外国会社(香港、マカオ、中国内陸において設立された会社を含み)は、台湾内でビジネス活動を行う予定する場合に、「有限会社」、「株式会社」、「支店」などの会社設立の形態を選ぶことができます。前述の三つの形態で、有限会社を除いて、支店もよく選ばれる会社設立の形態です。支店の納付税金は有限会社より低いからです。
弊社のお客様及び台湾で営業活動を行う予定の方に台湾における支店設立を了解させるために、本稿では台湾における支店設立の特徴、登記の手続き及び必要な書類などについて紹介していただきます。
一、台湾支店の特徴
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台湾支店の名称
外国会社の台湾支店の場合は、必ず「外国会社の登記国籍名」+「外国会社名の中国語訳」+「支店名」の形式で名を付けなければなりません。例:香港商啓源会計事務所有限会社台湾支店
支店名称の登記前に、台湾経済部商業司(台湾会社登記の主管機関)の許可を取得する必要があります。 擬登記之分公司名稱必須事先獲得臺灣經濟部商業司(臺灣工商登記主管部門)之批準。
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支店の支店長
外国会社は台湾で支店を設立する際に、支店の業務を担当する支店長を選任すべきです。支店長は支店の業務に当たれる責任人で、選任した訴訟・非訴訟代表人と違います。支店長は台湾居住者或いは外国人です(中国内陸人を除いて、香港人でもマカオ人でもなれます)。支店では2名以上の支店長を選任でき、且つ支店長は台湾の居住所を持たなければなりません。
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訴訟・非訴訟代表人
台湾支店は独立した法人格がないから、台湾内の法的事項を取り扱う資格を持っていません。従って、台湾会社法に基づいて、台湾内の法的事項に関して外国会社を代表する責任人として、外国会社は「訴訟・非訴訟代表人」を選任しなければなりません。訴訟・非訴訟代表人は台湾居住者或いは外国人です(中国内陸人を除いて、香港人でもマカオ人でもなれます)。
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営業住所
支店は台湾の商業エリア或いは商業用ビルにおける営業住所を持たなければなりません。投資者は支店事務所の賃貸契約書を締結する必要があります。支店の登記(許可)として、賃貸契約書は会社登記の主管機関に提出される必要があります。
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運営資金
支店には独立した法人格がないから、資本金がありませんが、それに相当する概念として「運営資金」があります。外国会社は会社登記の主管機関に支店設立を申請する場合に、投資金額を記入する必要があります。その上、外国会社は台湾支店の口座へ登記申請書類に記入された投資金額を送金しなければなりません。従って、弊社は、お客様は台湾支店の実際経営情況による必要な投資金額を決定します、とお勧めしています。
支店を設立する前に、外国親会社は台湾支店の口座へ支店の運営資金としての投資金額を送金しなければなりません。さらに、台湾公認会計士によって資金査定の報告を発行します。
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支店の登記書類の言語
台湾において支店の設立を申請する場合は、中国語で申請書類を作成しなければなりません。支店の登記書類には中国語以外のすべての外国語名称を記入できません。台湾支店は輸出入業務を経営するため、輸出入商登記の申請が必要であれば、輸出入商登記を申請する際に、会社の英語名称を記入できます。
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投資代表人
外国会社を代表して支店登記及び関連の変更事項を取り扱うために、外国会社は投資代表人を選任しなければなりません。当該投資代表人は台湾居住者です、通常、プロ代理会社(例えば啓源)に任せます。
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税金納付
台湾における外国会社の支店は、営利事業所得税税率が17%で、税金後に外国会社への配当課税税率が0%です。支店は外国親会社と同一の事業体ですから、本支社間の送金扱いとなり非課税です。ただし、支店は他社へ出資すれば、支店の受取配当を親会社の受取配当扱いとなり、配当時に20%配当所得税が課されます。従って、外国会社は台湾に進出する際に、「支店」という会社形態を選ぶほうがいいです。
二、台湾支店登記の流れ
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前期準備
正式に台湾の経済部投資審議会及び会社登記機関に登記申請書を提出する前に、投資者は以下の準備事項を完成しなければなりません。
(1) 事務所の賃借
投資者は支店を設立予定する都市(例えば台北、台中、台南など)に事務所を賃借し、正式な賃貸契約書を締結する必要があります。当該事務所は商業エリア或いは商業用ビルに位置しなければならなく、且つ賃借期間は少なくとも12ヶ月間です。
(2) 投資者身分証明書類の公証
外国会社の身分証明書類は、台湾の在外大使館、領事館或いは台湾政府の許可を受けた機関による認証手続きが要求されます。認証必要な書類は外国会社の設立証明書或いはライセンス、及び外国会社の株主、取締役などの情報が記載された会社登記書類を含んでいます。
(3) 代理人の委任及び委任状の公証
台湾支店の投資者は、台湾居住者を支店登記申請手続きする代理人に選定する必要があります。さらに、投資者は代理人の委任状を作成し、代理人が支店登記事項を取り扱うことを許可しなければなりません。同時に、当該委任状は台湾の在外大使館、領事館或いは台湾政府の許可を受けた機関によって認証される必要があります。外国会社の代表取締役は台湾にいれば、自ら委任状の公証手続きを取り扱うことができます。
(4) 株主総会や取締役会の議事録の公証
投資者は、台湾支店の設立を決議した株主総会或いは取締役会議事録(或いは書面決議書)を作成する必要があります。同時に、外国親会社は当該議事録(或いは書面決議書)の公証手続きを取り扱います。
(5) 他の書類
また、投資者は、指名した台湾における代理人及び支店の責任者の身分証明書類のコピー、住所などの書類を準備する必要です。
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登記申請の流れ
(1) 支店名の予備審査
支店設立の手続き前に、経済部商業司に予定名称と営業項目の予備審査を申請し、予定名称が使用できるかどうかを確認します。予定名称が使用できれば、経済部商業司に予定名称の保留を申請します。
(2) 支店設立申請書の提出(初歩的な会社登記)
経済部投資審議会へ会社設立申請書を提出します、政府部門によって初歩的に会社設立申請書を審査します。
(3) 印章の作成
支店の印章を作成します。その中には、銀行口座の開設に必要な会社代表印及び社印が含んでいます。
(4) 会社準備室名義口座の開設(準備口座の開設)
