中華人民共和国個人所得税法実施条例 |
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(1994年1月28日中華人民共和国国務院令第142号公布、2005年12月19日「『中華人民共和国個人所得税法実施条例』改正に関する国務院の決定」に基づき第一回改正 2008年2月18日「『中華人民共和国個人所得税法実施条例』改正に関する国務院の決定」に基づき第二回改正 2011年7月19日「『中華人民共和国個人所得税法実施条例』改正に関する国務院の決定」に基づき第三回改正 2018年12月18日中華人民共和国国務院令第707号第四回改正) |
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第一条 |
「中華人民共和国個人所得税法」(以下、個人所得税法という)に基づき、本条例を制定する。 |
第二条 |
個人所得税法にいう中国国内に住所を有するとは、戸籍、家庭、経済利益関係により中国国内に習慣的に居住することを指す;中国国内と中国国外から取得した所得とは、中国国内を源泉とする所得及び中国国外を源泉とする所得をそれぞれ指す。 |
第三条 |
第一条 国務院財政・税務主管部門が特に規定しない限り、次に掲げる所得は、支払い場所が中国国内であるか否かにかかわらず、全て中国国内を源泉とする所得とする。 (一) 職務、被雇用、契約履行等により中国国内で労務を提供して取得する所得; (二) 財産を賃借人に賃貸して中国国内で使用されることにより取得する所得; (三) 各種特許権の中国国内での使用を許可することにより取得する所得; (四) 中国国内の不動産等の財産を譲渡し又は中国国内でその他の財産を譲渡して取得する所得; (五) 中国国内の企業・事業組織、その他の組織及び居住者個人から取得する利子・株式利子・配当所得。 |
第四条 |
中国国内に住所を有しない個人は、国内に居住する期間が満183日を累計する年度は連続六年を超えない場合に、主管税務機関への届出を経て、中国国外を源泉として且つ国外の組織や個人が支払った所得について、個人所得税の納付が免除される;中国国内に居住する期間が満183日を累計するいずれかの年度において一回30日を超える期間出国する場合、その中国国内に居住する期間が満183日を累計する年度の連続年限が改めて計算される。 |
第五条 |
中国国内に住所を有しない個人は、1納税年度内に中国国内に居住する期間が累計で90日を超えない場合、中国国内を源泉とする所得について、国外の雇用主が支払うもので且つ当該雇用主の中国国内における機関・場所が負担するものではない部分について、個人所得税の納付が免除される。 |
第六条 |
個人所得税法に規定する各種個人所得の範囲は次の通りである。 (一) 賃金・給与所得とは、個人が職務又は被雇用により取得する賃金、給与、賞与、年末賞与、労働配当、手当、補助金及び職務又は被雇用に関するその他の所得を指す。 (二) 労務報酬所得とは、個人が労務に従事して取得する所得を指す、その中には設計、装飾、据付、製図、化学分析、測定検査、医療、法律、会計、コンサルティング、講演、翻訳、校閲、書画、彫刻、テレビ映画、録音、公演、実演、広告、展示、技術サービス、紹介サービス、仲介サービス、代行サービス及びその他の労務により取得する所得が含まれている。 (三) 原稿料所得とは、個人がその作品を図書、新聞雑誌等の形式で出版、発表して取得する所得を指す。 (四) 特許使用料所得とは、個人が専利権、商標権、著作権、非専利技術及びその他の特許の使用権を提供して取得する所得を指す;著作権の使用権提供により取得する所得には、原稿料所得が含まれていない。 (五) 経営所得とは、次のものを指す。
(七) 財産賃貸所得とは、個人が不動産、機械設備、車両船舶及びその他の財産を賃貸して取得する所得を指す。 (八) 財産譲渡所得とは、個人が有価証券、株式、共同企業における財産持分、不動産、機械設備、車両船舶及びその他の財産を譲渡して取得する所得を指す。 (九) 一時所得とは、個人の賞金、当せん金、宝くじ当せん金及びその他の偶発的性質の所得を指す。 個人が取得した所得について、課税所得項目の区分が難しい場合は、国務院税務主管部門が確定する。 |
