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日本輸出業/消費税

日本輸出業/消費税

海外販売をする時、消費税は免税になることが多いです。しかし条件によっては免税にならないので、免税に該当する条件を把握しておく必要があります。

  1. 輸出免税の概要

    通常商品やサービスには消費税が課せられるのですが、海外輸出をすることでその商品やサービスを利用するのが海外のである場合は非課税対象となります。このことを輸出免税といいます。

    消費税はあくまで日本国内で消費されることが前提であり、海外で利用する場合は消費税に該当しないのです。さらに輸出した先の国で消費税がある場合、一つの商品で消費税が二重にかかることになります。この二重課税を防ぐ意味もあるのです。

  2. 消費税額の還付とは?

    輸出をする前に商品を仕入れた時点で消費税を支払っています。輸出をした商品に関しては確定申告をすることで、消費税額の還付をすることができるのです。また商品を購入した金額だけでなく、輸出に関する広告宣伝費などの諸経費も含まれています。しかし消費税額の還付を受けるためには、課税事業者である必要があります。

  3. 輸出免税が適用されるものとは?

    輸出免税は全ての項目において適用されるわけではありません。輸出取引や通信もしくは信書便などに対応します。輸出免税の対象となる条件は以下の通りです。

    (1)    本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
    (2)    外国貨物の譲渡又は貸付け
    (3)    国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送(国際輸送)
    (4)    外航船舶等の譲渡又は貸付けで船舶運航事業者等に対するもの
    (5)    外航船舶等の修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの
    (6)    専ら国内と国外又は国外と国外との間の貨物の輸送の用に供されるコンテナーの譲渡、貸付けで船舶運航事業者等に対するもの又は当該コンテナーの修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの
    (7)    外航船舶等の水先、誘導、その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊若しくは駐機のための施設の提供に係る役務の提供等で船舶運航事業者等に対するもの
    (8)    外国貨物の荷役、運送、保管、検数又は鑑定等の役務の提供
    (9)    国内と国外との間の通信又は郵便若しくは信書便
    (10)  非居住者に対する無形固定資産等の譲渡又は貸付け
    (11)  非居住者に対する役務の提供で次に掲げるもの以外のもの
    (i)   国内に所在する資産に係る運送又は保管
    (ii)  国内における飲食又は宿泊
    (iii) a.又はb.に準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

  4. 免税であることを証明する

    輸出免税の対象となることを証明する必要があります。証明をするには、以下のようにそれぞれの条件にあわせて証明書が必要です。必要な証明書は区分によって変わってくるので注意が必要です。また輸出証明書は消費税還付の手続き(確定申告)に必要になるので、販売が終わったあとも保管をするようにしてください。

    4.1
    免税される輸出取引の範囲

    課税事業者が次のような輸出取引等を行った場合は、消費税が免除されます。
    (1) 国内からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
    (2) 国内と国外との間の通信又は郵便若しくは信書便
    (3) 非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡又は貸付け
    (4) 非居住者に対する役務の提供(ただし、非居住者に対する役務の提供であっても、免税とされる輸出取引にはならず、消費税が課される場合がある)

    4.2 免税の適用を受けるための証明

    輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要です。輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書または輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。

    区分

    保存すべき証明書類等

    1の(1)のうち輸出の許可を受ける貨物の場合

    輸出許可書
    (税関長が証明した書類)

    1の(1)のうち郵便物として輸出する場合
    (当該資産価額(注1)20万円超のとき)

    輸出許可書
    (税関長が証明した書類)

    1の(1)のうち郵便物として輸出する場合
    (当該資産価額(注1)20万円以下で、小包郵便物(注2)又はEMS郵便物(注2)のとき)

    【令和3930日までの取引】
    帳簿又は書類で一定事項が記載されたもの
    【令和3101日以後の取引】
    引受けを証する書類および発送伝票等の控え(注3)

    1の(1)のうち郵便物として輸出する場合
    (当該資産価額(1)20万円以下で、通常郵
    便物(注2)のとき)

    【令和3930日までの取引】
    帳簿又は書類で一定事項が記載されたもの
    【令和310月1日以後の取引】
    発送伝票等の控え(一定の事項を追記したもの)(注3)

    1の(2)の取引の場合

    帳簿又は書類で一定事項が記載されたもの

    1の(3)(4)の取引の場合

    契約書その他の書類で一定事項が記載されたもの


    (注1)この価額とは、FOB価格であり、原則として当該郵便物の現実の決済金額(例えば、輸出物品の販売金額)となります。
    (注2)万国郵便条約第一条に規定する「小包郵便物」「EMS郵便物」「通常郵便物」をいいます。
    (注3)輸出免税の適用に必要な輸出許可書等には、これらの書類に係る電磁的記録を含みます。

    輸出取引は消費税が免除されますが、それに対応する課税仕入れには消費税および地方消費税の額が含まれています。この課税仕入れの金額には、商品などの棚卸資産の購入代金のほか、その輸出取引を行うのに必要な事務用品の購入や交際費、広告宣伝費などの経費なども含まれます。そのため、輸出の場合には、課税仕入れに含まれる消費税および地方消費税の額は申告の際に仕入税額の控除をすることができます。(引用:国税庁)