支店準備室名義口座を開設するために、台湾支店の責任者は自ら台湾に来て行う必要があります。
(5) 運営資金の振込み
準備口座の開設後、投資者(外国親会社)は準備口座へ運営資金を送金します。投資金額(運営資金)は支店の外国親会社より送金されなければなりません。
(6) 運営資金査定の報告
投資者は委任した会計士に送金伝票を渡します、台湾公認会計士によって運営資金の査定を行って、運営資金査定の報告を発行します。
(7) 支店設立登記
投資者は、経済部商業司に支店設立申請書類及び運営資金査定の報告を提出し、正式に支店設立登記を申請します。
(8) 税籍登記
管轄国税局へ営利事業登記申請を行い、税籍番号が決定されます。業種によって国税税籍登記証と地税税籍登記証に分かれています。
(9) 統一発票購入証
台湾では、領収書を発行する場合は台湾政府の統一発票しか使用しなく、且つ統一発票購入証を使用してこそ、統一発票を購入することができますから、支店は設立後、統一番号及び税籍番号を取得した後で、財政部国税局へ統一発票購入証を申請しなければなりません。それから、管轄国税局面談を行います、台湾支店の代表取締役は自ら国税局に出向き、面談し署名しなければなりません。面接が終了すると、台湾で売買するために必要な発票を購入することができます。
(10) 輸出入商の登記
設立した支店は輸出入業務を行う予定をして、又は海外から事務所の設備を輸入する必要があれば、前述の各手続きを完了した後で、支店は経済部国際貿易局に輸出入商の登記を申請する必要があります。
三、支店登記の概算時間
一般的に、支店登記を申請する時間は約4~6週間がかかります。具体的に各手続きの概算時間は以下通りです。
順番
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項目
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想定所要日数
(営業日)
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1
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事務所の賃借
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1
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2
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支店の外国親会社の身分証明書類の公証
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5
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3
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他の書類
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2
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4
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予定名称の予備審査
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2
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5
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初歩的な支店登記申請
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6
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6
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会社・代表印の刻印
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2
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7
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準備口座の開設
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1
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8
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運営資金査定の報告
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5
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9
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正式な支店登記申請
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6
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10
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税籍登記
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5
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11
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統一発票の購入証
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6
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12
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正式な支店名に口座を変更すること(各銀行の審査による)
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5-10
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13
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輸出入商の登記
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1