第七条 |
株券譲渡所得に対する個人所得税の徴収方法は、国務院が別途制定し、且つ全国人民代表大会常務委員会に届出を提出する。 |
第八条 |
個人所得の形式には、現金、現物、有価証券とその他の形式の経済利益が含まれている。所得が現物である場合は、取得した証憑に記載された価格により課税所得額を計算しなければならず、証憑がない現物又は証憑に記載された価格が明らかに低すぎる場合は、市場価格を参照し課税所得額を査定する;所得が有価証券である場合は、額面価格と市場価格により課税所得額を査定する;所得がその他の形式の経済利益である場合は、市場価格を参照し課税所得額を査定する。 |
第九条 |
個人所得税法第四条第一款第二項にいう国債利息とは、個人が中華人民共和国財政部が発行する債券を保有して取得する利息を指す;国が発行する金融債券利息とは、個人が国務院の許可を受けて発行された金融債券を保有して取得する利息を指す。 |
第十条 |
個人所得税法第四条第一款第三項にいう国の統一規定に基づき支給される補助金、手当とは、国務院の規定に基づき支給される政府特殊手当、中国科学院・中国工程院のアカデミー会員手当、及び国務院が個人所得税の納付を免除すると定めるその他の補助金、手当を指す。 |
第十一条 |
個人所得税法第四条第一款第四項にいう福利費とは、国の関連規定に基づき、企業・事業組織、国家機関、社会組織が積み立てた福利費又は労働組合の経費から個人に支払う生活補助費を指す;救済金とは、各級人民政府民政部門が個人に支払う生活困難補助費を指す。 |
第十二条 |
個人所得税法第四条第一款第八項にいう関連法律規定に基づき免税とすべき各国駐中国大使館・領事館の外交代表、領事官員及びその他の人員の所得とは、「中華人民共和国外交特権及び免除条例」と「中華人民共和国領事特権及び免除条例」の規定により免税とされる所得を指す。 |
第十三条 |
個人所得税法第六条第一款第一項にいう法に従い確定されるその他の控除には、個人が納付する国の規定に合致する企業年金、職業年金、個人が購入する国の規定に合致する商業健康保険、税収繰延型の商業養老保険の支出、及び国務院が控除と定めるその他の項目が含まれている。 特別控除、特別付加控除と法に従い確定されるその他の控除は、居住者個人の1納税年度の課税所得額を限度額とする;1納税年度に控除しきれない部分は、後年度に繰越し控除できない。 |
第十四条 |
個人所得税法第六条第一款第二項、第四項、第六項にいう毎回とは、それぞれ次の方法により確定する。 (一) 労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得については、一回限りの収入にあたる場合は、当該収入の取得を以って一回とする;同一項目の連続的収入にあたる場合は、一ヵ月内に取得する収入を以って一回とする。 (二) 財産賃貸所得については、一ヵ月内に取得する収入を以って一回とする。 (三) 利子・株式利子・配当所得については、利子・株式利子・配当所得の支払い時に取得する収入を以って一回とする。 (四) 一時所得については、当該収入を取得する都度を以って一回とする。 |
第十五条 |
個人所得税法第六条第一款第三項にいう原価、費用とは、生産、経営活動の中で発生する各種直接支出と原価に配賦される間接費用及び販売費用、管理費用、財務費用を指す;損失とは、生産、経営活動の中で固定資産と棚卸資産の差損・毀損・廃棄損、財産を譲渡する損失、貸倒損失、自然災害等の不可抗力要因による損失及びその他の損失を指す。 経営所得を取得する個人は、総合所得がない場合、毎納税年度の課税所得額を計算する時に、費用としての6万元、特別控除、特別付加控除及び法に従い確定されるその他の控除を控除しなければならない。特別付加控除が合算清算納付時に控除される。 生産、経営活動に従事して、完備で正確的な納税資料を提供せず、課税所得額を正確に計算できない場合は、主管税務機関が課税所得額又は課税額を査定する。 |
第十六条 |
