中国の駐在員事務所と外資系独資企業
主に設立手続きが簡単のため、駐在員事務所は外国人投資家が中国ビジネス進出によく利用される事業形態です。但し、2010年以降、中国は駐在員事務所に対してより多くの設立制限及びより厳しい税制を実施し、駐在員事務所の設立及び維持を制限しています。税務について、駐在員事務所の税負担は高くなりました。一方、外資系独資企業の設立は簡単になりました。外国人投資家は、駐在員事務所でなく、サービス提供の外資系独資企業の設立を検討することができます。
主な理由は以下の通りです。
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事業範囲
中国が締約した国際条約及び協定に規定された活動を除いて、駐在員事務所は全ての営業活動の従事が禁止され、親会社との連絡及び宣伝活動のみを行うことができます。それは駐在員事務所の最大の不利な点です。駐在員事務所が営業活動を行う場合、登記機関は改善命令を発行し、違法利益、営業活動に使用される工具、設備、原材料、製品(商品)などを没収します。違法の駐在員事務所は5万~50万人民元の罰金に処し、場合によって、登録証明書が取り消される恐れがあります。
外資系独資企業は、コンサルティング、貿易など多くの事業活動を行うことができ、事業範囲が拡大又は変更することもできます。サービス提供の外資系企業が貿易事業の経営を希望する場合、その事業範囲を拡大し、且つ事業範囲にサービスが依然として含まれていることができます。
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雇用
駐在員事務所は、中国人従業員を直接雇用してならず、現地の外事服務単位に委託する必要があります。通常、駐在員事務所は外事服務単位と労働派遣契約書を締結する必要があります。当該契約により、外事服務単位はサービスの提供に同意し、駐在員事務所は当該サービス費用の支払に同意します。労働関係が確立された後、外事服務単位は毎月従業員の社会保険及び住宅積立金の拠出金を処理します。また、親会社は、首席代表以外に、事業に応じて1~3名の代表しか委任できません。
駐在員事務所と比べて、外資系独資企業は、中国人従業員を直接に雇用し、賃金を支払い、従業員の社会保険及び住宅積立金を拠出することができ、且つ雇用の外国人の人数に制限がありません。
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税負担
駐在員事務所は、中国において営業活動を行うことが禁止されますが、税金を支払う必要があります。大部分の駐在員事務所は経費支出に基づき課税所得を査定する方法によって税金を納付します。2010年、中国国家税務総局は、駐在員事務所の最低査定利益率を10%から15%に引き上げ、駐在員事務所の税負担が大幅に増加しました。査定利益率が15%の場合、駐在員事務所の納税額は経費支出の約8.36%になります。
外資系独資企業は税率が異なり、営業利益に基づいて増値税を納付します。営業活動による売上総利益から支出を差し引き、純利益に対して企業所得税を支払うことができます。サービス提供の外資系独資企業の税負担は、駐在員事務所の税負担よりもはるかに低くなります。
北京において設立された駐在員事務所は増値税及びその付加税を支払う必要がないため、北京において設立された駐在員事務所の課税額は、査定利益率15%で計算する場合、経費支出の約4.41%になります。他の要因を考慮せず、外国人投資家は駐在員事務所の設立を通じて中国市場への参入を希望する場合、北京において駐在員事務所を設立することのほうがいいです。
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登録資本金
駐在員事務所の主な利点は、駐在員事務所の設立を申請した後、親会社が登録資本を支払う必要がないことです。親会社は、駐在員事務所の必要に応じて、中国において発生する賃金及びその他の費用を支払うために定期的に送金します。
但し、中国の新会社法により、会社設立の最低登録資本要件が廃止され、払込資本登録制度の代わりに資本登録制度が実施されています。会社の投資家及び株主は自ら出資額、出資方法及び払込期間を決定することができます。
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駐在員事務所の外資系独資企業への変更
中国の法律において、外資系独資企業は法人格がありますが、駐在員事務所は法人格がありません。駐在員事務所が外資系独資企業へ直接的に変更することができません。実際に、駐在員事務所を外資系独資企業へを変更するには、外資系独資企業を設立してから駐在員事務所の登記を抹消する必要があります。
上記は重要な考慮事項であり、中国への入国を希望したい又は駐在員事務所を設立した外国人投資家にぜひご検討をお願いします。
参考資料:
中国北京駐在員事務所設立の手続きと費用
外国会社の上海駐在員事務所設立の手続きと費用
外国(地域)会社の中国深セン駐在員事務所設立の手続きと費用
中国深セン駐在員事務所の名称変更の手続きと費用