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注意点:上記表の時間は概算時間で、支店の予定経営業務は特殊ライセンスの必要な業種ではなく、且つ必要な書類が揃っている情況によるのです。
四、支店登記申請に必要な書類リスト
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予定支店名称
外国親会社名の中国語訳。支店名称の前にその国籍を付けて表す必要があります。
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経営範囲(主たる業務)
台湾支店の予定営業範囲(主たる経営業務)。
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議事録
外国親会社が台湾支店の設立を決議し、支店長、訴訟・非訴訟代表人を委任した取締役会議事録或いは書面決議書。
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外国親会社の身分証明書類の公証
外国親会社の株主身分証明書類は台湾の在外大使館、領事館或いは台湾政府の許可を得た機関によって認証されます(投資者の身分証明書類は、例えばパスポート、或いは会社設立証明書及び会社定款など、投資者の居住地に在住している台湾の代表機関によって認証される必要があります)。認証有効期限が1年間です;認証された書類には割り印を押します。
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投資代理人の身分証明書類及び授権書の公証
投資代理人の授権書は台湾の在外大使館、領事館或いは台湾政府の許可を取得した機関によって認証されます(投資者の居住地に在住している台湾の代表機関によって認証される必要があります)。代理人の授権書はまず現地弁護士によって公証されてから、現地に在住している台湾の大使館、領事館によって認証される必要があります。認証有効期限は1年間です。
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支店長の身分証明書類及び委任状の公証
投資者は支店の支店長を選定し、且つ支店長への委任状を作成し、及び支店長の身分証明書類と委任状の公証を手配する必要があります。
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賃貸契約書
投資者は、事務所の大家と正式な賃貸契約書を締結し、且つ大家から事務所の建物使用ライセンスのコピー、建物税金(家屋税)の直近年度分納付証明書を取得するべきです。
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支店口座を開設する銀行
外国会社は予め支店口座を開設する銀行を選定する必要です。支店登記の際に、外国会社から台湾支店へ運営資金を送金するために、選定した銀行に準備口座を開設する必要があります。
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運営資金
特別なライセンスが必要な業種を経営することを除いて、台湾会社法には支店の運営資金(有限会社の資本金に相当する)に特別な規定がありません。ただし、実際に支店登記申請の場合に、投資者は申請書類に投資金額を記入し、且つ支店へ記入された投資金額を送金する必要があります。従って、支店の初期運営を確保するために、お客様は支店の半年間運営必要な金額、或いはNT $ 500,000以上(NT $ 500,000を含み)を支店の運営資金とします、とお勧めしています。
五、登記書類一式(登録完了後得られる法的書類)
全ての登記手続きを完了後、投資者は以下の書類を取得します、台湾支店は正式に設立し、営業を開始します。
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外国会社認許表
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支店設立登記承認書及び登記表
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支店税務営業登記表
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支店税務営業登記承認書
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会社・代表印
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統一発票購入証
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輸出入商登記
六、投資撤退許可の取得(登記を取り消す)
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撤退許可
外国会社が台湾の投資拠点から撤退し、支店を解散する場合、株主総会で支店の解散を決議し、支店の業務を終了します。さらに、経済部投資審議委員会に対し、外国人投資撤退を申請します。投資撤退許可を取得したら、裁判所に清算手続きを行います。
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註意事項
以下の場合に、台湾会社登記の主管機関は支店の登記許可を取り消すことができます。
(1) 許可申請時に提出された情報及び書類は虚偽である者;
(2) 支店が解散した者;
(3) 支店が破産宣告された者。
支店は前述の原因で許可を取り消された場合は、債権者の権利及び会社の義務に影響を与えません。
以下の場合に、職務権力を持つ人或いは利害関係がある人の申請によって、主管機関は支店を解散することを通知します。
(1) 支店設立登記後六ヶ月間内に営業を開始しない者(延期登記許可を取得した者を除く);
(2) 営業開始後、六ヶ月間以上自ら休業した者(休業登記許可を取得した者を除く)。
七、 外国会社が海外で合併する場合
外国会社が許可を取得し台湾支店を設立した後で、当該外国会社は他の外国会社と合併し、又は他の外国会社に買収される場合に、存続会社は、台湾で営業活動を行い続ければ、台湾会社登記の主管機関に元外国親会社の認許を存続会社に変更し、支店の名称も変更する必要があります。存続会社はもう一度支店登記許可を取得する必要がないです。
八、 経営及び維持
台湾支店が設立した後で、台湾法律に基づいて、定期的に会計帳簿の更新、財務諸表の作成、営業税、営利事業所得税及び税法による他の税務の申告を行わなければなりません。さらに、支店の登記事項は変更があれば、会社登記の主管機関へ変更登記に行かなければなりません。台湾支店の合法的な維持について、弊社が作成した“台湾支店の経営と維持のマニュアル”をご覧ください。
もっと詳細な情報や支援をご希望の場合は、下記のお問い合わせをご利用になってください。
メール: info@kaizencpa.com, enquiries@kaizencpa.com
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