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イリノイ州会社コンプライアンス及び維持ガイド

イリノイ州会社コンプライアンス及び維持ガイド

イリノイ州で設立された会社(株式会社及びLLC)の日常的な運営管理は、イリノイ州会社法に従わなければなりません。本ガイドは、会社運営のコンプライアンス要求を簡単に紹介することを目的としています。

第1節では、米国イリノイ州会社が従わなければならない基本維持及びコンプライアンス要求を紹介します。要求とは、年次報告書の提出、年次フランチャイズ税申告(株式会社にのみ適用)、登録住所及び登録代理人、及びビジネスライセンス更新を含みます。

第2節では、法人所得税申告(連邦法人所得税及び州所得税の申告に分ける)を紹介します。

第3節では、イリノイ州の売上税申告要求及び税率を紹介します。

第4節では、給与税及び関連サービス(連邦、州給与税申告及び外国人の米国源泉所得の所得税源泉徴収サービスを含む)を紹介します。すべての米国会社は税法のコンプライアンス要求を満たすために時間通りに税務申告を行わなければなりません。

第5節では、外国(米国以外)銀行及び金融口座の申告を紹介します。米国外の外国金融口座を保有する場合、毎年適時にIRSに申告する必要があります。

第6節では、財務諸表サービス(会計記帳サービスと年次財務諸表監査サービスに分ける)を紹介します。

第7節では、当事務所が提供できる米国イリノイ州会社の年次更新及び維持サービスと費用をまとめます。本稿に記載している費用は参考用の概算金額であり、最終費用は実際の状況によります。

本ガイドはイリノイ州と米国法律の会社に対するあらゆるコンプライアンス要求をカバーするものではありません。本ガイドに含まれていない部分に興味がありましたら、当事務所の公認会計士までお問い合わせください。

  1. 年次更新要求

    (1)
    年次報告書

    イリノイ州で設立されたすべての株式会社又はLLCは、毎年イリノイ州州務長官に年次報告書を提出しなければなりません。申告期限は会社設立月の前月の末日までです。

    期限後60日以内に年次報告書を提出していない会社は、イリノイ州政府によって罰金を科されます。180日以上遅れると、会社は営業停止処分を受け、または没収されるかもしれません。

    (2)
    年次フランチャイズ税申告(株式会社にのみ適用)

    イリノイ州フランチャイズ税委員会の規定によると、イリノイ州で設立されまたは経営されているすべての会社は、最低25ドルのフランチャイズ税を申告・納付しなければなりません。期限は課税年度終了後の3カ月目(LLC)または4カ月目(株式会社)の15日目です。

    イリノイ州で設立されたすべての会社は、払込資本金または「割当比率」の計算方法に基づいて毎年フランチャイズ税を支払わなければなりません。払込資本金計算方法に対して、イリノイ州会社は初年度に過去12カ月間の払込資本金の0.15%相当額、最低25ドルのフランチャイズ税を支払います。それ以降の年度には、税率が0.1%まで下がり、払込資本金額が当該年度の過去12カ月間の総額であり、フランチャイズ税の最低額は25ドルであり、上限額は200万ドルです。払込資本金額が比較的高い会社に対しては、割当比率計算方法(総資産と収入に基づく計算方法)のご利用をお勧めします。

    (3)
    登録住所と登録代理人

    イリノイ州の法律に基づき、全ての会社は、会社に代わって法律文書を受け取るイリノイ州における登録代理人を有しなければならず、かつこの登録代理人はイリノイ州の物理的な住所を有しなければなりません。啓源はあなたの会社の登録代理人としてのイリノイ州会社、登録住所としてのイリノイ州における住所及び日常維持・更新サービスを提供できます。

    (4)
    ビジネスライセンス更新

    イリノイ州会社は、一つまたは複数の規制業務に従事するために連邦・州政府が発行するビジネスライセンス・許可証を持っている場合、毎年当該ライセンス・許可証を更新しなければなりません。

  2. 法人所得税申告

    (1)
    連邦所得税申告

    内国歳入庁(IRS)の規定に基づき、すべての会社は課税所得の有無を問わず、暦年を課税年度とした場合、毎年3月15日(LLC)または4月15日(株式会社)までに法人税申告書を提出しなければなりません。法人税申告の期限は、9月15日(LLC)または10月15日(株式会社)まで延長することが可能です。ただし、会社は申告期限を延長しても、納税申告書の元の期限内に(延期した期限を含まない)税金を納付しなければ、相応の罰金及び利息が発生します。

    LLCは連邦所得税を申告する必要がありますが、納税する必要がありません。これはLLCがPass-through entity(パススルー企業)であるからです。LLCは株式会社として確定申告をすることができます。この場合、毎年連邦所得税を申告し、且つ相応の税金を納付する必要があります。

