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英国不動産にかかる税務

英国不動産にかかる税務

不動産投資とは、家賃収入、譲渡による付加価値、又はその両方を通じて投資収益を得ることを目的として不動産を購入することです。賃貸経営の目的で不動産を購入することは、英国で「バイトゥレット(Buy-To-Let)」と呼ばれています。不動産は、個人投資家、複数の個人投資家、又は法人が保有できます。

本稿では、イングランド及び北アイルランドにおける不動産投資に関する税務について解説します。ウェールズ及びスコットランドについての内容はカバーしていません。

英国に不動産を持っている家主は、次の納税義務が発生します。
  1. 不動産を購入する際に土地印紙税を納付します。
  2. (複数の)個人投資家は受け取った家賃収入の純利益に対して所得税を納付します。
  3. 法人は受け取った家賃収入の純利益に対して法人税を納付します。
  4. 株主は会社からの配当金を受け取った際に配当税を納付します。
  5. 不動産が所在する地方議会は、地方の公的なサービス費用の財源として住民税(Council Tax)を徴収します。
  6. 家主は、不動産を売却する際に、付加価値の部分に対してキャピタルゲイン税(Capital Gains Tax:CGT)を納付します。
  7. 税法上の英国の非居住者は、英国国内源泉所得のみに対して納税し、英国国外源泉所得に対して英国で納税する必要がありません。

  1. 土地印紙税(Stamp Duty Land Tax)

    2022年9月23日以降、個人投資家は、不動産の購入に対して高税率の土地印紙税を納付する必要があります。高税率は基本税率より3%高いとなります。住宅用不動産を購入する法人は、初回購入の場合にも、高税率の土地印紙税を納付する必要があります。

    2021年4月1日以降、イングランド及び北アイルランドで住宅用不動産を購入する英国の非居住者は、居住者と同じく高税率の土地印紙税を納付することに加えて、2%の追加印紙税を納付しなければなりません。

    契約金額

    土地印紙税率

    英国居住者(個人や法人)

    非居住者

     

    25ポンド以下

    3%

    5%

     

    25ポンド超92.5ポンド以下

    8%

    10%

     

    92.5ポンド超150ポンド以下

    13%

    15%

     

    150ポンド超

    15%

    17%

     


    備考:上述の土地印紙税率は、不動産の取引価格に応じて変更され、イングランド、北アイルランドで購入された不動産に適用されますが、ウェールズ、スコットランドでの不動産に適用されません。

    現時点では、次の4つの場合に高税率の土地印紙税が免除されます。
    (1) おもやを変更する場合
    (2) 取引価格が40,000ポンド以下である場合
    (3) 住宅用不動産以外の不動産を購入する場合
    (4) 15戸以上の住宅用不動産を一括して購入する場合

  2. 所得税(Income Tax)

    所得税は、個人の課税所得から控除可能な支出及び控除額を差し引いた後の残額に対して課される税金です。

    2022/23課税年度に、控除限度額は12,570ポンドであり、2028年までに適用されます。収入が125,000ポンドを超えた個人は控除額が適用できなくなります。

    2022/23課税年度(2022年4月6日から2023年4月5日まで)

    税率の段階(イングランド・

    ウェールズ・北アイルランド)

    課税所得額

    税率

    控除限度額

    12,570ポンド以下

    0%

    基本税率

    12,57150,270ポンド

    20%

    高税率

    50,271150,000ポンド

    40%

    追加税率

    150,001ポンド以上

    45%


  3. 法人税(Corporation Tax)

    2009年会社法第14条により、英国で設立された全ての会社は、英国居住者として納税申告書を提出し、英国の法人税を納付する必要がることになりました。

    2020年4月6日以降、英国の非居住者(英国不動産に投資する海外会社を含む)は、利益に対して所得税の代わりに法人税を納付する必要があります。

    2023年4月1日以降、課税対象となる利益が25万ポンドを超えた会社は、法人税の税率が19%から25%に引き上げられます。

    利益が5万ポンド以上25万ポンド以下である会社は、基本税率で納税します。英国歳入関税庁は、段階的に法人税率を引き上げるために、段階的な控除額を設定しました。

    法人税率表:

    課税年度

    2020/21

    2021/22

    2022/23

    2023/24

    基本税率

    19%

    19%

    19%

    25%

    軽減税率

    非該当

    非該当

    非該当

    19%

    下限額

    非該当

    非該当

    非該当

    5ポンド

    上限額

    非該当

    非該当

    非該当

    25ポンド


  4. 配当税(Dividend Tax)

    配当は、企業が株主に支払うものであり、企業に投資した株主への「利益分配」とも呼ばれています。配当金の総額は法人税引後の利益です。

    英国居住者と非居住者が受け取った配当は、異なる税制に適用されます。

    英国居住者は配当が受け取った際に英国の所得税を納付する必要があります。現時点では、2,000ポンド以下の配当収入が免税対象(ゼロ税率)です。2,000ポンドを超えた配当収入の部分は、ほかの収入と合わせて税額を計算する必要があります。2021/22課税年度に配当税率は7.5%~38.1%でした。

