立しているを証明できない場合、会社の債務に対して連帯責任を負う必要があります。
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税務
2.1 個人商工業者
個人商工業者は、その経営者が個人所得税の納税義務者であるため、個人所得税を納付しなければなりませんが、企業所得税を納付する必要がありません。
『中華人民共和国個人所得税法』により、個人商工業者の経営者の課税所得は、毎納税年度の生産、経営活動により所得(以下「生産経営所得」という)から原価、費用及び損失を控除した残額であり、5%~35%の超過累進税率が適用されます。
『個人商工業者税収定期定額徴収管理弁法』により、『個人商工業者建帳管理暫定弁法』に規定される帳簿作成基準に該当しない個人商工業者に対して定期的に定額の税金を徴収します。税務機関は当該個人商工業者の事業規模、営業地域、事業内容、業界特性、管理水準等に基づいて税額を査定する必要があります。
納税者は所得した生産経営所得に基づいて年単位で個人所得税を計算し、月末又は四半期末から15日以内に税務機関に納税申告書を提出し、前払い税金を納付します。翌年の3月31日前に当該年度の個人所得税の確定申告・納付を行います。
2.2 個人独資企業
『個人独資企業及びパートナーシップ企業投資者の個人所得税徴収に関する規定』により、個人独資企業の投資家の課税所得は毎納税年度の生産経営所得から原価、費用及び損失を控除した残額であり、個人所得税法の「個人商工業者の生産経営所得」の課税項目に基づいて5%~35%の超過累進税率が適用され、個人所得税が計算・徴収されます。
2.3 一人有限責任会社
一人有限責任会社は、『中華人民共和国企業所得税法』に従って企業所得税を納付する必要があります。企業所得税は年単位で計算され、税率が25%です。納税年度は暦年1月1日から12月31日までです。
会社の利益の分配について、自然人株主は配当金を取得する際に配当金に対して20%税率の個人所得税を納付する必要があります。法人株主は要件に該当する居住企業の間のエクイティ投資による配当所得を取得する場合、非課税所得として扱うことができます。