    (2)
    イリノイ州所得税申告

    イリノイ州に業務を展開するすべての会社は課税所得の有無を問わず、州政府に所得税申告書を提出しなければなりません。イリノイ州所得税の申告期限は毎年3月15日(LLC)または4月15日(株式会社)までであり、土日祝日にあたった場合、翌営業日となります。

    イリノイ州株式会社は、イリノイ州課税所得純額に対し7%の所得税及び2.5%の財産交換税を納める必要があります。

    イリノイ州に業務を展開するLLCの課税主体の選択は連邦課税条例に従います。LLCは会社として確定申告をする場合、イリノイ州課税所得純額に対し7%の所得税及び2.5%の財産交換税を支払います。但し、LLCはパススルー企業として確定申告をする場合、イリノイ州課税所得純額に対し1.5%の代替税のみを支払います。

  3. 売上税

    会社がイリノイ州において小売・卸売業者として商業活動を行い、または課税サービスを提供する場合、当該会社はイリノイ州税務部門に登録しかつ売上税を支払わなければなりません。使用税は通常、イリノイ州において小売業者から購入した商品を保存・使用またはその他の方式で消耗し、かつ売上税を納付する必要がない場合に適用されます。使用税は他州からイリノイ州消費者まで運送された商品にも適用されるかもしれません。

    イリノイ州の売上税と使用税は州税(6.25%)、地方税及び発生可能なその他の地方税によって構成されます。地方売上税の税率は各地区の状況によって異なります。

  4. 給与税及び関連サービス

    (1)
    連邦給与税

    イリノイ州で設立された会社は、米国に従業員を雇用し且つ給与を支払う場合、定期的に内国歳入庁(IRS)に源泉徴収した給与税を報告しなければならず、かつ連邦納税預金要求(Federal Tax Deposit Requirements)を満たすために税額の全額を授権銀行または金融機関に振り込まなければなりません。会社は従業員の医療保険税(Social and Medicare)の雇用主負担分および連邦失業保険税を申告・納付する必要もあります。

    給与税の預金頻度は会社の税負担額によります。給与税の関連法規に違反し、または給与税を意図的に納付しない雇用主は、刑事及び民事制裁を受けます。

    (2)
    州給与税

    イリノイ州で設立された会社は、州内で従業員を雇用し且つ給与を支払う場合、イリノイ州税務部門に雇用主登録を行わなければなりません。イリノイ州の雇用主は従業員の給与から給与税を源泉徴収し且つ定期的に関係部門に報告し、源泉徴収した税額を納付する責任があります。イリノイ州の雇用主は従業員の失業保険税を負担する必要もあります。

    (3)
    外国人の米国源泉所得(U.S. Source Income)

    IRSの関連規定に基づき、外国人の米国源泉所得は税金が天引きされる必要があり、且つ源泉徴収義務者は源泉徴収した税額(もしあれば)をIRSに適時に報告しなければなりません。外国人の米国源泉所得は配当、利息、賃貸料及び年金などを含みます。啓源は、クライアント様がForm 1042、1042-S、W-8BENまたは政府機関に要求されるその他のフォームを準備・申告することに支援できます。

    • 外国人は米国源泉所得を得る場合、源泉徴収義務者にForm W-8BENを提出し且つ税金を支払わなければなりません。
    • Form 1042とは、外国人の米国源泉所得の源泉徴収税額を報告することに使われます。
    • Form 1042-Sは、外国人の米国源泉所得及び納税の情報が記載されるフォームです。

  5. 海外(米国以外)の銀行及び金融口座の申告

    イリノイ州会社は、米国外で海外金融口座を有する場合、外国金融口座報告書(FBAR)または特定外国金融資産報告書(FATCA Form 8938)を提出することが必要かどうかを確認するために、毎年口座の残高を査定しなければなりません。

    金融口座とは、普通預金、定期預金、証券、仲介、貯蓄預金またはその他の形式の金融機関口座などを含みますがこれらに限りません。海外金融口座は現金化できる年金、共同基金(Mutual Funds)または終身生命保険も含んでいます。

    (1)
    外国金融口座報告書(FBAR) 

    イリノイ州会社は、海外金融口座の合計金額が暦年中に10,000ドルを超える場合、毎年FBARを提出する義務があります。FBARは暦年終了後の4月15日までに財務省に提出されなければなりません。

    FBARの提出が義務付けられるが、提出しない場合、10,000ドルの罰金が科されます。意図的に条例に違反すると判定される場合、100,000ドルまたは銀行口座残高の50%のいずれか高い方が罰金として科される可能性があります。

    (2)
    特定外国金融資産報告書(FATCA Form 8938)