個人所得税法第六条第一款第五項に規定する財産原価の計算方法は次の通りである。 (一) 有価証券については、購入価格及び購入時に規定により納めた関連費用とする; (二) 建築物については、建造費又は購入価格及びその他の関連費用とする; (三) 土地使用権については、土地使用権を取得するために支払った金額、土地開発の費用及びその他の関連費用とする; (四) 機械設備、車両船舶については、購入価格、輸送費、据付費及びその他の関連費用とする。 その他の財産については、前款に規定する方法を参照して財産原価を確定する。 納税者が完備で正確的な財産原価証憑を提供せず、本条第一款に規定する方法により財産原価を確定できない場合は、主管税務機関が財産原価を査定する。 個人所得税法第六条第一款第五項にいう合理的な費用とは、財産売却時に規定により支払った関連税額を指す。 |
第十七条 |
財産譲渡所得については、一回の財産譲渡の収入額から財産原価と合理的な費用を控除した後の残額により計算し納税する。 |
第十八条 |
二人以上の個人が共同で同一項目の収入を取得する場合は、毎人が取得した収入に対して別々に個人所得税法の規定により計算し納税する。 |
第十九条 |
個人所得税法第六条第三款にいう、個人がその所得を教育、貧困扶助、困窮救助等の公益慈善事業に寄付するとは、個人が中国国内の公益性社会組織、国家機関を通じてその所得を教育、貧困扶助、困窮救助等の公益慈善事業に寄付することを指す;課税所得額とは、寄付額の控除を計算する前の課税所得額を指す。 |
第二十条 |
居住者個人が中国国内と国外から取得した総合所得、経営所得については、別々に課税額を合算しなければならない;中国国内と国外から取得したその他の所得については、別々に単独で課税額を計算しなければならない。 |
第二十一条 |
個人所得税法第七条にいう既に国外で納付した個人所得税税額とは、居住者個人が中国国外から取得した所得につき、当該所得の源泉国(地域)の法律により納付しなければならず且つ実際に既に納付した所得税税額を指す。 個人所得税法第七条にいう、納税者の国外所得について本法の規定により計算した課税額とは、居住者個人が既に国外で納付した総合所得、経営所得及びその他の所得に対する所得税税額を控除する限度額(以下、控除限度額という)を指す。国務院財政、税務主管部門が特に規定しない限り、中国国外の一の国(地域)を源泉とする総合所得控除限度額、経営所得控除限度額及びその他の所得控除限度額の和は当該国(地域)を源泉とする所得の控除限度額である。 居住者個人が中国国外の一の国(地域)で実際に既に納付した個人所得税税額は、前款の規定により算出した当該国(地域)からの所得の控除限度額を下回る場合、中国で差額部分の税金を納付しなければならない;当該国(地域)からの所得の控除限度額を上回る場合、その超過部分が本納税年度の課税額から控除されることができないが、以降の納税年度の当該国(地域)を源泉とする所得の控除限度額の残額から繰越して控除できる。繰越控除期間は最長五年を超えないものとする。 |
第二十二条 |
居住者個人が既に国外で納付した個人所得税税額の控除を申請する場合は、国外の税務機関が発行した税金の所属年度の関連納税証憑を提供しなければならない。 |
第二十三条 |
個人所得税法第八条第二款に規定する利息は、税額の帰属する納税申告期間最終日に中国人民銀行が公布して、税額追納期間と同期である人民元貸付基準利率によって計算しなければならず、税額の納税申告期間終了日の翌日から税額追納期間終了日までに日ごとに利息を加算する。納税者が税額追納期限終了前に税額を追納する場合は、利息の加算が税額の追納日までとする。 |
第二十四条 |
源泉徴収義務者は個人に対し課税対象金額を支払う時に、個人所得税法の規定に基づき税額を源泉徴収し、期日通りに国庫に納付し、特別項目として記載し検査に備えなければならない。 前款にいう支払には、現金支払、送金支払、振替支払と有価証券、現物及びその他の形式による支払が含まれている。 |
第二十五条 |
取得する総合所得について合算清算納付が必要な場合は、次のものを含む。 (一) 二箇所以上から総合所得を取得し、且つ総合所得の年収入額から特別控除を控除した後の残額が6万元を超える場合; (二) 労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得のうち、一つ又は複数の所得を取得し、且つ総合所得の年収入額から特別控除を控除した後の残額が6万元を超える場合; (三) 納税年度内に源泉徴収する税額が課税額を下回る場合; (四) 納税者が税金還付を申請する場合。 納税者が税金還付を申請する時に、その中国国内に開設した銀行口座を提供しなければならず、且つ合算清算納付の現地で税金還付を行わなければならない。 合算清算納付の具体的な方法は、国務院税務主管部門が制定する。 |