  5. 輸出取引をする書類

    輸出取引をしている輸出許可証などの書類を保管しておくことが必要です。個人輸出をする場合、価格が20万円以下の場合は税関への輸出申告をする必要はありません。しかし価格が20万円を超えている場合は税関へ輸出申告をする必要があります。

    郵便局など20万円を超える商品を送る場合は、通関手続きの案内を受けることになります。通関手続きは郵便局もしくは他の通関業者に委託するか自分で通関手続きをする方法があります。いずれの場合においても輸出申告をした書類は消費税還付をするためにも保管をしておくことが必要です。

    国際宅急便を利用する場合は通常は通関業者が代行してこれらの手続きを行います。

  6. 確定申告

    課税事業者選択届出書の税務署への提出、輸出取引を証明している書類が揃っていればあとは確定申告をするときに、消費税の確定申告も行います。確定申告を行わないと消費税の還付を受けることはできないので注意が必要です。

    書類の準備にも時間がかかるので、早めに対応を始めることをおすすめします。

  7. 海外販売における消費税に関しての注意点

    海外販売における消費税は基本的に免税となります。しかし国外取引と輸出免税の違いのような注意点があります。

    海外への売り上げすべてが免税となるわけではありません。国外取引として認められたら非課税取引となり、日本の消費税の課税対象であっても輸出免税売り上げとなるものがあります。

    消費税の課税対象となるのは、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
    (1)  資産の譲渡または貸付、役務の提供に該当すること
    (2)  国内の取引であること
    (3)  事業として行うこと
    (4)  対価を得て行うこと

    国内取引にあたるかどうかですが消費税法施行令第6条にて以下のように定められています。
    「第六条 法第四条第三項第一号に規定する政令で定める資産は、次の各号に掲げる資産とし、同項第一号に規定する政令で定める場所は、当該資産の区分に応じ当該資産の譲渡又は貸付けが行われる時における当該各号に定める場所とする。

    (1)
    船舶(登録(外国の登録を含む。以下この号において同じ。)を受けたものに限る。船舶の登録をした機関の所在地(同一の船舶について二以上の国において登録をしている場合には、いずれかの機関の所在地)(居住者が行う日本船舶(国内において登録を受けた船舶をいう。以下この号において同じ。)以外の船舶の貸付け及び非居住者が行う日本船舶の譲渡又は貸付けにあつては、当該譲渡又は貸付けを行う者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地(以下この項において「住所地」という。)
    (2)
    前号に掲げる船舶以外の船舶 その譲渡又は貸付けを行う者の当該譲渡又は貸付けに係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下この条において「事務所等」という。)の所在地(引用:消費税法施行令第6条)

    つまり貸付ける資産が日本に所在していた場合は、国内取引と判断され消費税が課される可能性があるということです。また役務の提供が日本でされた場合は同じく課税対象となります。

  8. キャッシュフロー

    輸出に関連する税金、つまり商品の消費税だけでなく仕入れに購入したものの消費税など免税になります。しかし一旦税金分も支払いをして確定申告後に還付される仕組みとなっています。

    一旦納税が必要であることから、キャッシュフローに気を付ける必要があります。場合によっては消費税の支払いによって、利益がでない場合もあります。最悪の場合本来黒字であるべきなのに、消費税が後から還付されることによって運営が続けられないケースもあるので十分注意が必要です。またこのようなことがないように、いくら海外販売は初期費用がかからないといってもある程度の準備金を持っておくことをおすすめします。さらに記帳方法が国内取引とは異なるので、こちらにも注意をしてください。

    経理の手続きに関しても、日本国内での取引にかかる消費税と海外取引にかかる消費税とでは異なります。

  9. 海外取引免税にならないケース

    全ての海外販売が免税となるわけではありません。例えば日本国内に支店がある場合は消費税法輸出免税などの範囲によって免税対象外となります。しかし条件によっては、免税となる場合もあります。さらに以下のように国外の港を使って目的港などに到着する場合、免税の対象となる場合とならない場合があります。

    9.1
    国内の港等を出発地とし、国外の港等を経由して国外の港等を最終到着地とする場合
    (1)  国内の港等を出発し、経由する国外の港等で入国手続をすることなく国外の到着地まで乗船又は搭乗する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。
    (2)  国内の港等から経由する国外の港等まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。
    (3)  経由する国外の港等から国外の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国外取引に該当し、輸出免税の対象とはならない。

    9.2
    国外の港等を出発地とし、国外の港等を経由して国内の港等を到着地とする場合
    (1)  国外の港等を出発し、経由する国外の港等で入国手続をすることなく国内の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。
    (2)  国外の港等から経由する国外の港等まで乗船等する旅客の輸送 国外取引に該当し、輸出免税の対象とはならない。
    (3)  経由する国外の港等から国内の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。

    (引用:国税庁)

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