    イリノイ州会社は、外国金融資産の年度末残高が50,000ドルを超える場合、特定外国金融資産報告書(FATCA Form 8938)を毎年提出する義務があります。当該報告書は所得税申告書とともに提出される必要があり、当該報告書の申告期限が所得税申告書と一致します(延期も含む)。

    特定外国金融資産報告書の提出が義務付けられるが、提出しない場合、10,000ドルの罰金が科されます。IRSの通知を受け取っても申告していない場合、30日ごとに10,000ドルの罰金が追加され、最高60,000ドルの罰金が科されます。情状が重い場合には、刑事罰が科せられる可能性もあります。

  6. 財務諸表

    (1)
    財務諸表

    イリノイ州会社は、適切かつ正確な商業書類(財務諸表、銀行取引明細書及びインボイスなど)を保存しなければなりません。注意すべき点としては、イリノイ州会社に対するその他の報告要求があるかもしれません。例えば、会計記録及び財務諸表を適正に保存しない場合、連邦所得税申告を行うことができません。この観点から、全ての会計記録を保存し且つ帳簿を定期的に更新することをお勧めします。

    (2)
    年次財務諸表監査

    イリノイ州では、証券取引所に上場している上場会社を除く、その他のあらゆる会社は、株式会社でもLLCでも会計監査人の任命が不要であり、年次財務諸表に対する監査も不要です。上場会社は証券取引所の関連規則に従い、毎年米国証券取引委員会(SEC)に監査報告書を提出しなければなりません。非上場会社は特定の状況(例えば、会社(借り手)が事業を合理的に行っているかを確認するために、貸付人または銀行は会社(借り手)の監査報告書を要求する場合)で年次財務諸表に対する監査を求めることがあります。

  7. イリノイ州会社の年間維持費

    上述の通り、米国イリノイ州の株式会社及びLLCは、イリノイ州の商法に従って経営しなければなりません。会社はまた業種の特定要求によって、免許・許可証を州政府に申請する必要があるかもしれません。啓源の米国事務所は、専門的な公認会計士事務所であり、会計記帳、財務諸表監査、税務申告、給与計算及び支払代行等のコンプライアンス及び業務支持サービスを全面的に提供しています。イリノイ州会社の年間維持費については下表をご参考にしてください。

    項目

    サービス内容

    サービス費用(USD

    1

    年次更新(登録代理人、登録住所、年次報告書及び年次フランチャイズ税(最低額のフランチャイズ税のみを含む)申告を含む)(注1

    毎年

    900

    2

    ビジネスライセンス・許可証の更新(注2

    毎年

    別途相談

    3

    連邦とイリノイ州法人所得税申告(注3

    毎回

    800から

    4

    給与税申告及び関連サービス(注4

    別途相談

    別途相談

    5

    海外(米国以外)銀行及び金融口座の申告(注5

    毎年

    200から

    6

    財務諸表と特別監査(注6

    毎年

    2,000から

    7

    会計記帳7

    毎月

    300から


    注1:
    啓源の年次更新サービスは登録代理人、登録住所および年次フランチャイズ税(最低額のフランチャイズ税のみを含む)を含んでいますが、ビジネスライセンスの更新サービスまたはフランチャイズ税の最低額(25ドル)を超えた費用を含んでいません。
    注2:
    イリノイ州ビジネスライセンスを更新する時に、政府へサービス料を支払う必要があります。啓源はその他の費用を別途請求しません。当該費用の実際金額は、会社のイリノイ州における運営場所の数量によります。
    注3:
    連邦及びイリノイ州所得税申告サービス費用は、会社のビジネスモデル及び財務諸表の複雑性によります。当事務所は、イリノイ州会社の会計帳簿をレビューした後、正確な見積もりを出します。
    注4:
    給与税申告及びその他関連サービス費用は、従業員数及び給与の支払い頻度によって異なります。
    注5:
    FBAR申告のサービス費用は、申告する金融口座の数量によります。口座数が3つ以内の場合、費用は200ドルです。口座数が3つを超える場合には、1口座増すごとに50ドルを加算します。
    注6:
    年次財務諸表監査サービス費用は、会社のビジネスモデル、財務状況の複雑性及び資産の種類及び金額によって異なります。当事務所は、イリノイ州会社の会計帳簿及び財務諸表をレビューした後、正確な見積もりを出します。財務諸表監査以外に、当事務所は特別監査及びレビューサービスも提供しています。
    注7:
    会計記帳サービス費用は、取引回数によって異なります。月次更新以外に、当事務所はイリノイ州会社に四半期又は年次ごとの記帳代行サービスを提供することができます。また、英語以外の言語で作成した財務諸表も提供できます。

免責の声明
本文の内容と意見は一般的な情報共有のみであり、専門的なアドバイスではありません。本文の内容への信頼によって生じた全ての損失に対しては、啓源が一切責任を負いません。

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