第二十六条 |
個人所得税法第十条第二款にいう全員全額源泉徴収の申告とは、源泉徴収義務者が、税額を源泉徴収した翌月十五日内に、主管税務機関にその所得を支払った全ての個人の関連情報、支払所得金額、控除項目と金額、税額控除の具体的な金額と総額、及びその他の税務関連情報を送付しなければならない。 |
第二十七条 |
納税者が納税申告を行う場所及びその他の関連事項の具体的な方法は、国務院税務主管部門が制定する。 |
第二十八条 |
居住者個人が賃金・給与所得を取得する時に、源泉徴収義務者に特別付加控除の関連情報を提供できて、源泉徴収義務者が税額を源泉徴収する際に特別付加控除を差し引く。納税者が同時に二箇所以上から賃金・給与所得を取得し、且つ源泉徴収義務者が特別付加控除を差し引く場合は、同一特別付加控除項目に対して、1納税年度内に一箇所から控除することしか選択しない。 居住者個人が取得する労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得について、合算清算納付する際に税務機関に関連情報を提供し、特別付加控除を行わなければならない。 |
第二十九条 |
納税者は源泉徴収義務者又はその他の事業所と個人に頼んで合算清算納付を行うことができる。 |
第三十条 |
源泉徴収義務者が納税者が提供した情報によって計算し源泉徴収の申告を扱わなければならず、納税者が提供した情報を無断で変更してはならない。 納税者は、源泉徴収義務者の提供し又は源泉徴収・申告をした個人情報、所得、源泉徴収税額等が実際の状況と一致しないことを発見する場合に、源泉徴収義務者が改正するように要求する権限を有する。源泉徴収義務者が改正を拒否する場合には、納税者が税務機関に報告できて、税務機関が直ちに処理しなければならない。 納税者、源泉徴収義務者が規定により特別付加控除に関連する資料を保存しなければならない。税務機関は納税者が提供した特別付加控除情報に抽出検査を行うことができて、具体的な方法は国務院税務主管部門が別途規定する。税務機関は納税者が虚偽の情報を提供したことを発見する場合、改正すると命じ且つ源泉徴収義務者に通知する;悪質な場合には、関連部門は法に従い処理し、信用情報システムに明記し且つ合同で懲戒を実施する。 |
第三十一条 |
納税者が税金還付を申請する時に提供した合算清算納付情報に誤りがある場合、税務機関はそれを改正すると通知しなければならない;納税者が改正する場合、税務機関は直ちに税金還付を処理しなければならない。 源泉徴収義務者が源泉徴収した税額を国庫に納入しない場合、納税者が規定により税金還付を申請するのに影響を与えない、税務機関は納税者が提供した関連資料によって税金還付を処理しなければならない。 |
第三十二条 |
所得が外国通貨である場合は、納税申告又は源泉徴収申告を行う前月の最終日の人民元レート中値により、人民元に換算して課税所得額を計算する。年度終了後に合算清算納付を行う際に、既に月ごと、四半期ごと又はその都度税金を予納した人民元以外の通貨所得については、改めて換算しない;税金を追納すべき所得については、前納税年度の最終日の人民元レート中値により、人民元に換算して課税所得額を計算する。 |
第三十三条 |
税務機関が個人所得税法第十七条の規定により源泉徴収義務者に手数料を支払う時に、還付書を作成しなければならない;源泉徴収義務者が還付書により、国庫管理の関連規定に基づき国庫金還付手続きをする。 |
第三十四条 |
個人所得税納税申告表、個人所得税源泉徴収報告表と個人所得税納税済み証憑の書式は、国務院税務主管部門が統一して制定する。 |
第三十五条 |
軍隊人員の個人所得税徴収事項については、関連規定に基づき執行する。 |
第三十六条 |
本条例は2019年1月1日より施行する。 |
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