    2023年4月6日から、配当収入の免税範囲は2,000ポンドから1,000ポンドに引き下げられました。2024年4月6日から500ポンドに引き下げられる予定です。

    配当税率表:

    課税年度

    2021/22

     2022/23

    基本税率

    7.5%

    8.75%

    高税率

    32.5%

    33.75%

    追加税率

    38.1%

    39.35%


    非居住者は、配当金及び銀行の利息を含む英国国内源泉の投資収益に対して、英国で納税しないことを選択できますが、その場合に個人の所得税を計算する際に個人免税額を適用しなくなります。

    「無視される所得(disregarded income)」を適用するためには、納税者は非居住者の身分を5年間以上保持する必要があります。さもなければ、配当金は一時非居住者規則に基づく英国の所得税の課税対象になります。

  5. 住民税(Council Tax)

    空室でない限り、住民税は賃借人負担です。家主は空室状態にある不動産に対して住民税を納付した場合、納付した住民税額をほかの税額と相殺できます。

    不動産の価格及び不動産に住む人数は、住民税額に影響を与えます。

    イングランド、スコットランド、ウェールズでは、異なる住民税の累進税率を実行している一方、北アイルランドでは住民税が課されません。

  6. キャピタルゲイン税(Capital Gains Tax)

    キャピタルゲイン税は、家主が投資する不動産を処分する(賃貸物件、非居住用不動産、土地を売却すること、不動産を相続することなど)際に課されます。

    キャピタルゲイン税は、基本税率は18%、追加税率は28%です。

    2022/23課税年度キャピタルゲイン税率表:

    累進税率

    住宅用不動産

    住宅用不動産以外

    不動産を売却する会社

    基本税率

    18%

    10%

    法人税率次第

    高税率

    28%

    20%

    追加税率

    28%

    20%


    家主は2020年4月6日以降、英国で不動産を売却する場合、次の期限内に英国の住宅用不動産にかかるキャピタルゲイン税を納付する必要があります。

    (1) 2020年4月6日から2021年10月26日までに取引をした場合、不動産を売却してから30日以内に申告・納付する必要があります。

    (2) 2021年10月27日以降取引をする場合、不動産を売却してから60日以内に申告・納付する必要があります。

    期限内に申告・納付しなかった場合、罰金及び利息が発生します。

    英国歳入関税庁(HMRC)は、非居住者(個人や法人)が不動産を処分することにより得た損益に対し、規定が様々です。非居住者に関する詳細について、第7.2節をご参考ください。

  7. 英国の非居住者の税務

    非居住者である株主は、英国から家賃収入を得、常住地を英国国外にある者です。

    7.1
    非居住者家主制度(Non-resident Landlord Scheme)

    家主は英国国外に居住している場合、家主の賃貸代理人又は賃借人は非居住者家主制度(以下「NRLS」という)に従い、家主への家賃から税金を源泉徴収し、HMRCに納付する必要があります。但し、HMRCは家賃収入が免税であることを承認する旨を書面で家主に通知した場合には、この限りではありません。

    NRLSは、英国での賃貸代理人は家主の代わりに家賃を受け取り、基本税率20%で税額を算出し、四半期ごとにHMRCに納付するものとすることを、規定しています。毎週100ポンド以下を支払う賃借人は源泉徴収義務が発生しません。

    非居住者は英国の納税申告書に記入する際に、NRLSにより生じた税金をほかの税金と相殺できます。

    非居住者は納税遅延がないか、又は英国における納税義務を一切発生しないか、又は申請する年度に英国で税金を納付する必要がない場合、家賃収入からの源泉徴収の免除をHMRCに申請することができます。HMRCは実際の状況に応じて承認・拒否します。

    7.2
    キャピタルゲイン税

    • 英国の非居住者(個人)

      非居住者は、英国で不動産もしくは土地を売却して利益を得た時、及び外国企業の英国支店が使用した資産を売して利益を得た時にキャピタルゲイン税を納付しなければなりません。

      2020年4月6日から不動産を売却・処分する場合、次の期限内にキャピタルゲイン税を申告・納付する必要があります。

      (i)    2020年4月6日から2021年10月26日までに取引をした場合、不動産を売却してから30日以内に申告・納付する必要があります。

      (ii)    2021年10月27日以降取引をする場合、不動産を売却してから60日以内に申告・納付する必要があります。

      不動産売却又は処分により損失が生じ、課税額がないか又は既に自己査定が完了した場合でも、非居住者はHMRCに申告しなければなりません。

      期限内に税額を申告・納付しなかった場合、罰金及び利息が発生します。

    • 英国の非居住者(法人)

      2019年4月6日以降、全ての非居住者(法人)は、英国不動産から生じた利益に対して、キャピタルゲイン税ではなく法人税が課されます。

免責の声明
本文の内容と意見は一般的な情報共有のみであり、専門的なアドバイスではありません。本文の内容への信頼によって生じた全ての損失に対しては、啓源が一切責任を負いません。

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